kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2011年06月14日

【驚愕の】おっさんだったのは、「ダマスカスのゲイ・ガール」だけじゃありませんでした【オチ】

1つ前の続き。

……の前に。

「偽ブログ」のことについて読んでるヒマがあったら、おそらくものすごい血の海になるであろうJisr al-Shughourから国境を超えてトルコ領内に脱出した避難民を取材した下記記事などを読むべきなので、まずこれを読んでください。非常に厳しい。

'They shot people who were trying to get away'
A dispatch that reveals the brutal truth about regime's crackdown
Exclusive by Kim Sengupta and Justin Vela, in Idlib, Syria
http://www.independent.co.uk/news/world/middle-east/they-shot-people-who-were-trying-to-get-away-2297071.html

という切迫した事態で、本来、こんなことにかかずらってる場合ではないのだろうけれど、オンラインで6年ほど存在していた「35歳でシリア人とスコットランド系アメリカ人のハーフでレズビアンでかなりの美人」である「アミナ」が、実は40歳の小太りのヒゲヅラの「トム」という白人のおっさんであることが判明した件の余談というか、誰も予想してなかったオチについて。

「アミナ」の写真が赤の他人のものであることが判明し、「アミナ」の実在が疑わしいということでアンディ・カーヴィンやダン・マーフィーといった大手メディアのジャーナリストや、アリ・アブニマ、リズ・ヘンリー、ジリアン・ヨークといったネットメディアのジャーナリストやライターが調査を開始し、また大手メディアも次々と記事を出して、「アミナ」にまつわる怪しい点があぶりだされていたころ、LezGetRealというサイトがよく話題になっていた。私の観測範囲外にあるので今回初めて見たが、米国で同性愛者の権利に関する情報を専門に扱っているニュース&ブログのサイトだ。(PinkNewsなどから芸能情報を抜いて、かなりポリティカルな方面に重心を置いたような感じという印象。あんまりよく見てないけど。)「LezGetRealがかくかくしかじかと述べているので、〜〜〜と考えられる」というような感じで、「ソース」の扱いを受けていた。

このサイトが、10日付で「読者のみなさんへ、アミナについてのお詫び」という記事を出した。記事を書いたのはLinda S. Carbonellさん。

An Apology To Our Readers About Amina Abdallah
http://lezgetreal.com/2011/06/an-apology-to-our-readers-about-amina-abdallah/

LezGetRealは「アミナ」と(メールで)接触しており、「アミナ」の文章を自サイトに掲載し、また「アミナ」が「ダマスカスのゲイ・ガール」のブログを立ち上げるのを手伝った、など「彼女を有名にした」ことについて、サイトの読者に謝罪している。この時点でLezGetRealは、「アミナ」が「ダマスカスのレズビアン」ではないことを確信していて、「アミナ」が使っていたIPアドレスを一般に開示し、それがスコットランドのIPであることも暴露した(「アミナ」本人はプロクシを使っているからと説明していた。実際、そのIPは大学なので、プロクシと言われたらああそうかと納得してしまいそうだ)。ネット探偵たちの調べで、そのIPからウィキペディアの編集が行われていたこと、それらはすべて中東に関する項目で、中にはal-Omariという名字も含まれていることが明らかになった。(その過程はこちらのchirpstoryで。)

このIPアドレスの開示が、その後の調査進展を大きく助けた。結局、1つ前のエントリで述べた通り、「アミナ」のブログの中の人はスコットランド在住の米国人夫婦だった(夫が文章を書き、妻が撮影した写真を掲載していた。ただし妻は関与を一切認めていないらしい。往生際が悪い)。その点、LezGetRealは功労者として讃えられてもよい存在だ。実際、LezGetRealの運営者であるポーラ・ブルックスは、ワシントン・ポストの取材に対する協力に関して、WaPoの記者から感謝の言葉を送られている

しかし…… http://chirpstory.com/li/1735 をpaulaで検索してもらうとおもしろいと思うが、「アミラ」の中の人がトムというおっさんであることが判明した後、WaPoの謝辞のツイートの前に、アンディ・カーヴィンが「ポーラ・ブルックスも漫画のキャラクターの名前だったのか」とツイートしている。

アンディのツイートの前に、確か @bangpound あたりから「LGRのポーラ・ブルックスってのも実在が怪しい」という話が出て、それについても「アミナ」とは別筋で調査が進められていた。そして途中経過として、「どうやら『LGRのポーラ』は、『アミナ』ことトムの実生活での妻で中東専門家のブリッタである可能性が高い」という話になり(この一連のやり取りを控えてなかったのはちょっと惜しい>自分)、GayMiddleEast(この人は実在確認されている)が「(ポーラの)FBのプロフィール写真が、(ブリッタの)ビデオ映像と同じ」とツイートした。

