kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2010年03月01日

英下院の科学技術委員会の「ホメオパシーについての報告書」の件(記事リンク集つき)

先ほどはてなブックマークの「コメント欄」に書いたことが、はてブの字数制限(100字)的に無理がある内容だったので、簡単にエントリを書いておく。以下、体がだるくあまり厳密な記述はできないので、記述が雑になっているかもしれない。その点はお含みおきいただきたい。

「科学」系(「ニセ科学」系というほうが正確か【追記:私がここを拝見するときは「ニセ科学」についての「科学的」な記述を探すとき】)のブログの中でも私がよく拝読している「幻影随想」さんの2月28日のエントリ:

2010年02月28日 ホメオパシーがようやく英国から追放されそうな件について
http://blackshadow.seesaa.net/article/142410002.html
冒頭部分から:
ここ2週間ほど忙しくて取り上げている暇が無かったのだが、英国の公的保険からいよいよホメオパシーが完全に追放されることが確定した。

英国議会は「NHSでホメオパシーはもう扱わない」と言う - 食品安全情報blog
http://news.sciencemag.org/scienceinsider/2010/02/-end-homeopathy-on-nhs-say-briti.html?etoc
英国下院科学技術委員会は本日発表した報告書で、ホメオパシーはただのプラセボであり、NHSで提供されるべきではない、と結論した。1948年からNHS でホメオパシーを扱っている。さらに委員会は医薬品安全性担当機関であるMHRAに対し、無作為対照化試験で有効性が示されていないホメオパシー医薬品の薬局での販売承認を中止すべきであると助言した。
この結論は驚くべきことではない。委員会はさらに「ホメオパシーは十分な試験が行われており、ホメオパシーには効果がないというたくさんの根拠がある」と結論してさらなる研究の要請も否定した。


つまり、28日の「幻影随想」さんは、23日の「食品安全情報blog」さんを参照し、後者はFebruary 22, 2010 1:33 PM のタイムスタンプで出ているScienceMagのブログ記事を参照している。

その際に、「誤訳」まで行かないような「翻訳時のズレ」が生じ、その結果として「幻影随想」さんのエントリがややミスリーディングな書き出しになってしまっているようだ。

大元のScienceMagのブログ記事の見出し:
"End Homeopathy on NHS," Say British MPs
by Tim Wogan on February 22, 2010 1:33 PM


これは、「新聞記事の見出し」的な書き方になっているが(普通の文章なら過去形 said を使うところが現在形 say になっている)、そのまま素直に日本語にすると:
「NHSでのホメオパシー処方をやめろ」と英国の国会議員たちが言った


これが、「食品安全情報blog」さんでは:
英国議会は「NHSでホメオパシーはもう扱わない」と言う

まず、カギカッコ内は、「これは英語の新聞記事の見出しを直訳したものだ」という前提と、英語の新聞記事の見出しの読み方の基本的なハウツーが共有されているところではこのままでよいと判断されると思うが、一般的な日本語での記事見出しとしては「誤訳」と言わざるを得ないかもしれない。少なくとも、記事本文では「(ホメオパシーは)NHSで提供されるべきではない」と言語化されている内容が「NHSでホメオパシーはもう扱わない」となっているのはまずい。しかも主語が「英国議会は」。

他のケースを考えれば「英国の国会議員たち British MPs」が「英国議会」を表すことがないわけではないが、今回の場合は、「食品安全情報blog」さんの本文にあるように、「英国議会」ではなく、英国議会の中の下院のひとつの委員会(「英国下院科学技術委員会」)を意味する。(日本の制度での用語でいえば「国会の文部科学委員会」だ。)

一般論として、「国の議会(国会)」がかくかくしかじかと結論した、という場合と、「国会の委員会」がかくかくしかじかと結論した、という場合とでは大きな違いがある。前者は立法府として議論を行ない、結論がそうなったので、かくかくしかじかという法律ができる、という話になる。一方後者では、議会での議論を行なうための前提を決めた、という話になる。

つまり、「英国議会」が「なんとかかんとかを廃止する」と結論した場合、例えば「なんとかかんとか廃止法」が、法案としての審議を経て成立した、ということになる。

「英国下院なんとか委員会」が「なんとかかんとかを廃止する」と結論した場合は、例えば「なんとかかんとか廃止法」を作るとかいった方向性で議論を開始する、ということになる。

