kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=


2010年12月19日

ジュリアン・アサンジは男として最低である(たぶん)。その場合も、ウィキリークスの仕事の意味は変わらない。そして、WLを守ろうとして「セカンドレイプ」を発生させてはならない。

何年にも渡って継続的に拝読している北アイルランドの政治系グループ・ブログ、Slugger O'Tooleで、編集長的立場にあるミック・フィールティさんがよく使うフレーズがある―― "Play the ball, not the man."

これはサッカーに由来する英語の慣用表現。タックルの光景を思い浮かべるとわかりやすいだろう。「ボールを狙え、プレイヤーではなく」ということだ(足を出すのはボールに対してであり、相手チームのプレイヤーの脚を故意に蹴るなどすれば反則を取られる)。

Sluggerが強固に保ち続けている理念(いわば「理性的な言論の自由」のようなもの)を端的に表すこのフレーズは、誰にでも開放されているコメント欄において、理性的な意見交換ではなく、「北アイルランド紛争」をそのまま投影したような政治的/宗派的違いに基づいた喧嘩・罵りあいや、単なる個人攻撃が始まろうとしたときに、ミックによって投稿される決まり文句だ。Sluggerが長く続き、言論の場として高い評価を受けているのは、ユニオニストであれナショナリストであれ、記事を書くライターの間でもコメントを書き込む利用者の間でも、この精神が共有され、貫かれているからだ。

誰かの意見や行動を批判する場合、批判されているのはその意見や行動であり、その人の人格ではない(日本語の慣用表現を用いるなら「罪を憎んで人を憎まず」か)――この原則は、ウィキリークスとジュリアン・アサンジをめぐる攻防においては、おそらく意図的に、ないがしろにされている。

ガーディアンで17日付で、(ウィキリークスではない筋からの)リークに基づいた「スウェーデンの10日間」という記事が出た。現在、ジュリアン・アサンジにかけられている「容疑」の内容を、(部外秘であるはずの)警察の書類に基づいて、説明したものである。

初めに自分のスタンスを明示するために書いておくと、わかる範囲で判断して、ジュリアン・アサンジは男として最低である

ただしその「最低の男」のしたことは、刑法に基づいて逮捕され、起訴され、裁判所で裁かれるようなことではない。というか、国家権力を介入させるべきことではない。個人の間で勝手に解決してろ。それが私の意見だ。

それから、「自分のスタンス」云々とは別に、この記事に書かれている「事実」として最初にはっきり示しておく必要があることなのだが、「被害女性」が警察に届けることを決意したとき、彼女たちは「強姦・性暴力の被害にあった」と主張することを目的としていたのではない。「性感染症検査を受けろ」、「受けない」がこじれた挙句の警察行きだ。

正直、「性暴力被害」という深刻で重大な被害が、このような文脈で持ち出されることは、本当にその暴力を受けた/受けている/受ける人たち(男女問わず)にとっての環境を悪化させることはあれども、改善することはないと思うよ。本当に行使された暴力(物理的・心理的)と、「私にとっては暴力」と主張すればそれで通ってしまうものとは、区別しなけりゃならない。区別した上で、両方を尊重しなければならない。

さて、ガーディアンの問題の記事はこれだ。

10 days in Sweden: the full allegations against Julian Assange
Nick Davies
guardian.co.uk, Friday 17 December 2010 21.30 GMT
http://www.guardian.co.uk/media/2010/dec/17/julian-assange-sweden

この「ものすごい大リーク」に基づいた記事を書いたのはニック・デイヴィーズ……って、くはーー。(昨日、「策士新聞の情報操作、すごい技術だ。読むべき行間を正確に読めないと、踊らされるしかない」云々とtweetしたことの動機の一部はここにある。)

デイヴィーズの本:
0099512688Flat Earth News: An Award-winning Reporter Exposes Falsehood, Distortion and Propaganda in the Global Media
Nick Davies
Vintage Books 2009-02-02

by G-Tools

※どういう内容なのかはamazon.co.ukでレビュー参照でどうぞ。

つまり、メディアの情報操作について研究して本を書いて高く評価されている人(しかも社員ではないと思う。special correspondentだから)が、「何を見せ、何を見せずにおくか」が極めて重要な、この高度な情報操作のど真ん中の記事を書く。

