kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=


2009年01月09日

WPについて「ジュネーヴ条約と1980年の関連国際議定書に基づき、対民間人および人口密集地域での使用を禁止された兵器である」と書いているのは、イタリアの新聞ではなく、タイムズなど英メディアです。

他人様のところのコメント&トラバ欄をお借りしていた件。(→ここでのコメント&トラバ全部はエントリ末尾に。)

上記に寄せられた週刊オブイェクトさん(JSFさん)のトラックバック:
http://obiekt.seesaa.net/article/112341990.html
Title: 白燐弾でイタリア紙ウニタが早速デマ報道
4年前のファルージャ白燐弾狂想曲の発信源はイタリア国営放送RAIでしたが、今回のイスラエル軍によるガザでの白燐弾使用に反応しているのは、元イタリア共産党機関紙(経営不振で今は民間の資本が入り民営化)のウニタ紙(l'Unita')でした。


さて、上記ブログのコメント欄ではあまり長く書かなかったのですが、JSFさんが「今回のイスラエル軍によるガザでの白燐弾使用に反応しているのは、元イタリア共産党機関紙……のウニタ紙(l'Unita')でした」と書いておられるのは――あえてこの言葉を使わせていただきますが――「デマ」です。WPの使用に反応しているのは、今回はWP使用国(という言い方も変ですが)である英国の、大雑把にいえば「左」というよりは「右」の全国紙です。

「オブイェクト」さんのこのトラバがついているブログのエントリにはこうあります。
共同通信がガザでイスラエル軍が白リン弾を使用している可能性をタイムズ紙から引く形で報じている。
……中略……
このさらに詳しい内容をイタリアのウニタ紙が記事にしていて……
【引用注:以下、ウニタの記事の日本語訳の引用】
……写真を見てその使用を指摘・告発したのは、主にブロガーたちである。世界のウェブ上を駆け巡った告発は、今のところ新聞などにはほとんど取り上げられていないが、「ザ・ガーディアン」やロンドンの「タイムズ」といったイギリス日刊紙の一部のforum……で論じられている。

……

"Daily Mail"のインタビューに匿名で応じた英国の軍事専門家の何人かは、たとえ「煙幕」としてでも、ガザ地区のような地球上屈指の人口密集地におけるこの爆弾の使用の合法性は、きわめて疑わしいと指摘した。また、これは重大な戦争犯罪に当たると断言している。……

※引用文内の太字は引用者による。

つまり、「元イタリア共産党機関紙(経営不振で今は民間の資本が入り民営化)のウニタ紙」(<どうでもいいんですがこれはあんまりな書き方です。参考資料)は、英メディアの報道内容をまとめているだけです。ウニタはイタリア語のメディアですから、英語報道をイタリア語で紹介した記事という位置づけでよいと思いますが、この記事について「WPに反応したのはウニタだった」と書くこと(またはそう読ませるように書くこと)は、「デマ」です。ウニタにWPへの関心がないとは言いませんが、「ガザでの白燐弾使用」に「反応」しているのは英メディア(タイムズ、ガーディアン、デイリー・メイル)です。これを、あたかも「イタリアの(特定の)新聞」が特にWPに注目しているかのように書くのは、取材したタイムズなど英メディアに失礼だし、それ以上に非常に危険な方向でミスリーディングです。

……「デマ」という言葉を使うと、どうしても上記のようにけんつくけんつくした感じになってしまいます。書いてて気分が悪いので、以下はこのような言葉遣いはしないでいこうと思います。

以下、ずるずると長い長いので小見出しつけます。一気に書いたので、記述がダブっているところもあるかもしれませんがご容赦ください。

■2009年1月の英メディアの報道――「WPはジュネーブ条約違反」との扱い:
「ウニタ」の記事はタイムズとガーディアンとデイリー・メイルの報道内容を紹介するものです。いずれも英国の全国紙です。それぞれの記事のURLを調べて以下に書きます。(「ウニタ」には元記事URLがないんで。日本でもURLをつけずに「タイムズが報じた」とだけ書くことは普通ですが、こういう場合って元記事のURLはほしいですよねー。<愚痴)

