kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2006年07月06日

ワールドカップ観戦してたら撃たれて殺された。(ソマリア)

ソマリアで、ワールドカップを観戦していた人たちが殺された、という衝撃的な見出しが、BBCのサイトに出ている。

Somali World Cup viewers killed
http://news.bbc.co.uk/2/hi/africa/5150118.stm

ソマリア中部のDhuusa Marreebという町にある映画館が、極秘に上映会を開いていた。上映していたのは、ドイツ対イタリア(準決勝)の試合。そこに実権を掌握しているイスラミストのガンマンたちがやってきた。解散を命じるためだ。

映画館に集まって観戦していた人たちは抗議し始めた。するとガンマンたちは空に向けて発砲した。それでも人々は解散しない。ガンマンたちは抗議していた人たちに向けて発砲し、そして2人が殺された。映画館のオーナーと、女の子(a young girl)だそうだ。

無政府状態が続いてきたソマリアでは、つい一月ほど前だったと思うが、イスラミスト武装勢力the Union of Islamic Courtsが首都モガシディオを制圧し、政治の実権を掌握した。(用語法は日本で聞かれた報道に基づく。)(なお、詳しい経緯を追っていたわけではないので不正確かもしれないが、いくつか英語で記事を読んだ限りでは、アフガニスタンでタリバンが実権を掌握した過程と似ているように思う。)

BBCの記事によると、the Union of Islamic Courtsは、実権を掌握している地域全体で、ワールドカップの放映の禁止を含むシャーリア法を導入していた。具体的な理由は、アルコールのCMが入るからであるとのこと。(これは本音かもしれないし、口実かもしれない。BBC記事を読んだだけではわからない。)

しかしそれでも極秘の上映会などは行われる。ソマリアではサッカーには誰も見向きもしていないというなら別かもしれないが、そういうわけでもなさそうだからね。(ソマリアのナショナルチームは、今大会では「不参加」ではなく「予選敗退」だ。Wikipedia英語版を見ると、1995年にタンザニアに7−0でボロ負けしているという記録があるが、ということは無政府状態でもFAは機能してたってことになる。その後のことは、ちょっとウィキペディアを見ただけではよくわからない。)

ワールドカップが始まる直前、私はteanotwarのblogの方に、ある記事をポストした。イラクのシーア派の「過激」な宗教指導者、ムクタダ・サドルが、「サッカーは高貴なゴールではない」という「ファトワ」を出したということについてのものだ。

ワールドカップとフットボール(サッカー)とムクタダ・サドルと「陰謀論」思考
http://teanotwar.blogtribe.org/entry-7823c1f04f535b92554b65afd4262400.html

むろん、「サッカー見てたから殺された」のは、イラクでではなくソマリアでのことだし、その理由も違っているようだし(「試合放送に付き物のCMがお酒のCMだから」禁止されたのであって、「サッカーそのものがすべきではないことだから」ではない)、2つのケースはまったく別のものとして見る必要があるだろう。

イスラミスト武装勢力が実権を握ったあとの首都の様子を、現地の人に取材した記事を読むと――これは私の神経がすっかり麻痺しているからなんだけど、イラク、特にバグダードやアンバール州、モスル、サマラ、バスラといった都市よりも、「平穏」というか、「秩序が保たれて」いるようにも思える。

ただしこういう状況についての説明は、十分に気をつけて読まないとならない。

いずれにしても、「CMがけしからんから」といって、番組そのものを禁止するなんてことが、どこまで額面どおりに受け取ってよいものなのかすらわからない(逆に言えば、彼らthe Union of Islamic Courtsが、footballというスポーツをどのように認識しているのかがわからない)ので、何とも言えない。

ただ、そんなことで撃たれて殺された(死んだ)人がいるということが、やっぱりやりきれない。

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■追記:
ソマリアのメディアの記事:
http://www.garoweonline.com/2004pro/index.php?id=4177
SOMALIA: Islamist militias kill 2 people watching World Cup match

Posted: 2006 Jul 05 - 10:56
DHUSAMAREB, Somalia July 5 (Garowe Online)

MILITIAS LOYAL to the Islamic Courts shot and killed at least 2 people watching a World Cup match in Dhusamareb, capital of central Somalia's Galgadud region. The victims were watching the Italy vs. Germany semi-final when Islamist militias stormed the cinema and started to fire, killing the cinema owner and a customer.

Outraged Dhusamareb residents took to the streets to protest against the Islamist militias' actions. The Islamic Courts took control of Mogadishu and parts of central and southern Somalia last month after defeating US-backed warlords. They have banned the World Cup and cut electricity to some cinemas, which prompted youngsters in Mogadishu's Livestock neighborhood to stage protests.

