kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2010年08月13日

英王室はホメオパシーのみにて健康を維持するにあらず。

↑いや、いちいち書くまでもないと思うんだけどね。

ホメオパシーのどういうところがどのように問題なのかについて、大阪大学サイバーメディアセンターの菊池誠教授が、非常に明解に説明した文章が、8月13日付でシノドスに掲載されている。

ホメオパシーをめぐって(1) 菊池誠
http://synodos.livedoor.biz/archives/1489733.html

文章は、先日全国紙の記事でも報道された「ビタミンK2」の民事訴訟の件(ある新生児がビタミンK2欠乏症で亡くなったのだが、ホメオパシーをやっている助産師がその新生児に与えていたのが、「ビタミンK2シロップ」ではなく「ビタミンK2レメディ」だった上に、助産師は母子手帳に「ビタミンK2投与」と嘘の記載をしていた)についての説明に始まり、「ホメオパシーとは何か」、「それはなぜだめなのか」をわかりやすく説明している。

付け加えるならば、「ホメオパシーは200年ほど前に、ドイツのザムエル・ハーネマンという人物によってはじめられた代替医療のひとつで、ヨーロッパを中心として根強い人気がある」という文脈に、「1960年代以降のヒッピー思想の中で見直され」とか、「欧州ではインドで幅広く採用されているとのうたい文句がある」とかいったことがあるが、まあそれは別の話だ。

で、この記事の末尾にある自動挿入のワードマッチ型広告が、例によってホメオパシー業者ホイホイ状態になっているのだが、ここに例に寄って例のごとくの決まり文句がある――「英国王室御用達」。(右のキャプチャ画像の4番目。なお、画像は一部マスキングの処理をしてある。)

常々疑問だったのだが、「ホメオパシーは英国王室御用達です」とやたらと強調したがる人たちは、英国王室の皆さんがホメオパシーだけで健康を維持しているとでも言いたいのだろうか? あるいはそう考えているのだろうか?

だとしたらそれは誰にでも確認できる形で、簡単に反証できる。

「王室御用達」はRoyal Warrentといい、現在はエリザベス女王、エディンバラ公の夫妻とチャールズ皇太子の3人が出すものとなっている(2002年に亡くなるまでは皇太后の「御用達」もあったが、アン王女やヨーク公やウィリアム王子といった人々の「御用達」のしるしはない)。3人のそれぞれが5年以上愛用している商品やサービスについて「御用達の証」を商品に表示する権利が与えられ、ウォレントを得ている商品はそのパッケージやラベルに3人のエンブレム(←用語的に正確ではないけど簡略にするためこうします)を印刷することができる。例えば文具のスマイソンは3つのエンブレムを掲げており、女王夫妻と皇太子3人の御用達であることがわかる。一方で、ジャムのフランク・クーパーは女王のウォレントだけだ。

で、この「パッケージにエンブレム」は「何となく高級感を出したい」場合や、「『英王室』をありがたがる大きな市場がある」場合(おみやげ物業界、また米国や日本など)によく用いられる。他方で、そういう権威付けをしなくてもよいブランド・企業や、逆にそれが「堅苦しい」、「古臭い」などマイナスイメージにつながりかねない場合は、パッケージにエンブレムを掲げたりはしていない。

ウォレントの許可は5年ごとに見直される。近年、見直しでウォレントを失った企業としては、百貨店のハロッズ(いろいろあったせいか、女王はもはやこの百貨店でお買い物はなさらないということで)、タバコのベンソン&ヘッジズ(来客用に調達していた物品で、本人が使用するわけではないとのことで)などがある。

現時点で、どの会社がどのような商品・サービスでロイヤル・ウォレントを得ているかは、下記のサイトで確認できる。現在、約850のウォレントが発行されているのだそうだ。
http://www.royalwarrant.org/index.html

ここのDirectoryのところでドロップダウン・メニューを見ると、商品・サービスの大まかなカテゴリが出てくる。「農具」、「動物用飼料」、「飲料」、「書籍」、「衣料」、「化粧品」、「ガラス器」、「害虫駆除」、「電話」、「配達」などなど、人が生活する上で使うもの・サービスは全部あるんじゃなかろうか。
http://www.royalwarrant.org/directory/

さて、このたくさんあるカテゴリの中から、ホメオパシーの文脈で参照すべきは、Chemistsのカテゴリだ。(Chemistの意味がわからない人は辞書参照してください。)
http://www.royalwarrant.org/directory/results.html?category=11&grantor=&startAt=0&query=&search_btn=Go

このカテゴリには現在、以下の業者が掲示されている。

- C.J. REID (ETON): Pharmacy: HM The Queen - Master of the Household
(C. J. リード:調剤薬局:女王−世帯主)

- JOHN BELL & CROYDEN LTD: Pharmacists: HM The Queen - Privy Purse
(ジョン・ベル&クロイドン社:薬剤師・薬局:女王−国王手許金)