YUP! "Paula Brooks" allegedly a the Lesbian Editor of LGR IS Britta Froelicher http://t.co/jdrgB6h - same FB pic as the video! #Fail #LGBTless than a minute ago via web Favorite Retweet Reply



私はこのビデオを見てチェックするほど関心はなかったのでスルーしたが、何となく、「ポーラ」のFBのページは確認してみた。そのままタブを開きっぱなしにしていたのだが、その後、「ポーラ」のFBのページが「このコンテンツは現在ごらんいただけません」になってしまったので、キャプチャをとってみた。(クリックで原寸表示)



(うーん、「写真」のコーナーは見てないのでわからないけれど、トップページの写真は、GayMiddleEastの提示したビデオの人と似てはいるけど別人のような気もする。頬のほくろは手術で取れるし、顔の肉付きは単に痩せたのかもしれないが……。)

「ポーラ」のFBプロフィールには特に目立つところはない。LGBTのアクティヴィストで、耳が聞こえないが、子供がいるのであまり目立ちたくない、という彼女のプロフィールに合致するような、平凡なというか、典型的な内容に見える。サイト運営もあって忙しいだろうし、放置してるみたいだなあ、という感じもある。で、「実はポーラの中の人はトムの配偶者のブリッタでした!」ということは、まあ、あるかもしれないよねー、いずれにせよ、「ポーラ」という人は実在しないかもねー、ってね。

それが、「アミナ」の中の人のおっさんが2度目に出したお詫び文に次のようにあるので、結局実在はしたんかということで、決着した……はずだった。
I want to apologize clearly & explicitly & personally to Jelena Lecic, Paula Brooks, Sandra Bagaria & Scott Palter.

(これは「アミナ」が特に迷惑をかけたと思っている人を列挙した箇所。Lecicさんは「アミナ」に盗用された写真の人、Sandraさんは「アミナ」とオンラインでガールフレンドの関係となったカナダ人女性、Scottさんは「アミナ」とオンラインでやり取りしてボードゲームを開発した人。その中に、Paula Brooksの名前がある。ということは少なくとも、「ポーラ」は「アミナ」なり「チーム・アミナ」なりとは別個ということだ。)

それが急展開を迎えたのが、日本時間14日朝のことだ。ふと見るとこんなのが着信していたのだ。



「意味がわかりません」がこれらを見たときの私の最初の反応。

いわく、LezGetRealの運営者、「ポーラ」の中の人は、オハイオ州の退役軍人で建設作業員をしていたBill Graber(58歳)。「ポーラ・ブルックス」という名前は妻のもの。

ワシントン・ポストから:
http://www.washingtonpost.com/blogs/blogpost/post/paula-brooks-editor-of-lez-get-real-also-a-man/2011/06/13/AGld2ZTH_blog.html
Over the weekend, as journalists, bloggers and fans of Amina hunted for clues to the identity behind the blog, Brooks came under review as a possible suspect. Liz Henry, a Web producer at BlogHer.com, questioned Brooks's involvement with Amina, as Amina had started to write about the Syrian uprising on Lez Get Real before starting her own blog.

...

Brooks had told reporters at The Washington Post that she could only speak on the phone through her father because she was deaf. She provided a photograph of her license as proof of her identity, which showed a woman named Paula Brooks.

On Monday, we continued to question her identity. We spoke to the man who identified himself as her father, who finally admitted after numerous telephone conversations: “I am Paula Brooks.” That man turned out to be Bill Graber.

Graber said he started the site to write about gay issues after seeing the mistreatment of close friends who were a lesbian couple. He said the site was “done with the best of intentions.” As a former Air Force pilot, he also said he used the site to argue in favor of the Don’t Ask Don’t Tell repeal.

つまり、週末に「アミナ」の中の人探しが行われたときに、ポーラ・ブルックスも何か怪しいということで調べられた。BlogHer.comのリズ・ヘンリーは、「アミナ」が自身のブログを始める前にLGRにシリアの蜂起について書き始めていたので(←ここおかしいよね。アミナのブログは2月19日にスタートし、シリアの蜂起は3月15日に開始されているので。私の英文解釈が間違ってるのかな)、ポーラも疑わしいと思った。

「ポーラ」は耳が聞こえないので、電話ではお父さんを介して話をすることになる。この点から怪しいと思ったのは、ガーディアンのエスター・アドレー記者も同じだ。(ただしアドレー記者は「ポーラ」=「アミナ」と考えて調査をしていた。多分「ポーラ」=「トムの妻のブリッタ」という想定もジャーナリストにはあっただろうけど、残念、ハズレ!)