しかもその記事が……クソ長い。しかも、ほとんどは読んでてうんざりする。ハーレクインか何かでありそうな話だが(てか昔こういう筋書きの安いミステリーを人からもらったペーパーバックで読んだ。70年代のロンドンで、ロックスターと寝た話を売って小銭を稼いでるグルーピーが陰謀に巻き込まれる、という話)、ありきたりでつまらないし、そもそも興味ないわ、んなこと。そのうんざりするところを突破して最後のほうにたどりついてようやく、知りたかったことが書かれている。

でも私は親切なので(笑)、うんざりする部分もちゃんと読んで説明しておこう。

スウェーデンでのレクチャーを控えた8月11日、ジュリアン・アサンジはストックホルムに到着した。彼を招聘した政党のスタッフで、アサンジ招聘のイベントの担当者である女性、Miss Aが、「しばらく留守にする予定なので、その間は私のフラットをお使い下さい」ということで日程を調整していた。そして彼女は予定より早く、13日にストックホルムに戻った。Miss Aとアサンジは食事に出て、一緒に彼女のフラットに戻った。(→どうでもいいが、@girliennesさんの「妄想物語」が、だいたいあってるのが可笑しい。)

で、そのあとMiss Aとアサンジがそういうことになったのは事実。ただしディテールは両者で言い分が食い違っているようだ。彼女は「そんなに急がないで」とか「お願い、つけて」と言い、彼はコンドームをつけるが、それが破れた。そのことについて彼女は「彼は意図的に破いた」と警察で主張しているようだ。また、彼女は「上から手足を押さえつけられていた」と主張、これが以前から伝えられている容疑の一部になっている(「自身の体重を用いて相手を押さえつけて性行為に及んだ」という内容……正確な文言はわからないし、「意図的に」とか「悪意を持って」とか「相手の意思を無視して」などの条件がついているかどうかも私にはわからない。そこまで確認の手間をかけるほど興味がないのですみません)。

【追記】12月23日、スウェーデンでしっかりした検証の結果、Miss Aの主張が否定されたようです。
Metro - Kondomen kan fälla Wikileaks-grundaren metro.se/2010/12/22/542… スウェーデン国立犯罪技術研究所(SKL)がアサンジが使ったコンドームは人為的でなく自然に破れたという結論を出した。くだらないけど、重要な結論。
http://twitter.com/#!/tassaleaks/status/17911470637449216

Kondomen som kan bli Assanges fall #aftonbladet aftonbladet.se/nyheter/articl… Aftonbladetはコンドームの拡大写真つき…
http://twitter.com/#!/tassaleaks/status/17912529715986433

【追記ここまで】

その後、アサンジはスウェーデン警察に事情を聞かれている(ガーディアン記事には、"When he was later interviewed by police in Stockholm" とあるだけで時期は明示されていない……ここ、覚えておいて下さい)。そのとき彼は「故意に破った」ということを否定し、さらに、この出来事があった次の週もMiss Aに追い出されることなく彼女のフラットに泊まっていたが、コンドームが破れたとかいう話は聞いてない、と述べている。こういうことについては何が「事実」なのかは確認しようがない。

翌14日、アサンジはMiss Aの手配したイベントでレクチャーを行なった。ここに来ていたのがMiss Wという女性と、この記事で「ハロルド」という仮名を与えられている男性。この「ハロルド」が超怪しいんだが、スウェーデンのウィキリークスのグループのコーディネーターだそうだ(the co-ordinator of the Swedish WikiLeaks group, whom we will call "Harold")。そして、アサンジとMiss AとMiss Wとハロルドと、その他何人かは一緒にランチを取った。そしてアサンジはMiss Wと一緒に町に消えた。Miss Wの供述によると、二人はMiss Wのオフィスに行ったあと、映画館に行って、そこでいろいろあったらしい。

その晩、Miss Aは自宅フラットでアサンジ招聘の打ち上げパーティを開いた。後に彼女の友人たち(うち1人、「モニカ」という名前の人がこのあともキーとなる証言らしきものをしているが……)が警察に、ここでMiss Aからコンドームの話を聞いたとか、あの男のセックスは暴力的で最悪だったと聞いたと証言している。しかし彼女は、アサンジを自宅から放り出しはしなかった。

