kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2006年11月23日

『麦の穂』を見たあとで。

さっきの記事にちょろっと書いたように、うちにある本から。

といってもとりあえず1冊。本棚の整理をしていた友人からもらったもので(持つべきものは、「本棚の整理をする蔵書家の友人」だ)、Ulick O'ConnorのThe Troubles -- The Struggle for Irish Freedom 1912 - 1922 というペーパーバック(1989年)。まさに『麦の穂をゆらす風』の1場面のような表紙の絵は、"The GPO 1916" by Thomas Ryan RHA(RHAとはRoyal Hibernian Academyの会員である、ということ)。
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※画像クリックでもっと大きな画像@flickr、以下同。

この本、元は"Terrible Beauty Is Born"というタイトル(<元はW.B.イエイツ)で1975年に出たもので、1989年のは改訂新版。今はじめて知ったのですが、75年のは邦訳ありです。(『恐ろしい美が生まれている―アイルランド独立運動と殉教者たち』、青土社、1997年、ISBN 4791755154)。

この本の口絵写真に、ハーリングのチームの集合写真@1919年があります。
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この写真で「椅子に腰掛けている左から3番目」(私の写真では脚だけしか写っていませんが)の人物は、Kevin Barry。

堀越智『アイルランドの反乱』(昭和45年に三省堂から出ている新書:絶版ですが古書情報サイトなどでチェックするとちょくちょく出ています)から引用(p.186):
 ケビン・バリは1917年にアイルランド義勇軍に加盟した。15歳だった。彼はイースター蜂起以前から熱心なナショナリストだったが、大学では医学を学び、フットボールの選手としても活躍する元気な学生だった。20年9月20日、彼はイギリス軍襲撃事件の容疑者として逮捕された。彼は名前と住所を述べただけで取調べに対して完全黙秘を続けたが、11月1日、わずか40日で絞首刑が執行された。18歳のバリが、たった40日の取調べと裁判で殺されたことは、人々の大きな怒りをかった。死刑執行当日、マウントジョン[原文ママ]の監獄は十字架をかかげた群集によって取囲まれた。
  残酷なイギリスが彼を拷問した
   彼はひるみも叫びもしなかった
  気高い信念をもって、絞首台に
   その日彼は誇りをもって向かった

  誇りをもって祖国に命をささげた
   心をささげたその祖国に
  彼の閉じた眼は、自由の近いことを知っていた
   死が天国への門出であることを知っていた

  ……

※文中「マウントジョン」とあるのは「マウントジョイ」の誤植。

このケヴィン・バリーという少年のなかには、『麦の穂をゆらす風』のダミアンもいるしテディもいるしミホールもいる。そしてこのハーリングのスティックは、映画のなかでは・・・ってなことを、今朝方、布団の中でウダウダしながらあれこれ本をひっくり返して確認したり思い出したりして、心がざわざわざわ、と。

ほんで、改めてイエイツを読んで、
He, too, has been changed in his turn,
Transformed utterly:
A terrible beauty is born.

ってなあたりでまたざわざわざわ、と。
http://www.sacred-texts.com/neu/yeats/lpy/lpy156.htm

なお、ケヴィン・バリーの処刑はIRAの義勇兵の増加という結果をもたらした。つまり、英国のあまりの所業ゆえに、それまで武器をとることに躊躇していた人たちまでも、武器をとることになった。(ケヴィン・バリーの処刑は「多くのシンボリックな出来事のひとつ」に過ぎないけれども。)

時は1920年ごろ。つまりロシアでの革命(1917年)の熱が「虐げられた一般大衆」の間でリアルなものとして受け止められていた時代。1916年に処刑されたジェイムズ・コノリーの言葉は、『麦の穂』の登場人物たちの中で生きていた。

でもね、共産主義を「敵」とみなしたチャーチルも、英国と英国の主張を受け入れた者たちを「敵」とみなしたIRAの“過激派”たちも、どちらも「叩き潰さねばならない敵」を設定し、それを叩き潰すために血を流し、流させたわけだ。

そして、当時のガーディアンの記事:
Don't be too tragic about Ireland
Wednesday October 12, 1921
http://www.guardian.co.uk/fromthearchive/story/0,,1920235,00.html
The fundamental fact is that both peoples want to be friends, and friends in the end they will be.