「幻影随想」さんではそこが少し曖昧なまま、話が「英国におけるホメオパシー」から「日本におけるホメオパシー」へと進んでしまっているが、英国の国会では現時点ではまだ何も結論は出ていない。議論を開始するための出発点というか前提(「ホメオパシーは偽薬である」)が定められた段階にすぎない。

なお、英国下院の科学技術委員会の報告書を受けて、英国では主要メディアも地域メディアも個人のブログも、一斉にこの件について記事を書いていた。どのくらいの記事が書かれたかはGoogle Newsで確認できるだろう。
http://news.google.co.uk/news/search?aq=1&cf=all&ned=uk&hl=en&q=homeopathy&oq=hom

この検索結果を日付順でソートし、Past weekを選択すると、現時点(日本時間3月1日午前2時)で162件。この話題(「NHSでホメオパシー」の是非について)で一番古いのが、Google News上では2月21日付(←ウザいんだけど米国時間)のインディペンデントの記事だ。下院の委員会の報告書が出る前日に書かれている。



Philip Hensher: Homeopathy is a waste of NHS money
We don't object to people spending their healthcare money on anything they choose
Monday, 22 February 2010
http://www.independent.co.uk/opinion/commentators/philip-hensher/philip-hensher-homeopathy--is-a-waste-of-nhs-money-1906514.html

これは私は数日後に系列のベルファスト・テレグラフで読んでいるが、「子供がコケたときにママに『痛いの痛いの、とんでけ〜』ってやってもらうと治るからといって、国民健康保険で『痛いの痛いの、とんでけ〜病院』を作るか、っていう話だ」とかいうどうでもいいようなコラムで(書いてるのは芸能ネタから何から何まで一緒くたに引き受けるコラムのライターらしい)、現代におけるホメオパシーの問題点(現代の一般的医療の否定、西洋科学の否定とセットになっている点)が存在していることなど、この文章からはまったく見えてこない。

というか、私はこの件について英メディア(いつも読んでいるガーディアンとベルファスト・テレグラフとタイムズ、BBCでも見た記憶はある)のコラム・記事を読んでいるが、ホメオパシーが「一般的医療の否定、科学の否定」の上に立っていること(つまり、例えば「親が子供にワクチン接種を受けさせず、子供が病気になっても『薬』を与えず、『レメディ』と称する砂糖粒を与える」などといったことがある、ということ)を問題視している書き手は見かけていない(見てる範囲が狭いという可能性もあるが)。メディアで記事(っていうか読み物コラムだけどね)を書いてる人たちも、その記事(コラム)のコメント欄で何かをつぶやいていく一般読者も、「プラセボだっていいじゃない、治るんだったら」が基本だ。

じゃあ、何が話題となって160件を超える記事が出ているのかというと、淡々とした報道のほか、「下院の科学技術委員会はなぜそんなどうでもいいように見えることを真剣に話し合っているのか」についてあれこれ書かれているからだ。

その典型例が、ガーディアンのゾーイ・ウィリアムズというどんな話題でも素材としてコラムを書いてる人の記事。(なお、私はこの人の書くものの中身のなさが元から嫌いなので、「公正な目」では見ていません。)

This homeopathy row has nothing to do with placebos
Thursday 25 February 2010
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2010/feb/25/homeopathy-nhs-costs-parliament
書き出し:
A cross-party group of MPs this week agreed that homeopathy should not be funded by the NHS: nobody has yet agreed, however, the extent to which the health service is funding homeopathy. The Society of Homeopaths estimates £4m a year; health minister Mike O'Brien put the spend at £152,000 a year. Is that the whole problem here? ...

んな感じで、ホメオパシーの推進団体は「年に£4,000,000」と言い、保健省の閣外大臣(ミニスター)は「年に£152,000」と言っているが(←この数値、要注釈なんだけど、ゾーイ・ウィリアムズはそういう綿密な仕事をして給料をもらってる人ではないので……詳細後述)、もし本当に15万ポンドくらいなら問題になるほどの金額ではないし、「こんな中身のない話でこんなに熱くなって、いったいどうしちゃったのかしら、ほほ」みたいなこと (There has never been a hotter, yet less substantial potato than the argument about homeopathy. ... Even when the NHS is involved, these issues are still not as large as they're made out to be.) が書いてある。頭が痛い。

でも、もう少し広い範囲で見ても、これが取り立ててignorantでlazyな反応というわけではない。余計に頭が痛い。

なお、どうでもいい読み物コラム系の記事ではなく、真面目な報道記事は、下記などを参照。あ、その前に報告書そのものはこちらです(本文の1行目にある 'Evidence Check 2: Homeopathy' をクリックでPDFファイルが開きます)。