- WALLACE, CAMERON & CO LTD: First Aid Supplies, Training and Disinfectant Supplies: HM The Queen - Privy Purse; Manufacturers & Suppliers of First Aid Dressings: HRH The Prince of Wales
(ウォレス・キャメロン&Co社:救急用品、訓練、消毒薬:女王−国王手許金;救急用包帯等製造・販売:皇太子)

- WALTER DAVIDSON & SONS LTD: Chemists: HM The Queen - Privy Purse; Chemists: HRH The Prince of Wales
(ウォルター・デイヴィッドソン&サンズ社:薬局:女王−国王手許金;薬局:皇太子)
- AINSWORTHS HOMOEOPATHIC PHARMACY: Chemists: HM The Queen - Privy Purse; Chemists: HRH The Prince of Wales
(エインズワース・ホメオパシック・ファーマシー:薬局:女王−国王手許金;薬局:皇太子)

- D.R. HARRIS & CO LTD: Chemist: HRH The Prince of Wales
(D. R. ハリス&Co社:薬局:皇太子)

最初の「C. J. リード」はウィンザーにある薬局。この業者はウェブサイトがないので詳細がわからないが、よくある調剤薬局のようだ。風景画家が描いた店舗の絵ではバレンタインの飾り付けなどもしているようなので、薬局専業ではないのかもしれないと思って見ると、Pharmacy Wine Merchantとある。「薬局、ワイン販売」? ちょっとよくわからない。要するにウィンザー城のご近所の商店だろうか。

次の「ジョン・ベル…」社は、店の規模や品揃えはすごそうだが、普通に薬局(ドラッグストア。市販薬も化粧品も扱っているような)だろう。サイトのショップの「咳や風邪」のコーナーを見ると、本当に普通の市販薬の薬(「西洋医学」の、製薬会社が作ったもの)が並んでいる。
http://www.johnbellcroyden.co.uk/

その次の「ウォレス…」社はファーストエイド・キットでこれは包帯とか絆創膏とかいったもの。(こんなところにまで「御用達」があるのか……細かいなあ。)
http://www.wallacecameron.com/

その次の「ウォルター・デイヴィッドソン」社はスコットランドでチェーン展開している薬局。王室はスコットランドにも居城があるので、ということだろう。ここもファーマシーとしての登録番号を掲げており、「代替医療」の薬局ではない。
http://www.wdavidson.com/

その次がホメオパシーの「エインズワース」社だ。
http://www.ainsworths.com/

このサイトには、複数の箇所に次のような注意書きがある。
Ainsworths homeopathic products are without approved therapeutic indications
当社のホメオパシー製品は、承認された治療指標外です(というようなこと)

つまり「薬」ではない、と明示している。

なお、エインズワースのサイト、使い方が難しくて私にはよくわからないのだが、ざっと見たところ「ホメオパシーとは何ですか」的な解説は特になく、「かくかくしかじかだから普通の薬ではなくホメオパシーを使うべき」と力説するようなコーナーもなく、これがどういうものかをわかってる人が淡々と買い物をするためのサイトという印象だ。

そして最後が皇太子だけの御用達となっている「D. R. ハリス」社。ここは「ケミスト」でエントリーしているが(実際、薬局である)、店としては「自然派」の男性用化粧品(アフターシェーブなど)が得意なようだ。ロンドンに旅行に行ったときのお父さんへのお土産などにいいかもしれない。(「王室御用達」の用途って結局そういうところだと思う。「特に何も説明しなくても、お父さんも『お、これはいいものだな』と納得」みたいな。)
http://www.drharris.co.uk/store.php

……というわけで、英王室は確かにエインズワース社を「御用達」にしているけれど(女王と皇太子が)、代替医療一本やりというわけではない、ということです。

例えばちょっとした頭痛ならアスピリンを飲まずに「いつものレメディ」で治すのかもしれないけど、インフルエンザなど感染症にかかったらホメオパシーのレメディではなく普通の薬を処方してもらって服用するだろうし。

あと、英国でホメオパシーが「広く」用いられているといっても、その範囲はおそらく日本での漢方や鍼灸ほど広くはないのではと思います。NHSの対象から外さないでほしいというのは、私が見聞したケースでは、「医者に行っても原因不明といわれるが自分ではやかましくてならない耳鳴りがおさまった」とか、「慢性の腰痛に効果があった」とかいった生命には関わりのない範囲でホメオパシーを利用している人たちや、その人たちの理解者だった(「プラセボプラセボってばかにするけど、ほかの薬が効かなかった私にはこれが効いているんだからほっといて!」的な感情論もあった)。「ホメオパシーの予算っつっても、ほかの無駄から見れば全然小さいんでしょ。自分はホメオパシーは信じないけど、わずかな歳出削減のために選択の幅を狭めるのは問題じゃないか」という「リバタリアン」的な意見もあった。

この件に関しては、いつもすばらしいお仕事連発の「忘却からの帰還」さんで:
英国保健省は、ホメオパシーを軽度の症状に限定している
http://transact.seesaa.net/article/158407731.html


