kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2005年09月27日

IRAの武装解除完了の宣言。

今回はhistoticではなくmomentousだそうですが(<ブレア演説のガーディアン記事より),IRAの武器が廃棄されました。(下記引用も同じガーディアン記事より。)
The IRA's entire arsenal of weapons has been destroyed, the head of the international decommissioning body said yesterday. The retired Canadian general John de Chastelain said that he had examined "large quantities of arms" which he was satisfied made up the "totality of the IRA's arsenal". This included "a full range of ammunition, rifles, machine guns, mortars, missiles, handguns, explosives, explosive substances and other arms".


↓はBBCのトップページのキャプチャ。
ira-decommissioned.jpeg

BBC記事:
IRA 'has destroyed all its arms'
Last Updated: Monday, 26 September 2005, 19:22 GMT 20:22 UK
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/northern_ireland/4283444.stm

BBC記事から,General John de Chastelain(IRA武装解除の監視団のトップ→プロフィール記事)の記者会見のビデオが見られるようになっています。ブレア,ジェリー・アダムズ,イアン・ペイズリーの記者会見の様子も合わせて3分くらい。(Slugger O'Tooleによるとde Chastelainの記者会見では記者からかなり突っ込んだ質問がなされたようですが。)

また,上記記事からは,政府に提出された報告書の全文が閲覧できます(PDFファイル)。

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この「武装解除」は,IRAが保有している武器類を使えなくするということで(コンクリートで固めたりしたようですが),今回,使えない状態にされたことが宣言された武器類のリストは,BBCで見ることができます。ライフル1000丁(ほとんどがカラシニコフ),プラスチック爆弾2トン,などなど。(これらの情報は,BBCでは,治安筋とJane's Intelligence Reviewに基づいているとのこと。)武器の保管場所は極秘。

上記記事から引用:
The IRA's actions in Northern Ireland long ago left the security forces in no doubt that the organisation was in a position to fight a long campaign, providing it had the will to do so.

When Northern Ireland slid into conflict in the late 1960s and the Provisional IRA emerged, it was badly armed, relying on old guns from previous campaigns, commercial explosives and a complete lack of the logistical support needed to fight a campaign.

But as it reorganised and grew, it acquired a wider range of weapons from around the world and the skills to make increasingly sophisticated home-made bombs.


一方で,ガーディアン記事によると,それぞれの数量はちょっと違っていて(ライフルはカラシニコフは650丁,米軍のアーマライトが40丁など。プラスチック爆弾は3トン),武器の中には1950年代のものもあったとのこと。ということは,PIRAが分派する前の武器もまだあった,ということになります。

また,ガーディアンでは,「銃弾は箱に入ったままのものもあったが,バラのものも大変に多かった(=奪って集めたものが貯めこんであった)」というような,非常にリアルなGeneral John de Chastelainの発言が記事に書かれています。

ガーディアンの別の記事より:
The IRA's arms dumps were mostly built up in the 80s thanks to shipments - totalling more than 150 tonnes - from Libya.

Originally built up to allow the IRA to mount a guerrilla war against British forces in Northern Ireland, they are scattered across the north and south of Ireland and have been a key sticking point in talks between the Unionist and Nationalist communities since the 1998 Good Friday agreement. Unionists have refused to believe Sinn Fein was negotiating in good faith so long as the IRA kept usable weaponry in reserve.

For its part, Sinn Fein, has had trouble convincing IRA lieutenants to give up the symbols of its 36-year war while 10,000 British soldiers remained in the province.


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武装解除の監視団は,General John de Chastelain(カナダ人)のほか,Andrew Sens(アメリカ人),Tauno Nieminen(フィンランド人)。

さらにメソジスト教会とカトリック教会からそれぞれ1名ずつが証人として,武器を使えなくする作業に立ち会った。

メソジストはプロテスタントだが,NIで「プロテスタント強硬派」として強く抗議しているイアン・ペイズリーらはメソジストではないし,NIのプロテスタントの多数を占めているのもメソジストではない。そのことも,DUPの人々やDUP支持者などからの反発を呼ばないわけではない。

カトリック教会からの立会人は,この和平プロセスにおいてパラミリタリー(イコール「IRA (=PIRA)」と考えてよいと思う)と政府当局の間で重要な役割を果たしてきた。

IRA指導部からのステートメント,ガーディアン26日記事より:
The leadership of Oglaigh na h-Eireann announced on July 28 that we had authorised our representative to engage with the IICD to complete the process to verifiably put arms beyond use. The IRA leadership can now confirm that the process of putting our arms verifiably beyond use has been completed.


↑の署名は"P O'Neil"です。(u.tvなど参照。)

英国,アイルランド両政府と英国の北アイルランド担当大臣,およびシン・フェインのジェリー・アダムズ党首のステートメントは,BBCで要点が抜粋。シン・フェイン党で元IRA義勇兵のマーティン・マクギネスの談話はガーディアンに。(BBCにもあるかも?)