大都会ストックホルムで、いくら夏の観光シーズンでホテルが予約でいっぱいの状態でも「私が追い出したらこの人は行き場がない」ということはありえないだろう(いろいろと安全策を講じなければならないアサンジのような人であっても)。それに、アサンジを泊めてくれる支援者が、ウィキリークスへの支持があつかったスウェーデンで彼女一人ということも考えづらい(現に「ハロルド」という男性が調書に出てきている)。

アサンジに対する容疑に「強要」があって、それはMiss Aのフラットに荷物を置いていたことだ、という説明を、8月の情報洪水の中で私はどこかで読んでいるのだが、ひょっとするとMiss Aの「アサンジはどうしても出て行こうとしなかった」という説明から、「強要」の容疑が出てきたのかもしれない。アサンジ側の説明では「どうしても出て行こうとしなかったという事態ではなかった」ということだが、これも芥川龍之介的な意味で『藪の中』だ。

そして16日(記事には、15 August ... . The following day, とある)、映画館に行ったMiss Wがアサンジに電話をし、その晩遅くにお会いしましょうということになった。そして、ストックホルムに近いEnkoping(「近い」っていってもかなり距離あるけどね……60キロくらい?)にあるMiss Wのフラットに行き、そういうことに……で、彼女が「コンドームつけて」と言ったら、彼はその気が失せて眠ってしまったが、その後夜の間に双方が目覚めて少なくとも一度やった、と。そのときは「彼は気乗りしないながらコンドームをつけた」と。

……どうでもいいです。

この記事(つまり警察の調書)にここまで執拗に「コンドームをつけたかどうか」が書かれているのは、それがスウェーデン刑法における「強姦罪」もしくは「性的暴行罪」、「強制猥褻罪」を構成する要素のひとつになるからなのだろうが(刑法そのものを見たわけではないので私にはよくわかっていませんが)、この記事がいかにどうでもよくてつまらないか、そろそろお分かりいただけたかと。

そしてMiss Wの供述によると、翌朝早く、彼女は朝ごはんを買いに出て、またベッドに戻って寝た(二度寝)。そして何やらゴソゴソされているので目が覚めた。これが「寝ていた相手に対する性行為」の容疑だろうか……。で、ここで彼女が「ほっといて、ウザイ、出てけ、やめろこのヤリチン」とか言ったのかと思いきや、「コンドームつけてる?」って言ったとかで……。おいおい。

「やめてくれ」と言った/意思表示したのに無視され(または「やめてくれ」と言えない状況を作られて)、無理やり挿入を伴う性行為をされたのであれば、それは強姦罪に問われるべきだ。起きていようと、寝ていようと。

「やめてくれ」と言った/意思表示したのに無視され(または「やめてくれ」と言えない状況を作られて)、無理やり挿入を伴わない性行為をされたのであれば、それはmolestationの罪に問われるべきだ。起きていようと、寝ていようと。

しかし、「コンドームつけてる?」って……それは「セックスそのものには合意があった」と見なされなきゃおかしい。(事実、彼女の訴えについては警察も検察もスルーしたらしいのだが、そこで何かはっきりしない情報戦らしきものがあって、わけわかんない状態になってる。)

そして、Miss Wの話では、アサンジは「つけてるわけないだろう」と言い、そのあと「まさかHIV持ってたりしないよね」、「それは大丈夫」というやり取りがあったそうだが、本当に男の腕力で押さえつけられてでもいない限り(それについてはこの記事には書かれていないのでわからない。警察の調書でそれが触れられているかどうかもわからない。ここで、記事の筆者ですよ……)、やるのに同意してなかったらベッドから出るなり何なり……。それどころか彼女は、「これ以上コンドームについて押し問答するのは面倒だから」って、オイ。

この会話をして、それについてあとから警察で話をしていた以上、「眠っていた」は通用しない。残念だけど。

でもスウェーデン警察は当初、それを「容疑」としていたようだ。これは無理筋もいいところで、こんなのは検察でスルーすることが決定されて当然だ(現に、8月21日の逮捕状はいったん出されてすぐに撤回されている)。

