kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2009年09月27日

「闇のプリンス」が、沈みつつある船から逃げ出そうとしているらしい。

The Timesのサイトにアクセスしてお茶ふいた。とりあえず、キャプチャ via kwout(画像内の記事見出しクリックで記事に飛びます):

http://www.timesonline.co.uk/tol/news/労働党の党大会が始まる直前に、「私が保守党のために仕事をすることもありうる」と発言しているピーター・マンデルソンは、「ニュー・レイバーのアーキテクト」だ。「トニー・ブレアと愉快なスピンドクターたち」の中核の3人(ブレアとキャンベルとマンデルソン)のひとりだ。

ブレア政権成立からほどないころ、爆笑風刺有毒雑誌のPrivate Eyeが「闇のプリンス」呼ばわりしたのがイメージにぴったりで、以後それがあだ名として定着している (例:The BBC, 'Prince of darkness' returns, 12 October, 1999)。ブレア政権では閣僚を歴任しているが、不動産取引での黒い疑惑と、個人的に親しかった外国人ビジネスマンにイミグレ上の便宜をはかったとの疑惑で2度辞任し、それにもかかわらず気付いたら「バロン」のついた名前で「ロード」と呼ばれるご身分におなりあそばした。挙句の果てには、ブラウン政権で閣僚に返り咲いて(それまではEUで通商の担当をしていた)、英国の有権者と、全世界の英国ウォッチャーを卒倒させた。

(ちなみに、今の労働党政権は、2005年にトニー・ブレア首相・党首のもとで取った議席に基づいて成立しているものであり、ゴードン・ブラウン政権は「国民の審判」を受けていない。日本でいえば先日までの安倍、福田、麻生政権みたいなものだ。しかもピーター・マンデルソンは有権者の投票で選ばれた「議員」ですらない―― Lord Mandelsonになったから、上院の議席は持っていても。)

そのピーター・マンデルソンが、サンデー・タイムズのマガジンのインタビューで、「私の経験を国のために活用できるのなら、保守党政権にも協力していきたい」(要旨)と発言したというのだから、お茶をふかざるを得ない。それも盛大に。

インタビューを紹介する記事:
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/politics/article6850863.ece
In an interview with The Sunday Times magazine, the business secretary said he would be willing to put his "experience at the disposal of the country", if Labour lost power. "As I grow older, I can imagine more ways of serving my country than simply being a party politician," he said.

サンデー・タイムズ・マガジンとのインタビューで、マンデルソン大臣は、仮に労働党が政権を失っても、自身の「経験をこの国のために活用」していきたいものだと述べた。「私も年齢を重ねまして、ただ政党に属して政治家としてやっていくということのほかに、わが国に仕えるための方法をいろいろと考えることができるようになったのです」と彼は述べた。


こんなインタビューが出るということから、はっきりわかるのは、マンデルソンは「次の選挙では労働党が政権を取ることはない」と考えている、ということだ。設計者が自分で作った「ニュー・レイバー」という船から逃げ出している。(そういえば、タイタニックの映画で船会社の人が救命ボートで逃げ出したシーンあったよね。)

マンデルソンのいう「もしお声がかかれば」が文字通りの「もし if」なのか、あるいは修辞的なものなのか(一応「もし」と言ってはおくが、意図としてはifというよりwhenだ、というような)、お茶ふきすぎて酸欠になっている私にはよくわからないのだが、形式としては仮定法になってはいる。

"Of course, it wouldn't be serving the government, it would be serving the country and I wouldn't be doing it by becoming a member of that government."


ただ、マンデルソンも政権の中枢にいたときにあった「イラクの大量破壊兵器は45分以内で配備可能」という「いかさま書類 dodgy dossier」での「仮定法の無視」というスピン手法を見れば、マンデルソンの言葉の仮定法など、文字通りに「仮定(半実仮想)」と受け取るべきではないだろう。

保守党からは:
The Tories yesterday did not rule out making an offer to Mandelson. However there remains deep mistrust between the Conservative leadership and the colourful business secretary.

つまり、マンデルソンに何らかの依頼をすることはないと断言してはいない。

しかしマンデルソンと保守党の関係は波乱含みというか、2008年の秋にロシアの富豪関連の金銭スキャンダルでものすごい泥仕合をしたばかりだ(BBCなど主要報道機関の記事に出てきた登場人物は、ロシアの金属資源富豪であるオレグ・デリパスカ、ピーター・マンデルソン、保守党のシャドウ・キャビネットの財務大臣たるジョージ・オズボーン、そしてロスチャイルド家の人、など)。

ただしマンデルソンは、1999年に、保守党の要職にあったことがある議員が、ブレア政権下で議員を辞して外交官(高等弁務官)としてオーストラリアに赴任した例を想定しているようだ。これも「二大政党」間のゆさぶりや駆け引きがどろどろとした話だったようだが(私は今初めて知ったのだが)、マンデルソンの本音としては「次の選挙で野党になったらたるいし、何かでっかいことができる立場であり続けたいなあ」ということじゃないかと思う。

……などということを思いつつ、インタビューそのもののリンクをクリックすると:
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/politics/article6848544.ece