それから,記事を5〜6件読んだらどこに書かれていたのかわからなくなってしまったけれど,IRAの武器庫の場所は,すべてのパラミリタリーの武装解除が完了したら明らかになるであろう,といった記述もありました。

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「すべてのパラミリタリーの武装解除」というのはこれからの問題。これまで「IRAの武装解除」がプライオリティとされていたのですが,それが完了したと宣言されたとなると,単純に考えて,次はUDA,UVFなどのロイヤリストのパラミリタリーの武装解除圧力が高まるだろうし,しかも武装解除どころか,「活動停止(停戦)してない」という英国政府の認定がUVFについては下されている(=過去記事)のだから,そっちの方向への圧力が高められているのが現状と考えられます。

それに対する反発というのは,感情レベルであれ何であれ当然あるだろうし,しかも問題の根は「武器をどうするか」ではなく,和平プロセスの着地点(シン・フェイン党とのパワーシェアリング)であり,これまで「プロテスタント強硬派」は(それが正確に誰のことであるのかを特定して考えないとならないのだけど),「シン・フェインとのパワーシェアリングなどとんでもない」というときの理由付けとして,「IRAの活動,IRAの武器」を持ち出してきていました。

公的にはそれが無効になったのが現在の状態。

で,それで「和平プロセスの正常化に向けて道が開けた」というのはあまりに楽観的で,「恒久的な和平に向けた動きがさらに進展する可能性が高まった」の「可能性が高まった」という表現に出ているような段階に過ぎないんじゃないかと思うわけです。

というか,「和平プロセスの正常化」とか「恒久的な和平に向けた動き」というのが具体的に何を意味するのか――1998年時点ならまだしも,今となっては単に「争いをやめましょう」ではないわけで。その「争いをやめる」の具体的な中身について,DUPが強烈に反発していたと思ったら,「プロテスタント系住民」が大暴動を起こした。

「武装闘争やめます」宣言から「武装解除」にかけて,シン・フェインと英国政府(この両者がandで結べる関係になっていると考えるかどうかってのはかなり大きなことだが)がどういう動きをしてきたかを問題視しているのが,プロテスタント系のスタンス。

そして,「武装解除しましたって言われても信用できないから,写真を出せ」とか「うちらの側から選ばれた宗教者を立会人に」とかいう要求を出して,それらがことごとく突っぱねられた(<彼らから言えば)。それをしたら今度はIRAが反発して収拾がつかなくなってただろう。

というより,今回の「武装解除」は,IRAが主導権を取った形で(立会人の宗教者2人もIRAが承認した人々である),そのこと自体がおかしい,というDUPの主張も,その点に限って言えば,わからなくはない。ただしそれを「そうですね」と言えるかどうかは,DUPがこれまで何を主張してきたのかというコンテクストに置いてみないことには。

ガーディアン記事より:
"A witness who was appointed by the IRA is not going to have the same credibility," the Democratic Unionist chairman, Nigel Dodds, said. "We have seen stunts, hype and spin time out of number ... so it's going to be a lot harder, more difficult, more challenging to get people to accept this as genuine."


それと,今回「武装解除」されたのはProvisional IRA (PIRA)で,Real IRA (RIRA)やContinuity IRA (CIRA)は別。また,IRAとは別にINLAという組織もある。(これらについては過去記事参照。)

ただ,PIRAは「シンボル」であり,またシン・フェイン党のパワーシェアリングという極めて重要なことのキーになってもいる,ということ。

そして,PIRA内部でも反発があることは,ガーディアンのAngelique Chrisafisが書いている通り。
While Gerry Adams and the IRA intelligence chief, Bobby Storey, were said to have personally disarmed volunteers in Belfast, there has been resistance in the Armagh and Derry brigades.


また,ユニオニスト/ロイヤリスト側としては:
The whole point of decommissioning, Sir Reg Empey [of the Ulster Unionist Party] said, was to send out the message that the IRA had "crossed the line between a paramilitary past and a political future". That turning point seems to have happened after its declaration in July that the armed struggle with Britain was over and all other "activity" would end.

So, on paper, this seems an important victory for unionists, who dug in their heels seven years ago and kept stamping until they got a kind of transparency. But many feel decommissioning - which both British military and republicans thought a red herring - has poisoned the peace process, sapping all goodwill. Instead of magnanimity, sackcloth and ashes have been demanded, bogging the process down in standoffs that have disillusioned voters.

... But as the loyalist rioting has shown, the IRA is not the only illegal army in Northern Ireland. Now the weapons to worry about, and the ones currently being used to murder young men and to snipe at police, belong to the loyalist paramilitaries.

...

A part of that anxiety is unionist unease about their future. This a key moment in their history and they are being led by Ian Paisley, now 79 and ailing, a man who has resisted every agreement. Now he is being called on to lead unionists into some sort of power-sharing agreement with republicans, a prospect he finds abhorrent.