まず、デイリー・メイル(以下「メイル」)の記事を探してみたのですが、「ウニタ」が書いているような(一応イタリア語の原文も参照しました)、軍事専門家が匿名でインタビューに応じて、「たとえ『煙幕』としてでも……人口密集地におけるこの爆弾の使用の合法性は、きわめて疑わしい」と指摘し、「これは重大な戦争犯罪に当たると断言している」という内容の記事は、「白燐」にあたる英語をキーワードにしたメイルのサイト内検索では見つかりませんでした。ただ、紙のほうには載せたけどウェブには載せてない記事かもしれないし、メイルの検索は精度が悪いし(別のトピックで調べたときに、出てきて当然の記事が出てこないことがあった。これはBBCの検索でも同じ。英国製なのでこんなもんだと思ってますが<失礼)、URLが削除されているのかもしれないし、つまり、今検索して見つからないからといって、「そういう記事はなかったんだ」とは言えません。「匿名でインタビューに応じた」ということは現役の軍人かもしれないし、PMCの人とかかもしれないし、興味深そうな記事ですので見つからないのは残念です。

メイルでWPが出てきている記事は:
At least 14 children killed in Gaza terror as Israel defies demands for a ceasefire
By Matthew Kalman and David Williams
Last updated at 1:48 AM on 06th January 2009
http://www.dailymail.co.uk/news/worldnews/article-1105127/At-14-children-killed-Gaza-terror-Israel-defies-demands-ceasefire.html
写真のキャプションに:
Speculation: Israel has been accused of using phosphorous which is banned under the Geneva Treaty of 1980 during its strikes on Hamas

「1980年ジュネーブ条約で禁止」と書かれています。

メイルのグループ会社であるイヴニング・スタンダードも見てみました:
http://www.thisislondon.co.uk/standard/article-23611375-details/Israel+uses+phosphorus+shells+as+smokescreen+for+troops/article.do
Under the Geneva Treaty of 1980, white phosphorous is banned as a weapon of war in civilian areas because of the severe injuries it causes. But there is no blanket ban under international law and white phosphorous can be used legitimately as a smokescreen. However, its alleged deployment in Gaza, one of the world's most densely populated territories, will cause concern. ...

「1980年ジュネーヴ条約で、WPは民間の区域で戦争の兵器としては禁止されている」とあります。

つまり、まず、メイル系が「1980年のジュネーヴ条約(プロトコルIII)でWPは民間のエリアでの使用を禁止されている」と書いているということが確認できます。

ちなみに、メイルは「反戦団体の言うことを鵜呑みにする」ようなメディアではありません。むしろその逆、「左翼の言うことはとりあげないか、こきおろす」傾向が強いメディアです(ひらたくいえば「右翼の新聞」です)。

で、問題の「軍事専門家が云々」のところはとりあえず放置して(これ以上メイルの記事探しに費やす時間はないので)、次に行きます。ひょっとしたら「ウニタ」のライターさんが「デイリーメイル」と「デイリーミラー」を間違えているのかもしれないけど、ミラーをチェックするのはまたの機会に。

タイムズ:
今回最初に「イスラエルがWPを使っている」と報じたのがタイムズです。私が知ったのもタイムズででした。トップページに出てました。(偶然ですが、キャプチャとってあります。)

January 5, 2009 ※今URLクリックしてびっくり。タイムスタンプがDecember 5, 2008って……1ヶ月さかのぼってますが、何かのバグだろうと思います。記事の内容から09年1月であることは明白です。
Israel rains fire on Gaza with phosphorus shells
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/world/middle_east/article5447590.ece

↑この記事が「ウニタ」などで言及されている記事です。署名はSheera Frenkel in Jerusalem and Michael Evans, Defence Editor、つまりエディター(デスク)が署名した記事です。ここでも「1980年ジュネーヴ条約で云々」は、上で見たメイル系と基本的に同じです(文言は違いますが)。ただしその後に、butで書き始められて「煙幕や照明の用途の場合は国際法で包括的禁止はされていない」ともあります。そしてそのあとにまた逆接で、軍事評論家のコメントがあります。この人は元英陸軍将校だそうです。
The Geneva Treaty of 1980 stipulates that white phosphorus should not be used as a weapon of war in civilian areas, but there is no blanket ban under international law on its use as a smokescreen or for illumination. However, Charles Heyman, a military expert and former major in the British Army, said: "If white phosphorus was deliberately fired at a crowd of people someone would end up in The Hague. White phosphorus is also a terror weapon. The descending blobs of phosphorus will burn when in contact with skin."

