kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2006年11月11日

BNPニック・グリフィンに無罪判決。

何てこった、無罪かよ。
BNP leader cleared of race hate
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/england/bradford/6135060.stm

BNP leader cleared of race hate charges
http://www.guardian.co.uk/race/story/0,,1944928,00.html

シャンペン・シャワーなんかやっていやがる。下記記事の写真参照。
http://www.guardian.co.uk/race/story/0,,1945264,00.html

英国政府は法律を改める方向で検討を始めているようだ。
Tougher race hate laws considered
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/politics/6137722.stm

……極右政党BNP (British National Party) の党首ニック・グリフィン(46)と党員のマーク・コレット(26)の再審裁判@リーズ刑事裁判所で、陪審団は両者は無罪との判断を下した。
http://en.wikipedia.org/wiki/Nick_Griffin
http://en.wikipedia.org/wiki/Mark_Collett
※マーク・コレットのウィキペディア記事はvandalismの対象になってます。

ことの始まりは2004年7月。BBCがThe Secret Agentというドキュメンタリー・フィルムを放送した。
http://news.bbc.co.uk/1/hi/magazine/3896213.stm

フィルムを制作したBBCのジェイソン・グウェインは、2003年の終わりにBNPのブラッドフォード地区部長に接触、BNPの内部に隠しカメラを持ち込んで撮影を行なった。隠しカメラは、リーズなどイングランド北部でのBNPの活動を、内部から追った。2004年、ちょうど欧州議会選挙に向けての時期だった。

フィルムには「決定的瞬間」がとらえられていた。20代のマーク・コレット(元BNP青年部部長、元NFでおそらくB&H関係のnazi punk)は支持者たちの前で次のように演説していた。
He was recorded by the BBC's hidden camera saying: "When these Asians go out looking for a victim, they don't go looking for Asian victims. They don't go mugging Asian grandmas, they don't go stabbing each other, they don't go trying to solicit sex off little Pritesh or little Sanjita.

"They go straight to the whites because they are trying to destroy us and they are the racists. If you want these people out and to stop asylum seekers coming in, then vote for the BNP."

「あいつらアジア人は危害を加える相手を見つけようとしている。あいつらはアジア人には危害は加えない。アジア人のばあちゃん連中からはひったくりもしない。アジア人同士で刺し合ったりもしないし、アジア人の少女にヤらせろよと言うこともない。」

「あいつらは白人しか狙わない。あいつらは私たちを滅ぼそうとしているから、あいつらが人種差別主義者だからだ。ああいう連中に入ってきてもらいたくないなら、難民申請者が流入するのを止めたいなら、BNPに一票を。」

-- source: The Guardian, November 4, 2006
http://www.guardian.co.uk/farright/story/0,,1939348,00.html


BNP党首、ニック・グリフィンは次のように演説していた。
Mr Griffin urged activists at the Reservoir Tavern in January 2004 to work at the local and European elections to persuade local voters of "the evil these people have done to our country". Denouncing modern Britain as a "multi-racial hell," he made repeated allegations about paedophile drug rapes in Keighley and linked them to Islamic teachings.

He said: "This wicked, vicious faith has expanded from a handful of cranky lunatics about 1,300 years ago and it's now sweeping country after country before it, all over the world. And if you read that book (the Qur'an), you'll find that that's what they want. If you doubt it, go and buy a copy and you will find verse after verse and you can take any woman you want as long as it's not Muslim women."

地域のパブに集まった活動家の前でグリフィンは「あの連中が私たちの国に対して為した悪」を有権者に知らしめよと述べた。また現在の英国を「多文化地獄」と断罪し、キーリー(ブラッドフォード郊外)で発生した未成年者への強姦事件のことを繰り返し口にし、あれらの事件はイスラムのおしえに関連するものだと述べた。

「1300年前、この、何だかおかしな宗教がごくわずかな狂人から広まり、現在では世界中、次から次へといろいろな国に広がっている。あの書物を読めば、連中のほしいものが何かははっきりわかる。嘘だと思うなら本屋で買ってきて読んでみればよい。イスラム教徒でない女なら何人でもほしいだけ手に入れられるということが書かれている、次から次へとどの文章でも。」

-- source: The Guardian, November 4, 2006
http://www.guardian.co.uk/farright/story/0,,1939348,00.html

※グリフィンの発言に添えた日本語は、多少表現をやわらかくしてあります。ていうかやわらかくなってしまいました。表現をやわらかくするというのは「翻訳」としては誉められることではないのですが、あまりにストレートな侮辱なので、ちょっと考えた程度では、そのまま日本語にできない。。。(「翻訳」しようと思ったらじっくり考えないとできない、ということです。)

BBCの隠しカメラにとらえられ、全国放送されたこの発言により、警察はBNPの捜査に乗り出す。(それ自体が「BBCは警察と協力している」としてBNP支持者の「国家権力と癒着し、腐ったマスコミ」論を燃え上がらせることにもなる。むろん「マスコミは常に中立公正」などというのは神話だが、だからといって「マスコミが権力と癒着して腐っている」というのが真になるということはない。)

2004年12月、ドキュメンタリーの放映から5ヶ月ほどあとに、警察はBNP上層部を次々と逮捕した。逮捕された十数名の中には、グリフィンやコレットのほか、BNP創設者(BNPは1982年にNFから分派してできた)で99年まで党首だったジョン・ティンダルもいた。