Stop homeopathy funding, says Commons committee
Sarah Boseley
guardian.co.uk, Monday 22 February 2010 11.28 GMT
http://www.guardian.co.uk/society/2010/feb/22/stop-homeopathy-funding-commons

NHS money 'wasted' on homeopathy
By Nick Triggle
Health reporter, BBC News
Page last updated at 14:41 GMT, Monday, 22 February 2010
http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/8524926.stm

British homeopathy funding is "bad medicine": panel
Mon Feb 22, 2010 6:45am EST
http://www.reuters.com/article/idUSTRE61L26E20100222

No more homeopathy on the NHS, MPs demand
Monday, 22, Feb 2010 03:10
By politics.co.uk staff
http://www.politics.co.uk/news/health/no-more-homeopathy-on-the-nhs-mps-demand-$1361745.htm

MPs call for end to NHS funding of homeopathy
22 Feb 10
By Ian Quinn
http://www.pulsetoday.co.uk/story.asp?sectioncode=35&storycode=4125148&c=2

MPs: NHS should not fund homeopathy
the Press Association
http://www.google.com/hostednews/ukpress/article/ALeqM5ifCTsg6Y8BKcf4hmxv7g2fdB06jA

No more NHS funding for homeopathic medicine say MPs
By Jeremy Laurance
Monday, 22 February 2010
http://www.independent.co.uk/life-style/health-and-families/health-news/no-more-nhs-funding-for-homeopathic-medicine-say-mps-1907189.html

February 23, 2010
NHS should stop funding homeopathy, say MPs
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/politics/article7036441.ece

NHSからどのくらいの金がホメオパシーに使われているかについては、タイムズがいい仕事をしている部分を抜粋。
The NHS spends £152,000 a year ― 0.001 per cent of its total drug budget ― on homeopathic prescriptions. The Government was unable to provide figures for how much it contributes to the running costs of four homeopathic hospitals ― one in Glasgow and three in England. Mike O’Brien, the Health Minister, said that the budget was probably less than £12 million.

つまり、上のほうでみたガーディアンのゾーイなんとかのしょーもないコラムで「閣外大臣が挙げた数字」とされているのは処方箋で処方されるレメディの分。このほかに大きいのがホメオパシー病院で、これは「ロイヤル」がついているので王室もかかわりがあって云々……という話は、日本で「英国」をブランドにしながら、普通以上にうさんくさいホメオパシー(ついに「しっくいは、よりしっくいらしく」なんてことまで始めたらしい)を広めようとしている団体が喧伝している通りだが、ともあれ、そういう病院の運営に最大で£12mがかけられている、とのこと。

要点解説としてはFTのブログのがとても読みやすかった。

Homeopathy may not work but placebo does
February 22, 2010 5:09pm
by Margaret McCartney
http://blogs.ft.com/healthblog/2010/02/22/homeopathy-may-not-work-but-placebo-does/
On February 22nd the UK government Science and Technology Committee published Evidence Check 2: Homeopathy and concluded that "the NHS should cease funding homeopathy". Hurrah!

It also noted that "the Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) should not allow homeopathic product labels to make medical claims without evidence of efficacy. As they are not medicines, homeopathic products should no longer be licensed by the MHRA." Hurrah again.

But this is the really really interesting bit. ...


最後に、Trick or Treatmentの著者のご意見:

No to homeopathy placebo
Edzard Ernst
guardian.co.uk, Monday 22 February 2010 18.31 GMT
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2010/feb/22/science-homeopathy-clinical-trials

父親がホメオパシーの人で、かつて自身もホメオパシーの病院で医師としてのキャリアをスタートさせた筆者は、以前とは違ってホメオパシーを批判的に見るようになった。第一に、ホメオパシーは「科学」としてお話にならないということ。この点を確認するために、ホメオパシーのレメディと、普通の偽薬との比較を行なった……といったことが丁寧に書かれている読みやすい記事。

ジョン・テリーの浮気もアシュリー・コールの離婚もレディガガ旋風もホメオパシーも「記事のネタ」として扱うコラム書きの人の文章なんか読んでられっか、という人は、このEdzard ErnstのCiF記事と報道記事を1本か2本読んでおけばいいかもしれません。(まあ実際、コラム書きの人の文章はメディア・スタディーズとか社会心理学とかいった分野の人なら興味深く読めるかもしれないけど…・・・^^;)

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※この記事は

2010年03月01日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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