そして月曜、「ポーラ」の父親がようやく、自身が「ポーラ」であると認めた。彼いわく、近しい友人に女性同士のカップルがいて、その人たちがいやな目に会うのを見て、ゲイ・イッシューについて書くようになったのだそうだ。同性愛者関連情報を集めたサイトは完全に善意で運営しており、また元空軍パイロットとして、米軍のDADTの方針の撤回を求める論陣も張ったのだ、と。

こっちのおっさんは「アミナ」のおっさんよりはまともそうだ。よくわかんないけど。(^^;)

気の毒なのは、LezGetRealを共同で運営していたリンダさん(62歳)だ。WaPoより:
Already reeling from the news of MacMaster’s hoax, one of Graber’s contributors at Lez Get Real Linda LaVictoire, said, “I was completely taken in; I have been completely taken in for three years.” The 62 year old lives in Vermont and writes on the site under her maiden name of Linda Carbonell.

つまり、既に「アミナ」は実はおっさんだったという騒動でぐったりしているのに、さらに自分のサイトの主の「ポーラ」もおっさんだったという悲運。「すっかりだまされていた、3年間も気づかなかった」と……。彼女はLGRに「アミナの件で読者のみなさまにお詫び」という記事(このエントリの上のほうにリンク)を書いていた人だ。

このリンダさん、まあ、どのくらいマジなのかはわからないけれど、最初に「アミナはトムではないか」との調査報道を行ったElectric Intifadaのコメント欄にいきなり現れて、「あなたたち、何なの、ポーラの身元を暴こうなんて! 彼女は耳が聞こえないんですよ! 子供のことも考えなさい! そんな、そんな、ポーラだけはほっといて頂戴!」と長弁舌をふるっていった人である。下記の私のツイートのリンクからたどってちょんまげ。この長弁舌(「ヒステリックな反応」)で余計に怪しまれるという墓穴っぷりは、天然であろうか。

@Tamnius ここまで来るとおもしろいから読んでもらいたいです。 http://is.gd/vqPzYj これの本文、The Lez Get Real (LGR) web site ...から後と、コメント欄 http://is.gd/i3ICfWless than a minute ago via TweetDeck Favorite Retweet Reply



で、「アミナ」になりきった40歳の小太りのおっさんはときどき、「ポーラ」をオンラインで誘惑していたそうだ。(こいつ、本当にキモい。。。塩まいといて、というくらいにキモい。)

ネカマ(というか「レズビアンになりすましたおっさん」も「ネカマ」でいいの?)がネカマに遭遇し、お互いにそれと知らない状況で、片方がもう一方を口説く。これは何ていうんだろうね。

で、「アミナ」のおっさんがそういうときに「これが私の写真です」って送ってたのが、縁もゆかりもない、ロンドン在住クロアチア人女性の写真。

lezgetreal.comに掲載された「アミナ」の写真が、Google画像検索に残っている。(赤の他人の写真であることが判明しているので、画像を処理してある。)



そのほか、いろいろ「おもしろい反応」などはChirpstoryにて:
@PaulaBrooks, a lesbian activist who helped #Amina set up her blog, is also a man!
http://chirpstory.com/li/1740


で、これ、140字上限の短い情報で入ってきてるとただのお笑いなのだけど、立派な記事になると「何がなにやら」感がすごい。Dazed and confused. ガーディアンのエスター・アドレー記者の記事:
http://www.guardian.co.uk/media/2011/jun/14/second-lesbian-blogger-exposed-paula-brooks
これすごい。「アミナ」はうさんくさいと気づいた人も「ポーラ」にはだまされていたとか:
Melanie Nathan, an LGBT and human rights advocate who was a partner in LezGetReal.com and had also been taken in by Graber, told the Guardian of her feelings of betrayal.

"I left the site because I believed that Amina 'the Gay Girl from Damascus' was not authentic," said Nathan.

"I told Paula – Bill – that Amina was suspect and she went ballistic on me and called me a bigot."

"I was completely taken in. She [Paula] is a person to me, a real person with this persona, with children."


※この記事は

2011年06月14日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 17:00 | TrackBack(0) | i dont think im a pacifist/words at war | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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▼当ブログで参照・言及するなどした書籍・映画などから▼