2005年4月、彼らは起訴された。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/england/bradford/4416523.stm

法的根拠はthe Public Order Act 1986の「人種に基づいた憎悪の煽動」(詳細は下記:まだ未完成の記事ですが参考にはなります)。
http://en.wikipedia.org/wiki/Incitement_to_racial_hatred

しかし「大物」のティンダルは同年7月、ニック・グリフィンの裁判の法廷に証言者として立つ直前に、自宅で死亡しているのが発見された。71歳で、自然死だったらしい。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/politics/4697299.stm

2006年2月、グリフィン、コレットの裁判は再審が決まった。陪審(@Leeds Crown Court)が結論に到達しなかったんだったと記憶している。(→補記:このとき4つの罪状のうち2つで無罪、残る2つが再審となった。source

その再審の結論が11月10日に出たわけだが、グリフィンもコレットも「無罪」。ああいうことを言っていたが、それは「人種に基づいた憎悪を煽動」するためのものとは認められない、と。

コレットは難民申請者(アサイラム・シーカー)のことを「ゴキブリ」とまで呼んでいる。グリフィンは「イスラムは邪教だ」と言っている。にも関わらず、憎悪煽動ではない、と。

その理屈がわからんよ。

グリフィンやコレットが問題の発言を行なった地域は、BNPの特別強化地域とでも言うべき場所だ。2001年のいわゆる「人種暴動」(ブラッドフォード暴動、オールダム暴動など)の前には、BNPの情宣活動が行なわれていた。「アジアからの移民が白人の少女を強姦している」「白人の老人がひったくりに遭った。犯人はアジア系」といったセンセーショナルなビラが撒かれ、古式ゆかしい「移民が俺たちの仕事を奪う」論が叫ばれた。

「戦後世代」のニック・グリフィンは「BNPの正常化」、つまり「BNPは人種差別主義の極右政党ではない、まっとうな政党である」という路線の「改革者」として自らをプロデュースしてきた。ケンブリッジ大学で歴史を修めたインテリ。その主張は、一言でまとめれば「私たちは極右ではない。世の中が左傾しているので私たちが極右に見えるだけだ。私たちこそ普通」というものだ。つまり「私たちが悪いのではない、悪いのは世の中だ」論。「私たちこそサイレント・マジョリティ」論。

一見、ティンダルの時代の「世界を支配するのはユダヤ」論が、グリフィンの「わたしたちの社会を破壊するイスラム」論に取って替わったかのような印象だが、その実グリフィンもホロコースト否定論者である。現状としてはとりあえず「イスラムの脅威」のほうがわかりやすいし受け入れられやすいというだけだ。(なお、グリフィンの「イスラムの脅威」論は、2001年9月11日以前からのものである。ブラッドフォード暴動、オールダム暴動など参照。ウェブで得られる日本語での情報は多くはないので、英語でbradfordとoldhamで検索を。Oldhamのときの「言論の自由の闘士」然としたグリフィンの姿はBNP反対派のサイトで。)

いつの時代でもどの社会/国にもいるのよねー、こういう人たち。こーゆー人たちはこーゆー人たち同士で勝手にやってればよくってよ……とお茶でも飲んでればいいのかもしれんが、「『彼ら』はいかにして『社会』を巻き込もうとしているのか」をまったくの外部から見るために、2000年以降、つまりニック・グリフィンが党首になって以降のBNPの動きは、テキストブック・ケースのようなものだ。リアルタイムの。

今年4月に、ガーディアンの……というより元SOUNDS(今はない音楽誌)ライターのジョン・ハリスが、BNPの強化地域を訪ねてレポートした記事がある。
http://www.guardian.co.uk/guardianpolitics/story/0,,1758912,00.html

ハリスが訪ねたのはストーク・オン・トレント。日本で出版される旅行ガイドにも載っている街だ。ウェジウッド、ミントン、ロイヤル・ドルトンといった「正統派ブリティッシュ」ブランドの陶磁器生産の街として知られるが、80年代以降は、すっかり「斜陽産業」の街になってしまった。

陶磁器生産が盛んだったころは、工場で働く労働者たちの労組のつながりで、あの一帯は労働党の固い地盤だった。今はそうとは言い切れない。国政のレベルではストーク・オン・トレントの3つの選挙区すべてを労働党が押さえているが、2005年の選挙では、Stoke on Trent Northには極右3政党(BNPとUKIPとVeritas)が候補を送り込み、BNPは2100票あまりを獲得(当選議員が16000票)。Southでも同様で、ここのBNP候補は3300票あまりを獲得(当選議員は17000票台)。Centralも同様で、ここは当選議員が14760票に対し、BNPは2178票を獲得している。3選挙区のいずれも、国政選挙にBNPが候補を立てたのは初めてである。初の総選挙で2000票だの3000票だの。。。通常は数百票だ。(「斜陽産業の街」の現実は、映画『フル・モンティ』のようなおもしろおかしくほろっとするようなことだけではない。)

こういう流れは、11月の「無罪」判決で加速するだろう。

で、つい最近のジャック・ストローの「女性のヴェール」発言ってのもあるんだな。
http://nofrills.seesaa.net/article/26046461.html

今後数ヶ月、BNPは間違いなく、勢いを増すだろうと思う。

■関連記事クリップ:
http://b.hatena.ne.jp/nofrills/BNP/

※この記事は

2006年11月11日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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