ガーディアンの記事によれば――これが非常にわかりづらいのだが――ストックホルムでのアサンジの聴取の警察の記録は、Miss A(自宅フラットを宿泊場所として提供した人)の訴えについてのみ扱っている、という。つまりストックホルムから少し離れた町の自宅に招いて一夜をともにしたMiss Wの訴え(「眠っている間に」云々)は、ガーディアンが入手したこの調書にはない、ということだ。また、アサンジとその弁護団は何度も、Miss Wとの件については何も悪いことはしていないと強調している、と。

(っていうか、ゴムくらいつけろこのクソバカ)

記事から当該部分:
The police record of the interview with Assange in Stockhom deals only with the complaint made by Miss A. However, Assange and his lawyers have repeatedly stressed that he denies any kind of wrongdoing in relation to Miss W.


最初は検察によってスルーされたという件については、8月の下記の記録を参照。

「スウェーデン当局が Wikileaks の創設者に逮捕状→スウェーデン当局が撤回」の混沌
http://togetter.com/li/43791
8月21日、「スウェーデン当局がWikileaksの創設者に逮捕状」との報道があり、その数時間後に「スウェーデン当局が逮捕状を撤回」との報道がありました。

日本時間で8月21日から22日にかけてのドタバタの記録。ちょっと貼っておこう。



この時点(8月21日)では、「容疑者」であるアサンジ側にはスウェーデン警察からの接触はなかった、とのことだ(No one here has been contacted by Swedish police)。つまり、日本の制度でいう「任意同行」とか「重要参考人」とかの段階がなく、いきなり「容疑者」になっているということか。また、12月のガーディアン記事で「アサンジ側はスウェーデン警察に対し〜と述べている」とあるのは、逮捕状がいったん取り下げられた後、スウェーデンを離れるまでの間に警察の事情聴取に応じたということか。

ところで、8月の記録を見てたら、我ながらいいまとめを作ってたなと自画自賛したくなってきたよ。ちょっと抜粋。タイムスタンプは日本時間(GMT +9)。逮捕状が撤回された後。
SWEDITH PROSECUTOR ADMITS THEY STILL HAVEN'T SPOKEN DIRECTLY TO #ASSANGE BUT THEY NOW ACCEPT THERE IS NO CASE FOR HIM TO ANSWER.
paulrbrennan ※英国のフリーランスのジャーナリスト、アルジャジーラ英語版で仕事
2010-08-22 00:26:23
http://twitter.com/paulrbrennan/status/21756661373

Wikileaks rape warrant cancelled: An arrest warrant for Wikileaks founder Julian Assange on accusations of rape an... http://bbc.in/9At6dw
bbcnewsworld
2010-08-22 00:49:25
http://twitter.com/bbcnewsworld/status/21758415377

http://bit.ly/aBsA0q http://bit.ly/awY019 http://bit.ly/cf80Wa 訳】今日、検察庁長官は「昨晩の担当の検察官とは違う方法で証拠を査定した。昨晩の担当者には殆ど情報がなかったが、新たに改めて全体像を見ることができた」
nofrills ※ポール・ブレナンさんの実況tweetの翻訳
2010-08-22 03:48:06
http://twitter.com/nofrills/status/21770032166

http://bit.ly/arwnPR http://bit.ly/9VYpmU 訳】つまり主任検察官は落ち着いて事態を検討し、昨晩の担当検察官の決定を覆したということになる。なお、ここで紹介している言葉は検察官のスポークスウーマンとアルジャジーラのインタビューでのもの。
nofrills
2010-08-22 03:53:35
http://twitter.com/nofrills/status/21770338202

@newsbrooke Spoke by phone repeatedly to Karin Rosander in prosecutors office. Seen warrant? No, because it's IN SWEDEN.
paulrbrennan
2010-08-22 01:42:43
http://twitter.com/paulrbrennan/status/21762273179

http://bit.ly/9VSNmU 訳】(誰かから質問されたのに返信して)検察庁のKarin Rosanderさんと何度も電話で話をしている。逮捕状を見たかとの質問については、見ていない。なぜなら現物はスウェーデンにあるから(そして自分はスウェーデンにはいないから)。
nofrills
2010-08-22 03:56:23
http://twitter.com/nofrills/status/21770493718