元英陸軍将校で今は軍事評論家の人のコメントの要旨は、「故意に人々に向けてWPが発射されれば、だれかがハーグ(の国際刑事裁判所)に送られることになるだろう」。そして、上空で炸裂して降下するWPのブロブは、人の皮膚につくと燃焼するということを述べています。

あ、「ウニタ」にある「軍事専門家がうんぬん」は、タイムズのこの部分をメイルが編集して引用したのを、ウニタの人がメイルが書いたのだと読み取ってしまったのかもしれないですね。「ハーグに行くことになる」は「戦争犯罪だ」だし。

そんなことはさておき、タイムズも「1980年のジュネーブ条約で、WPは戦争の兵器として民間エリアに対して使ってはならないとしている」と記述しています。(というか、民間エリアには何だって使っちゃダメなんじゃないの、ジュネーヴ条約的に、という議論は今はスルーして先にいきます。)

この「タイムズ」の記事から、WPについての説明の箇条書きの部分が「一般の読者に向けた端的なまとめ」として資料的な価値があるかと思うので、引用・日本語化しておきます(WPについて、2009年1月に何がどう語られているのかについての資料として):
White phosphorus: the smoke-screen chemical that can burn to the bone
白燐:骨まで焼き尽くす可能性のある、煙幕のための化学物質

―― White phosphorus bursts into a deep-yellow flame when it is exposed to oxygen, producing a thick white smoke
―― WPは、酸素にさらされると深い黄色の炎となって燃え、濃い白い煙を発生させる

―― It is used as a smokescreen or for incendiary devices, but can also be deployed as an anti-personnel flame compound capable of causing potentially fatal burns
―― それは煙幕として、または焼夷性デバイスとして用いられるが、可能性としては致命的になる火傷を生じさせる能力のある対人flame compound(<すみません、訳語を調べる気力がないです)としても用いられうる

―― Phosphorus burns are almost always second or third-degree because the particles do not stop burning on contact with skin until they have entirely disappeared - it is not unknown for them to reach the bone
―― 燐のやけどはほとんど常に2度または3度である。というのは分子は完全に消えさるまでは、肌に接触したときに燃焼をやめないからである。それら(particles)が骨まで到達するということは知られていない

―― Geneva conventions ban the use of phosphorus as an offensive weapon against civilians, but its use as a smokescreen is not prohibited by international law
―― ジュネーヴ条約は燐を民間人に対する攻撃兵器として用いることを禁止している。しかし煙幕としての使用は国際法では禁止されていない

―― Israel previously used white phosphorus during its war with Lebanon in 2006
―― イスラエルは2006年レバノンとの戦争においてWPを使っている

―― It has been used frequently by British and US forces in recent wars, notably during the invasion of Iraq in 2003. Its use was criticised widely
―― WPは、近年の戦争で英軍および米軍によって頻繁に使用されている。特に2003年のイラク侵攻時がある。その使用は広く批判された

―― White phosphorus has the slang name "Willy Pete", which dates from the First World War. It was commonly used in the Vietnam era
―― WPには「ウィリー・ピート」という俗称がある。これはWW Iのころから使われている。WPはヴェトナム戦争で広く用いられた

Source: Times archives


タイムズではもう1件、数日後の記事もあります。ガザの負傷者に医師がこれまで見たことのないひどい火傷が多い、という報告です(ガザはこれまで長くイスラエルの攻撃を受けてきましたので、医師に砲弾などで負傷した人たちの治療経験がない、ということはないでしょう):
January 8, 2009
Gaza victims' burns increase concern over phosphorus
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/world/middle_east/article5470047.ece

この記事が出るまえに、イスラエルが「いいえ、WPは使っていません」と明確に否定しています。この記事は、それについてタイムズが本腰を入れて調査した記事です。型番が書いてある部分を引いておきます。(記事のURLをクリックすれば写真も確認できます。)
The Times has identified stockpiles of white phosphorus (WP) shells from high-resolution images taken of Israel Defence Forces (IDF) artillery units on the Israeli-Gaza border this week. The pale blue 155mm rounds are clearly marked with the designation M825A1, an American-made WP munition. The shell is an improved version with a more limited dispersion of the phosphorus, which ignites on contact with oxygen, and is being used by the Israeli gunners to create a smoke screen on the ground.