パトロナイジングで吐き気がするような論説記事だが、これこそが英国政府が正面に掲げたプラカードの文言なんだよね。「共和国の独立」ではなく、「自治領」というステータスを与えたアングロ・アイリッシュ条約で。

で、こういうことは何も1920年代のアイルランドだけで起きたわけではないし、英国だけが起こしたわけでもない。しかしこの条約を、僅差であったとはいえ、アイルランドが受け入れたということが「歴史的」に何を意味するのか、それを考えると、頭がぐにゅぐにゅしてくる。

当時の(また1930年代から40年代前半の)日本で「アイルランド」がどのように語られていたかもちゃんと見てみないといかんな。。。菊池寛あたりが非常に都合のいいことを言っているのは知っているんだが。(いわく、「アイルランドは英国ではない」のだから、「英国文学などというくだらないものと、アイルランドの文学とは異なる」とか「民族解放のうんちゃらかんちゃらである」とかいう調子の。青空文庫にあるはず。)

Ulick O'ConnorのThe Troubles に戻ろう。141ページ。

book
※フルサイズはこちら

第一次世界大戦後、英国では帰還兵が失業者となってしまい、大変に深刻な状況となっていた。そのときに政府が募集したのが「アイルランドで治安維持活動を行なう特別隊員」、つまり「タンズ (Black and Tans)」と「オークシス(Auxiliaries)」。要するに「失業対策」で生まれた「死の部隊」(<現代的にいえば)。

英国政府は「テロにはテロを」の政策をとり、アイルランドの「反乱」を押さえ込むために、「死の部隊」を送り込んだ。これで反乱は押さえ込めるし、失業対策にもなる――私にはキリスト教のバックグラウンドがないので平気でこういう言い方をさせてもらうが、失業対策としてはまったく悪魔的である。

続いて142ページと143ページから:
book
※フルサイズはこちら

オークシスとタンズがどのように行動していたのかについての説明の部分。特にタンズのコーク焼き討ち。これは時代的にも映画に出てくるだろうと予想していたら、出てこなかった。その意味もまた、考えてしまう。

というところで。

あと、映画のパンフレット。700円でした。丁寧に作られています。文章は、公式サイトに上がっている文章が多いけど、キャストとクルーのコメントとかはサイトにはないと思います。(これがいちいちずしりと来るんだよね。)

The Wind That Shakes Barley booklet
表紙はEireを象徴する緑のコットン紙みたいなのに、エンボスで2つの島と映画タイトル。

The Wind That Shakes Barley booklet inside
パンフレットの中はこんな感じ。

ロビーのポスター:
The Wind That Shakes Barley Poster
ケン・ローチのサイン入り、英国版ポスター。

The Wind That Shakes Barley Poster
キリアン・マーフィーのサイン入り、日本版ポスター。

The Wind That Shakes Barley Posters -- English and Japanese
英国版と日本版のポスターが並んで貼られている壁。

それから、映画のスクリプト(スクリーンプレイ):
0954215958The Wind That Shakes the Barley
Paul Laverty Dominic Carroll
Galley Head Press 2006-06-09

by G-Tools


映画で聞き取れなかったので (^^;) スクリーンプレイを買おうと見てみたのだけど、amazon.co.jpだと今のところマーケットプレイスだけで、しかもものすごい高値でしか出品されていない。

amazon.co.ukでなら£11.95+£1.99+送料だが、co.jpに出てるマーケットプレイスよりは安いはず。
http://www.amazon.co.uk/Wind-that-Shakes-Barley-Screenplay/dp/0954215958
amazon.comには入っていないもよう。

版元のGalley Head Pressはアイルランドの出版社(在コーク)。どうも非常に小さい出版社のような雰囲気。(徹底してる・・・英国の出版社から出すんではなく、地域の出版社から出すことで、カネの流れが多少でも作れるからね。)
http://www.galleyheadpress.com/index.htm

アイルランドのオンライン書店で在庫があるのが確認できたところ:
http://www.buy4now.ie/
http://www.readireland.ie/

でも版元から直接取り寄せるほうが早そう。

それから、前の記事にトラバをくださった"Tadd"pole galaxyさんで紹介されているのですが、映像。

キリアン・マーフィーのインタビュー。7分20秒くらい。
http://www.youtube.com/watch?v=iMrCi0X68O0
インタビュアーの意地悪な質問に対する冷たい目と大きなため息が見ものか。質問は、「現在もまだこの問題は残っていますよね。この映画を見た人は『アイリッシュ・リパブリカニズム』(<すっごい平たくいえば、「IRAのテロ」のこと)に大義を与えるものではないかとか、英国のことを単に残酷だとしか描いていないと言うのではないかと」というもの。あと、最後のほうのプロダクションとマーケティングについての応答もきっちり決まってますねぇ。

ケン・ローチのインタビューと、キリアン・マーフィーとポードレイグ・デラニーのインタビュー。3分50秒くらい。
Wind That Shake The Barley interview with director and cast
http://www.youtube.com/watch?v=qkjOzlB3rPM
"It's not anti-British, it's not British nation but British government"って、この人たち、映画についての取材で何度言うことになったんだろう。しかしこのインタビューでのキリアン・マーフィーのだらだら感はすごいな。

※この記事は

2006年11月23日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 23:12 | Comment(0) | TrackBack(0) | i dont think im a pacifist/words at war | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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