スウェーデンの「検察庁のKarin Rosanderさん」については、「抗告したのはスウェーデン当局ではなく英当局」の件も参照。

(ちなみに、これら法的手続きについては何ら常軌を逸した不自然なところはないとのこと。法律家筋のブログなどでの解説がソース。あとで言及できるといいのだが、たぶん無理。しかし、常軌を逸していないとはいえ、利用できるループホールは多い。ロンドンで、英国に亡命して市民権を取っていたアレクサンドル・リトビネンコを殺したとされる容疑者がロシアに戻ったら、モスクワにロンドン警察が行って事情を聞いていた。殺人という重大な事件でもそうだよ。しかも普通の、刺したとか撃ったとかの殺人じゃない。核物質による毒殺だ。どんだけ一般社会に脅威与えてんだ、という。)(←私のスピンにも注意してください。書いてないことあるよ。「身柄引き渡して当たり前」とかいう意見が多いのでスピンかけてみた。)

ちなみに今回大騒動で決着したのは、「身柄引き渡しをするかどうか」ではなく「身柄引き渡しの可否を決めるまで、拘置所に閉じ込めておくかどうか」である。また、英国では起訴前の容疑者拘置は例外的なことだ(日本とは違う……たぶん、これわかってる人ってとっても少ない)。北アイルランドでさえも、例えば、英軍に対する銃撃を実際に行なったと思われる容疑者は拘置されても、武器所持容疑で逮捕された武装組織メンバーでギャング活動の指揮をとってると思われる人物は保釈される(released on bail)ことが多い。一度、UDAの幹部だった男が亡命(笑)先のスコットランドで、パブで暴れるか何かして逮捕され、うっかり保釈されちゃった直後に、法廷の駐車場で奥さん殴って即時逮捕され、凶暴すぎるという理由で収監されたことがあったが、そのとき彼はUDAの内紛でいろいろとやばい立場にあった。

閑話休題。

で、上記引用部分のあと、ジャーナリストのポール・ブレナンさんはスウェーデンに取材に向かった。そのあとの彼のtweets:
Hello from Sweden! I've just interviewed the Chief Prosecutor in Assange case.
paulrbrennan
2010-08-23 23:20:36
http://twitter.com/paulrbrennan/status/21917527506
(スウェーデンにいます。アサンジのケースについて主任検察官に話を聞きました)

Prosecutor says Assange is not barred from leaving Sweden if he wants.
paulrbrennan
2010-08-23 23:25:00
http://twitter.com/paulrbrennan/status/21918029578
(検察官いわく、アサンジは望むならスウェーデン国外に出ることはできると)←当時この態度をとっておいて、あとから身柄引き渡しだの、EAWだの、ということになっている。少なくとも「重大な犯罪」での対処じゃないよ。

Prosecutor says when she reviewed the evidence there was "no suspicion of rape"
paulrbrennan
2010-08-23 23:27:53
http://twitter.com/paulrbrennan/status/21918029578
(検察官いわく、証拠を検討したところ、「強姦の疑いはまったくない」と)

Prosecutor: I'm not saying the claims weren't credible, just that it did not constitute rape.
paulrbrennan
2010-08-23 23:31:28
http://twitter.com/paulrbrennan/status/21918277543
(検察官いわく、申し立てに信憑性がないと言っているのではない。ただ、強姦を構成しないということだ)

ここらへんのことは、既に8月に書いているのでそちらもご参照の程。

2010年08月23日 セックスと嘘と…ウィキリークス
http://nofrills.seesaa.net/article/160378383.html

そしてここでガーディアンの12月17日の記事に戻る。
http://www.guardian.co.uk/media/2010/dec/17/julian-assange-sweden

アサンジ側は、Miss Wはアサンジと寝ることに積極的だったのだが、法廷沙汰にする上では彼女が(Miss Aに対し)イニシアティヴを取った……などと述べている、ということが書かれたあと(これが元で、彼女が「有名人とヤった」ことを自慢しては、タブロイドにその話を売るような軽い子だ、という主張もなされているようだが、これもまた一方的だ。話半分でよし)、なぜこのくだらない(失礼)「あの男、サイテー」という話が法廷沙汰になったのかが説明される。

いわく、(おそらくアサンジとセックスすることには同意していたと思われる)Miss Wは、翌朝、緊急避妊薬を買いに行き、病院で性感染症の検査を受けた。彼女は、アサンジにも検査を受けてほしいと連絡した。しかしアサンジは、時間がないのでという理由でこれを拒否。