てなところで、シノドスのきくち先生の記事に表示されていた「英国王室御用達」の広告主のサイトを見てみた。URL手打ちして。

広告主のサイトには「世界の癒しグッズ販売」という枕詞(?)がついている。「自然医療」とか「自然療法」といったコンセプトの商品の通販サイトだが、サイトの中身は「自然療法/医学(ナチュロパシー)」(←訳語がサイト内で不統一)とは何か、「ホメオパシー」とは何か、といった説明のページと、いろいろな話題の記事のページ、「先生への質問」のフォームのページ、Aboutのページ(特商法関連もここに記載)があり、さらに「ショップ」のページがある。

「先生」が現在この会社の社長なのか何なのかが判然としないのだが、日本在住の英国人であるこの「先生」がこの会社を設立したということは明示されている。で、この「先生」の名前の後ろについている肩書きが「ND, DipHom」と、英国マニアの私でも見たことがないものだ。DipHomは「ディプロマ・ホメオパシー」だろう。「ND」は「ナチュロパシー・ドクター」だろうか。

……と、「先生」のプロフィールを見ると、「英国ロンドンのナチュロパシック・メディスン大学卒業」とある。ここですね。The College of Naturopathic Medicine UK.
http://www.naturopathy-uk.com/

「ドット・コム」のURLで「大学」もクソもございませんわ。そこ突っ込むまでもなく、英国ではcollegeといえば日本の「専門学校」ですけど。

サイトを見ると、本部はウェストサセックスで、ロンドン、ブリストル、ブライトン、バーミンガム、マンチェスター、エディンバラに校舎。明らかに「専門学校」。Diplomaってこういう教育機関が勝手に出せるものだったっけ? というのは確認が面倒なのではしょる。単に「過程の修了証書」だと言いぬけるのだろうし。一方、NDについてはさすがあたくし、Doctor of Naturopathic Medicineの略称で大当たり。

んで、こういうのを第一印象で「(よくわかんないけど)うさんくさい」と思うか、「(よくわかんないけど)しっかりしていそう」と思うかが進む道を決めるのだと思うけど、とりあえず先に行こう。

件の広告主(シノドスのページに表示されるワードマッチ広告の主であるサイト)が販売しているのは、「ホメオパシー」、「電磁波防止グッズ」、「ヒーリングCD」、「ヒーリングストーン」。CDは日本盤としては普通の価格(輸入盤としたら5割高い)、石は値段の相場とか知らないのでわかりません。電磁波グッズは、ここで売られている商品の名称で検索したら輸入販売元のサイトがヒットしたので見てみると……。



ノーコメント。

で、そんなのは余談で、本題は「ホメオパシー」の通販。シノドスに表示されていた広告によると、これが「英国王室御用達」のはずで、ホメオパシーで「英国王室御用達」っていうと、Ainsworths社だろう、と思ってみると、やはりそうだ。

どういうわけか日本でこの「英国王室御用達」のホメオパシー・ブランド(エインズワース)をありがたがる傾向は前にも確認している。例えば「ANAの客室乗務員がオススメするお土産」みたいなところで紹介されてたりとか(2008年)――ANAのCAがオススメしているのはホメオパシーではなく、バッチフラワー・レメディで、気分をリフレッシュさせるためのスプレーなのだが(これは、価格がバカ高いことに本人が納得して消費するのなら、「個人の選択」としてOKの範囲の商品だと思う)。

ANAのサイトで「エインズワース薬局」と「薬」扱いしているのは不気味かもしれないが、これは翻訳の幅の範囲内だろう。

で、このAinsworths社の商品について「英国王室御用達」と書いてワードマッチ広告を出していた通販会社は……ええと、サイトにはArticlesというコーナーがあって、ドイツのビルトとか、ロイター通信とか、アメリカのシアトルタイムズといった大手が掲載した「インフルエンザワクチンに疑問」系統の記事を(たぶん)要旨をまとめた形で紹介している。あんまり過激ではないのだけれど、著しくバイアスはかかっている。

そして創設者の「先生」はこのコーナーで、積極的で激烈なワクチン拒否の演説をするのではなく、おだやかな調子で「ホメオパシーの薦め」を綴っている。「質問」コーナーにも「あくまでもセルフケアのためのヒント」、「治療アドバイスや診断ではない」という注意書きがなされ、「健康について不安がある場合には、専門の医者・ホメオパスなどに相談」するようにと書いている。「専門の医者」とあるところが、「西洋医学」を全否定する過激派とは異なっているように見える。

まあ、そんな感じのサイトだった。

なお、このサイトのAinsworthsの商品の価格が高いのか安いのかは私には判断基準がないので不明。サイトで直接通販(個人輸入)すれば確実にこれより安いのだけど、今の時代、輸入代理店通して買う人は英語のページで買い物をするというコストを払う代わりにお金を払っていることは納得しているのだろうし。



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※この記事は

2010年08月13日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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