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2009年01月12日

【ガザ攻撃】1月12日記事クリップ&米国と英国のユダヤ人社会

1月12日午後10時30分すぎ(日本時間)の英メディアのトップページ。画像内のリンクをクリックすると記事が読めます。

エントリの下の方に、AFP BB日本語記事で「親イスラエルとは? ガザ情勢めぐり分裂する米ユダヤ人社会」という記事もエンベッドで貼り付けてあります。これは日々の記事クリップ的な意味ももちろんあるのですが、かなりインフォーマティヴな内容だと思うので少し詳しく(「続きを読む」の下にあります)。

BBC:


The Guardian:


The Times:


AFP BB:


この記事は、米国での状況についてのものです。武力行使がどのような状態にあるかとは直接関係はありません。

AFP BB記事の原文であるAFPの英語記事は、The Australianに掲載されたものが見つかったのでそれのURLをポストしておきます。以下、「原文」としているのはこのURLの記事です。
US Jews split over Israeli offensive
http://www.theaustralian.news.com.au/story/0,24897,24901716-601,00.html

なお、AFP BBの日本語記事は、この英文記事をほぼそのままの形で翻訳しているもののようです(細かいところまでは見ていませんが、AFP記事がAFP BB記事になるときによく見られるタイプの大幅な省略や要約はないようです)。

AFPいわく、米国では「強力な親イスラエル・ロビー団体『米国・イスラエル公共問題委員会(AIPAC、American Israel Public Affairs Committee)』」が大きな力を持ってきたが、今回の武力行使でAIPACとは違うユダヤ人団体が注目されるようになっている――というか記事には「ピース・ナウ(Peace Now)」(拠点はイスラエル)の米支部長のコメントを紹介する部分の地の文で、「米ユダヤ人社会内部の亀裂を広げている」(原文ではThe war has sown divisions among Jews here)とあるのですが。

そして、これまでのように「米国のユダヤ人といえばイスラエル(政府のやっていること)を絶対に支持する」という図式が必ずしも成立しないということになったきっかけは、ウォルト&ミアシャイマーの『イスラエル・ロビー』という本だった、と。(ウォルト&ミアシャイマーの本は日本語訳が出ています。翻訳者がソエジマせんせいというものすごい人選ですが。)

ウォルト&ミアシャイマーのこれのあとのものすごい「激論」は、私はほんの一部ですがネット上で見ていて、トニー・ジャットの講演は真面目に見ました。
New York University historian Tony Judt delivered "Disturbing the Peace: Intellectuals and Universities in an Illiberal Age," part of the University Professorship Lecture series, in December.
http://www.nyu.edu/about/tony.judt.html

発言主がどこの誰であろうと、その発言は正しいか間違っているかだ、という「普遍」の価値観で権力に対峙した20世紀のインテリジェンツは、もはや存在しない、というのがジャット先生の講演の導入。それは自分にとって耳の痛い話を誰かに言わせておけるパトロンがいなくなった、という政治的な理由が最大のものだ。

「言論」で生計を立てることの現代の困難さについて。

「言論」をしょって立つ「調査ジャーナリスト」として、アンナ・ポリトコフスカヤ(ロシア)、ヴェロニカ・ゲリン(アイルランド)という2人(2人とも射殺された)に言及。ほかにもイスラエルのジャーナリストの名が挙がる。

そしてジョン・ミアシャイマーとスティーヴン・ウォルト。あの論文がハーヴァード大のサイトから削除したこと(大学が削除したこと)をcowardlyということばで非難。ハーヴァードがあれをやったということの意味。

……ここまででだいたい22分です。残り80分ほど、わくわくしながら聞くことにします。

http://nofrills.seesaa.net/article/53319658.html
のコメント欄より、自分のコメント


で、AFPの記事に戻ると、AIPACのロビイングを「リクードを無条件に支援している」と批判したウォルト&ミアシャイマーの本が、AIPAC側から「ウォルトとミアシャイマーは反ユダヤ主義者だ(。そして彼らを支持する連中はみんなそうだ)」という一斉射撃を食らった(としか言いようのない状態だったと私は認識しています)一方で、「米ユダヤ人社会の中に、AIPACの強硬姿勢を見直す機運を生み、2008年には平和主義の目標を守る革新派のユダヤ人らによるロビー団体『Jストリート(J Street)』が誕生した」。

そしてその「Jストリート」は、今回のガザ攻撃開始直後の12月27日に、即時停戦を求める署名運動を開始し、事務局長のジェレミー・ベンアミさんは「現在ガザで進められている軍事作戦の続行が米国、イスラエル双方にとって最大の利益になるとは思わない」とサイトに書いている、と。

また、AIPACから「反ユダヤ主義者」というレッテルを貼られたスティーヴン・ウォルトは(今回の攻撃では、ブッシュ政権の対応を強く批判している)――そういうレッテルはかつて米国の言論人としてはほぼ「終わり」を意味していたのかもしれないけれども――、Foreign Policyのブログのライターの一人に選ばれており、こういったことから「米ユダヤ人社会に革新主義が広がっている傾向は明らかだ」(原文では、Another sign that progressive Jews are gaining ground in the United States)とAFPの記者は書いています。

この記事について興味深い記事だと思ったのは、昨日ガーディアン/オブザーヴァーに掲載された英国のユダヤ人たちの公開レターを読んだばかりだったからかもしれません。以下、ざっとやった対訳を添付して引用します。