(ほんっとにサイテーである。ヤリチンならヤリチンとしての責任を持て、このクソバカ)

8月18日、警察の記録によればMiss Aが「ハロルド」と別の友人に、「アサンジが私のフラットを出て行かないしベッドも彼が使っている」などと語った。ハロルドは後に警察に対し、アサンジになぜ出て行かないのかと聞いたが、アサンジはMiss A本人からそんなことは言われていないと驚いていた、と述べている。

そしてMiss Aの証言では、アサンジは常に彼女に対して性的なことをしてきていて、彼女はウンザリしていたという。記事に書かれている具体的な事例は、正直私も読んだだけでウンザリするようなものだ。

彼女の言っているようなことがほんとにあったのだとしたら(そして実は私はその可能性はとても高いと思っている)、気の毒なMiss A。何らかの力関係が生じたときに、「NO」と言えない、「あなたの行為によって私は嫌な思いをしています」と言えない、「出て行ってください」と言えない、ということは生じうる。というかありがちだ。それに、社会的に尊敬されているような人が、プライベートでは暴力的だった場合、「被害者」側がどんなに「あの人はひどい人です」と主張しても、誰も信じてくれないかもしれない。その場合、法廷という道が残されているのなら、その道をとることは完全にその人の権利だ。

しかし、Miss Wについては正直、「無理やりセックスをさせられた」とは思えないし、彼女が訴える「被害」とMiss Aの訴える「被害」とを、スウェーデン当局や報道機関が切り離さずに扱っている/積極的に切り離そうとした形跡がないということが、非常に大きな疑問として残る。

この「性暴力」の容疑、「加害者」は同じでも、複数の「被害者」は別の日に別のところにいたんだし、それぞれ別個の事件じゃないの? それをなぜ、一緒くたにしておく? クラリファイしない?

だから意味がわからないんである。

記事に戻る。

8月19日、Miss Aは「ハロルド」に電話をし、ついにアサンジとのことについて全体像がわかるような話をした。ハロルドはアサンジと直接話をしたが、アサンジはMiss Aの主張にショックを受け、すべてを否定した。一方、20日までにMiss WがMiss Aに、アサンジの居場所がわかれば教えて、的なメッセージを送っていて、ここで女性2人が会って相互の体験を話した。

そして「ハロルド」はガーディアンに対し (Harold has independently told the Guardian)、アサンジに性感染症の検査を受けるよう説得してほしい、じゃないとMiss Wがパニクってて大変、的な内容で、Miss Aから何度も電話があった、と語っている。

...... Miss A. あなた、よほどの無私の人なのか。あるいはすべてMiss Wのせいにしたいのか。あなただってコンドームが破れたとか言ってたじゃないか。

そしてアサンジは検査を受けようとせず、ここでMiss Aが「あなたが検査を受けないと、Miss Wは警察に行く」と。アサンジはこれを「脅すのか」と言って断った――というのが、「ハロルド」の警察での証言。(ここらへん、証言がいろいろと食い違っているらしい。)

そして金曜日(20日)の午後遅く、アサンジは検査に同意したが検査を受けられる医療機関はもう閉まっていた。週末でね。

ここで普通なら、翌週の月曜、という展開になるところだ。

しかし、Miss Aがハロルドに電話してきて、既にMiss Wと一緒に警察に行ってきた、と告げた、と。

つまり、のらりくらりと性感染症検査を受けようとしなかったあんたが悪いんだ、と。で、「彼は私の意思に反してコンドーム使わなかった、レイプだ」って訴えたんですか。あほか。

そしてその晩、「女性2人がアサンジを訴えた」ことが、スウェーデンのタブロイド、Expressenにリークされた、と。

※書きかけ



ページの許容量を超えているので、続きはページを改めます。法的手続きとしての話はこの先に。(まだまだ長いよ。何しろ原文がクソ長いから)

続き:ジュリアン・アサンジは男として最低である(たぶん)……
http://nofrills.seesaa.net/article/174140724.html

※この記事は

2010年12月19日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 19:30 | TrackBack(0) | Wikileaks | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

この記事へのトラックバック





【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

……全文を読む
▼当ブログで参照・言及するなどした書籍・映画などから▼