■追記:
ちなみにIRAの武装闘争終結宣言は2005年7月。
http://nofrills.seesaa.net/article/24448559.html

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転記前、コメント欄での追記:

当然予想されていた反応だろうけれども
Weapons witnesses 'IRA-nominated'
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/northern_ireland/4286266.stm

de Chastelain将軍とDUPのイアン・ペイズリーが会って話をした結果,DUP激怒。

この人はシンフェイン/IRA関係に関しては,何についても激怒するし,ほとんどの場合,まったく意味をなさないと私には思われるのだが,今回は少しは意味を成している。

まず,記事の表題になっている「IRAが指名した人物が証人かよ」は,これは(DUPが,もしくはメディアが)ストラテジーとして話をでっかくしているだけで,別に今言い始めたことではない。

これについては,こうなることを予想せずに英国政府が今回の「武装解除」劇にゴーサインを出していたとは考えられない。シンフェインにしても同じこと。計算内だろう。

次。記事が同じURLで書き換えられているので記述が消えているようだけど,ペイズリーはde Chastelain将軍に対し,「あなたが使えなくなったことを見届けた武器はどのくらい古かったか」と尋ねていたという。

つまり,元から使えない数十年前の武器をコンクリで固めて,「武装解除しました」って言ってるんじゃないか,という疑い。これはDUPじゃなくても疑いたくなる点のひとつ。

ガーディアンにも「1950年代の武器があった」と書かれているし。

そして次。
> Mr Paisley said he was told some of the IRA's weapons had already gone to dissident republican groups.
(IRAの武器の一部はすでに非主流はのリパブリカンの集団〈=PIRA以外,すなわちRIRA,CIRA。INLAは系統が違うのでわからん〉に渡っているという話を聞いたとペイズリーは述べた。)

BBCでは「ペイズリーが勝手にそう言っている」という書きぶりに読めるが,これもまた,DUPじゃなくても当然考えることだ。

SDLP,UUP,アライアンス党と,政党代表者と将軍との会見が今後も予定されているが,彼らが政党である以上,それぞれの政治的スタンスに基づいた会見内容にしかならないだろう(少なくとも,表に出る部分では)。DUPのこれだって,DUPだから言ってる/書いてるわけだ。

問題は,これが「茶番」ではないという確たるものがあるのかどうか?

ブレア政権のこれまでの「茶番」の数々(ハットン・インクワイアリなど)を思い起こすと,「IRAはもういない」と喜べる状態ではないという方に10ポンドくらい賭けたくなるのだが,私がシニカルすぎるのか?

で,ブレアは……党大会でゴキゲンですか。そうですか。

政党じゃない,人々の声:
Doubts cloud end of IRA guns
By Dominic Casciani
BBC News in Belfast
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/northern_ireland/4285622.stm
at 2005 年 09 月 28 日 01:03:19

And Gerry Adams Joins the Clinton Sideshow
Live from Hollywood: the IRA Disarms
By HARRY BROWNE
http://www.counterpunch.org/browne09272005.html

前半は例の武装解除劇のまとめ,真ん中にシン・フェイン100周年ときてその次:

Mind you, in light of the latest writings from Sinn Fein president Gerry Adams, it appears the IRA had another dilemma. It was either decommission those weapons now, or become the armed wing of the Hillary '08 campaign. Adams, who was briefly the IRA chief of staff in the 1970s, is now a bearded visage for the global Clinton brand, an instant signifier of ex-President Bill's status as an international statesman and totem of racial, ethnic and religious reconciliation. Ten days ago Adams was a guest, speaking on "religion and conflict", at the inaugural meeting of the Clinton Global Initiative in New York. (Funny, republicans always used to insist the Northern struggle was not about religion but about imperialism.)

Adams's account of the three-day meeting appears in Ireland's Village magazine, under the fitting headline, "Clinton shows way towards elimination of poverty".

……そういうことなのか?

... thanks to Gerry we now know such a (totally meaningless) commitment is apparently shared by Tony Blair, Rupert Murdoch, George Bush Sr, Shimon Peres and Condoleezza Rice, along with Mrs Bill, George Soros and their "liberal" like. Adams oozes empty anti-poverty platitudes like he's been sharing a pint with Bono and Bob Geldof.

……(^^;)

このクリントンのなんちゃらというのは,
http://www.zaman.com/?bl=readerschoice&alt=&hn=24576

Published: Monday, September 19, 2005

In promoting inter-cultural dialogue many duties await Turkey, former US President Bill Clinton said.

The country's identity and location will play a crucial role for the dialogue to yield results, Clinton said. "The only thing we need is to have talks. We need to talk in the US and in the international arena."

...

Clinton addressed a group of 1,000 people including Hollywood starts like Brad Pitt, Angelina Jolie, Chris Tucker, Barbara Streisand, Leonardo DiCaprio and politicians such as Gerry Adams, the leader of Sinn Fein, which is the political extension of the Ireland Liberation Organization, US African American Democrat leader Jesse Jackson, and his former Vice President Al Gore in his closing speech.

...

何かもうどうでもよくなってきた。(<こら)

at 2005 年 09 月 30 日 20:44:27

※この記事は

2005年09月27日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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