The Chairman of the Islamic Courts' Shura (Consultative) Counci, Sheik Hassan Dahir Aweis, is in Galgadud region commanding the Islamist militias in the area. Sheik Aweis is considered a man with links to terror groups by the US government.


……おかしいな、BBCにはkilled by militia loyal to the Union of Islamic Courtsとあるんだけど、このソマリアのメディアの記事では、the Union of Islamic Courts(=the Islamic Courts' Shura (Consultative) Counci[l]、という理解でいいんだよね?<間違ってたらコメント欄で教えてください)のSheik Hassan Dahir Aweisは、「その地域のイスラミスト民兵を非難した」とある。別のクランの民兵がやったということかもしれないけれども、話がよくわからない。「その地域のイスラミスト民兵を率いている」←コメント欄での指摘を受けて修正。ものすごく初歩的な単語の誤認というミスでした@2008年3月10日。

BBCでもこの記事はすごく目立つようになっているし、ひょっとしたら、これは情報戦かもしれないなぁ。一応、他の記事:
Two 'shot dead for watching World Cup'(テレグラフ、英)
Somali Islamists kill 2 at World Cup broadcast(AP→CNN、米)
World Cup: two men watching banned match killed in Somaly(プラウダ、ロシア)
ケニア国営放送の記事(agencies名義)もあるけど、これは中身はBBCのコピーだ。

細部がけっこうばらばらだ。AP(→CNN)なんか、The Islamic fighters, who have banned such entertainment, とか、forbade movies and television entertainment in line with their strict interpretation of Islam.なんて書いてて、「お酒のCM」のことには触れもせず。テレグラフは、なぜ試合放映が禁止されているのかは華麗にスルーしているし。

一番詳しいのは南アのメディアの記事:
World Cup ban protest claims 2
http://www.news24.com/News24/Africa/News/0,,2-11-1447_1963054,00.html
(→魚拓
World Cup broadcasts, in particular, had drawn their ire with clerics arguing that some elements, notably advertisements for alcoholic beverages, were evil.

...

The Islamic courts first began to close down cinema halls showing Hollywood and Bollywood films last year as their influence expanded, arguing that the presentations contravened their strict interpretation of Islam.


なお、この南アの記事によると、映画館で2人が撃たれて殺されるという事件のあと、イスラミストたちは首都での禁止令を撤回し、市内のいくつかの地域の住民にはワールドカップ観戦を許した、とのこと。

APやBBCの記事が、早い段階で様子がわかっていないときの記事であるという可能性もある。



いただいたコメントを受けて本文修正@2008年3月10日

※この記事は

2006年07月06日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 02:18 | Comment(2) | TrackBack(1) | i dont think im a pacifist/words at war | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
Garowe Onlineで検索をかけたらこちらに行き当たりました。古い記事へのコメントで,少々自分にKYという気がしますが

>「その地域のイスラミスト民兵を非難した」

>... Sheik Hassan Dahir Aweis, is in Galgadud region commanding the Islamist militias in the area.
の訳解釈部分でしょうか。もしかしたら,commandをcondemnと見間違ったのではないでしょうか。

Aweis師は現地にあって指揮を執っており,流石に末端民兵の行動(とそれに対する民衆の反動)に問題を認識,サッカー観戦の部分的許可を与えた―ということではなかったでしょうか。
Posted by teiresias at 2008年03月08日 16:56
> teiresiasさん
コメントをありがとうございます。KYだなんてとんでもありません。

> もしかしたら,commandをcondemnと見間違ったのではないでしょうか。

・・・どう見てもそうですね。(^^;) 的確なご指摘に感謝します。本文を修正します。

なんでこういう間違いをしたのか、今となっては謎です(同時に2〜3本の記事を見ていることが多いので、単語が頭の中で渾然一体となっていた可能性はかなり高いです)。面目ありません。

アフリカの角については、この1年くらい、ほとんどまったくフォローできておらず(「他のニュースのついでに」ではフォローできない!)、Garowe Onlineはこのときのこの記事しか見ていないと思うのですが、こんな中途半端なブログにご親切なコメント、重ね重ねありがとうございます。
Posted by nofrills at 2008年03月09日 19:07

この記事へのトラックバック

teiresiasさんがみてる〜嗚呼WC観戦に銃撃あり〜
Excerpt:  イスラム法廷治下ではワールドカップの放映を見るのも,場合によっては命懸けだったというお話: tnfuk ワールドカップ観戦してたら撃たれて殺された。(ソマリア) 2006年07月06日  ふと思..
Weblog: 空野雑報
Tracked: 2008-03-08 17:25





【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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▼当ブログで参照・言及するなどした書籍・映画などから▼