Israel, we support you - but hear our plea
http://www.guardian.co.uk/world/2009/jan/11/gaza-israelandthepalestinians
To the government of Israel

We are writing this letter as profound and passionate supporters of Israel. We look upon the increasing loss of life on both sides of the Gaza conflict with horror. We have no doubt that rocket attacks into southern Israel, by Hamas and other militant Palestinian groups, are war crimes against Israel. No sovereign state should, or would, tolerate continued attacks and the deliberate targeting of civilians.
このレターを、イスラエルを深く熱烈に支持する者として書いています。ガザ紛争の両方の側で増加している生命の損失を恐怖をもって見つめています。イスラエル南部に対するハマスをはじめとするパレスチナの集団によるロケット攻撃は、間違いなく、イスラエルに対する戦争犯罪であると考えています。度重なる攻撃と、一般市民を意図的に標的とすることをゆるす主権国家はありませんし、またそうすべきでもありません。

Israel had a right to respond and we support the Israeli government's decision to make stopping the rocket attacks an urgent priority.
イスラエルにはそれに反応する権利があり、私たちはイスラエル政府のロケット攻撃を止めることを緊急の優先事項にするという決定を支持します。

However, we believe that only negotiations can secure long-term security for Israel and the region.
しかしながら、イスラエルと(中東)地域に長期的安全をもたらしうるのは、交渉だけであると私たちは信じています。

We are concerned that rather than bringing security to Israel, a continued military offensive could strengthen extremists, destabilise the region and exacerbate tensions inside Israel with its one million Arab citizens. The offensive and the mounting civilian victims - like the Lebanon war in 2006 - also threaten to undermine international support for Israel.
軍事的攻撃を続けることは、イスラエルに安全をもたらすというよりも、過激派を強化し、地域を不安定化させ、イスラエル内部での100万人のアラブ人市民との緊張を強めることになると懸念しています。この攻撃と、増加する一方の市民の犠牲は――2006年のレバノン戦争と同様に――また、イスラエルに対する国際的サポートを揺るがすものになりえます。

We stand alongside the people of Israel and urge the government of Israel and the Palestinian people, with the assistance of the international community, to negotiate:
私たちはイスラエル国民とともに立ち、イスラエル政府に対し、またパレスチナの人々に対し、国際社会の支援を得て、交渉することを要求します。

- An immediate and permanent ceasefire entailing an end to all rocket attacks and the complete and permanent lifting of the blockade of Gaza.
- すべてのロケット攻撃を終わりにし、ガザ封鎖を恒久的に解除する即時恒久停戦

- International monitoring of the ceasefire agreement, including measures to ensure the security of the borders between Israel and Gaza as well as the prevention of weapons smuggling into Gaza.
- 停戦合意に対する国際監視。その中にはイスラエルとガザ地区の境界線の安全を確保する措置、ガザ地区への武器の密輸の防止が含まれる

It is our desire to see a durable solution for ordinary people and our view that an immediate ceasefire is not only a humanitarian necessity but also a strategic priority for the future security of Israelis, Palestinians and people of the region.
一般の人々にとっての持続的解決を見ることが私たちの願いであり、そして、即時停戦は人道的必要であるばかりでなく、イスラエル人、パレスチナ人と地域の人々の将来にとって戦略的優先事項であるというのが私たちの考えです。(←この文、英文構造のとり方が雑かも。our view that ... ってseeの目的語? It is の補語?)

Rabbi Dr Tony Bayfield
Sir Jeremy Beecham
Professor David Cesarani
Professor Shalom Lappin
Michael Mitzman
Baroness Julia Neuberger
Rabbi Danny Rich
Rabbi Professor Marc Saperstein
Rabbi Dr Michael Shire
Sir Sigmund Sternberg
Paul Usiskin

ここに署名している人たちのバックグラウンドについては、この公開レターについての報道記事で。必ずしも「革新的(進歩的)」な立場の人ばかりではないようです(が、「進歩的」の定義次第かも。安息日絶対厳守のオーソドックスの人たちは「進歩的」なのかどうか、とか)。



なお、AFP BBの記事は、記事の内容が米国での状況についてのもので、付属の写真がローマやアテネでのイスラエルの武力行使に反対する抗議行動だったり、ロンドンやベルリンでのハマスに反対する抗議行動だったりしていてどんぴしゃりのものがないので、写真は西岸地区ナブルスでの抗議行動で、「ジャーナリストを標的にするな」というプラカード(というかメッセージを印刷した紙)のものを選びました。ことイスラエル軍のやることに関しては、英国人のジェイムズ・ミラーさんをはじめ、ジャーナリストを「誤って」標的にするということはすっかり常態化していて(しばらく前に「TV」と大きく書いたロイターかどこかの通信社の車を軍が砲撃してジャーナリストが死亡した件について、イスラエルの裁判所は「違法ではなかった」という判断を下していまして、そのときに私は頭がおかしくなるかと思ったのですが、確かカメラマンの機材がロケットランチャーに見えたのでミリタントだと思ったという軍の話でしたが、機材が見えていたのなら、TVの表示も見えていたと考えるのが妥当でしょうに)、「ジャーナリストを標的にするな」ということを言い続けなければならない「民主主義国家」という壮大な皮肉に、頭がくらくらします。(その点、ロシアもかなりくらくらさせてくれますが、あれは自分の中ではまた別なくらくらです。)



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2008年12月ガザ攻撃 Gaza_news-clip
posted by nofrills at 23:57 | TrackBack(0) | i dont think im a pacifist/words at war
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