ウェブ版で7ページもあるので今はいいや、という感じ。「今は」どころか、今後もいいや、になるかも。(こらこら。)

一方で、労働党から真っ直ぐにパスが来ますよという新聞のガーディアンは:



うはん。党大会直前にあからさまな「ブラウンおろし」ですか。

今年の欧州議会選挙での惨敗後に、誰だっけ、30代の若手がブラウン政権を辞したときに(→ちょっと調べたらJames Purnellであることを思い出した)、「ブラウン包囲網」みたいになっていたのだけど(これも初めてではない)、今、ガーディアンの紙面(ウェブ版だけど)がその「包囲網」のメロドラマを思い起こさせる雰囲気になりつつある。ただし、「包囲網」のときは「われわれは一致団結してブラウン首相を支持し支えてゆく」みたいなことを言い、ブラウン政権を守る盾となった重鎮たちのひとりだったピーター・マンデルソンが今回はこれだ。(どんな作戦なのかわかんないけど。)

ところで、保守党支持者のwishful thinkingでの話ではなく、客観的なデータをもとに「次は保守党政権になるだろう」って言われ出してからどのくらいたつだろう。個人的には労働党の内部事情などどうでもいいので、さっさと終わりにすればいいのにと思うだけなのだが。これ以上、「在英外国人の特権を叩く、弱者の味方BNP」みたいな方向性(ほんとにシャレになっていません)が強まらないうちに、っていうのもあるし。

しかし「労働党の内部事情」とか言ってる横で、今の労働党を作ってきたご本人が「もはや私は労働党内部に限定しておくには惜しいほどの経験を有した偉大な存在である」(<意訳)って宣言してるんだから、始末が悪いや。ていうか何様。



インタビューを紹介するタイムズの記事のコメント欄がすごい。コメントが100件くらい集まっていて、それはさながら、英国伝統の婉曲罵倒と当てこすりの宝石箱。
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/politics/article6850863.ece

時間的に最も古いコメントから、少し抜粋:
Martin Paling wrote:
As always, a man of principle and deeply held political convictions.
常のごとく、原理原則と政治理念をしっかり貫くお方であることよ。
※このコメントを評価する人→109人

Bill Basham wrote:
And why not? Like him or loathe him, Lord Meddlesome has skills and contacts that would benefit Britain.
The Tories would be crazy not to use him.
そうすべきだ。好き嫌いは別として、メドルサム卿(原文ママ)にはスキルもあるし知り合いも多い。それらは英国の利益になるだろう。彼を使わないなどというばかげたことは保守党はしないだろう。
※このコメントを評価する人→6人(みなさん、MeddlesomeをMandelsonと読んでしまっているようです)


あとどこだっけな、「もし保守党が彼を受け入れたら、すばらしいトロイの木馬になるぞ」ってコメントも、LibDem支持者による「保守党に死亡フラグ」ってコメントもあった。



関連して余談。

英国では、いわゆる「二大政党」間の鞍替えは、ありふれているわけではないが、あり得ないほど珍しいわけでもない。例えば現在北アイルランド担当大臣をしているショーン・ウッドウォードは、小売大手センズベリーの創業者一族(保守党)の娘と結婚している関係からか、1997年に政界入りしたときには保守党所属で、ダグラス・ハードの議席のあった選挙区(もちろん安全区)から立候補・当選した。(ちなみに、1997年は、ブレアの労働党が地すべり勝利をおさめ、1979年からマギー、メイジャーと続いてきた保守党政権が終わった年である。)その後、1999年に党執行部の方針に反して「Section 28撤廃」(Section 28とは、公立学校で同性愛について語ることを事実上禁止していた法律)を主張し、党の要職を解かれている。その後いろいろあったのだろう、保守党を離党して、2001年の総選挙では労働党所属でマージーサイドにある選挙区から立候補し当選した。(ウッドウォード議員以外の事例については、検索結果を参照。)



追記:
サンデータイムズの記事のあと、だれも予想していなかった展開が!

Mandelson denied conference entry
Page last updated at 12:54 GMT, Sunday, 27 September 2009 13:54 UK
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/politics/8277362.stm

Business Secretary Lord Mandelson was initially refused entry to the Labour Party conference in Brighton because of a problem with his security pass.

A security guard called a police sergeant to verify his credentials, BBC political correspondent Laura Kuenssberg said.

Lord Mandelson had to wait 10 minutes at the conference's security entrance before he was allowed to enter.


つまり、セキュリティ・パスに問題があって、10分ほど、会場に入れなかったそうです。ははははは。

あと、労働党支持者が読んでいるとされる新聞では、サンデー・タイムズとは別のことを前面に出して語ってたみたい。(この男、すべてがダークサイドすぎるわ、ほんと。)

Earlier, Lord Mandelson had insisted to the Sunday Mirror that the next general election was "up for grabs".

He told the paper: "This election is not in the bag - neither for us, nor the Tories.

"Every day we face in one way or another attempts to write Labour off or pretend that some of us are preparing for defeat.

"That's not my belief."


つまり、ミラーでは「選挙、負ける気はしませんねぇ」って言ってる。さすがスピンドクター、恐るべし。

※この記事は

2009年09月27日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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▼当ブログで参照・言及するなどした書籍・映画などから▼