なお、非常に広く知られていることですが、タイムズは決して「反戦団体の言うことを鵜呑みにする」新聞ではありません。むしろ逆です。2008年に労働党が「テロ容疑者の拘置期間を42日間に延長する」という法案を出したときにはそれを全面的に支持し、法案に反対する「左派」や「人権派」をひどく叩きました(今思い出してもあのやり方は本当に気分が悪い)。

もうひとつのガーディアンは、独自記事はイスラエルが使用を否定したときの報道記事しかありません。(あと、LibDem党首の寄稿にはWPが出てきますが、これは報道ではないので措いておきます。)

Israelis deny using phosphorus
Richard Norton-Taylor
The Guardian, Tuesday 6 January 2009
http://www.guardian.co.uk/world/2009/jan/06/gaza-israel-palestine-munitions

リチャード・ノートン=テイラーはガーディアンの軍事・安全保障のエディターです。この人は大ベテランで、主義主張で書くタイプではありません。ガーディアンは「反戦団体の主張」を取り入れる傾向はありますが、ノートン=テイラーはそういう感じの記者ではありません。

ガーディアンは2004年ファルージャでWPを「問題」として取り上げた新聞ですが、この記事には「1980年ジュネーヴ条約で」の記述はありません。「対人兵器としてではなく、煙幕や標的の照明のために用いられる場合は違法ではない、と軍事専門家や人権活動家は述べた」とあるだけです。(この「対人」の「人」が誰なのか、という問題もありますが、それもここではスルーして先に行きます。)
Phosphorous shells are not illegal if they are used to create a smokescreen or to illuminate targets, rather than as a weapon against people, military experts and human rights campaigners said yesterday.


「ガザのWP」について、ノートン=テイラーのこの記事のほか、ガーディアンで検索して出てくるのは、「今日の出来事ライヴアップデート」のブログでタイムズの記事を紹介している部分だけです。
http://www.guardian.co.uk/news/blog/2009/jan/05/gaza-israel

つまり、ガーディアンは「1980年ジュネーヴ条約で禁止」とは、少なくとも2008年12月27日からのガザ攻撃のコンテクストでは書いていません。(ただしウェブ版に掲載されない記事でどうなのかは知る由もありませんが。)なお、英国では「反戦団体」に最もサポーティヴな全国紙はガーディアンです。(もうひとつ、インディペンデントという新聞もありますが、この新聞の表面上の「左派」っぽさは、たぶん経営戦略です。インディペンデント本体のベルファスト・テレグラフは全然「左派」ではありません。)

「WPはジュネーヴ条約で禁止されている」との説明は、2006年レバノン攻撃でのイスラエルによるWP使用についてのBBCの記述に既に出ています。

Israel admits phosphorus bombing
Last Updated: Sunday, 22 October 2006, 17:09 GMT 18:09 UK
http://news.bbc.co.uk/2/hi/middle_east/6075408.stm
The Geneva Conventions ban the use of white phosphorus as an incendiary weapon against civilian populations and in air attacks against military forces in civilian areas.

BBCがこのように断定で書いているということは、少なくとも、そのコンセンサスがあるということです。BBCの記述にはかなり細かな規則があります(公開されています)。

■イスラエルの否定について:
8日付のタイムズ記事によるとイスラエルの言っていることに筋が通ってないです。CWC, CCWに照らしてWPは違法な兵器ではないのなら(私もCWCとCCWではそういうことになると認識していたんですが)、イスラエル軍がタイムズに対し、「WPは使っていない。イスラエルは適法な兵器しか使っていない」と説明していることの意味が、素朴に、わかりません。
When The Times reported on Monday that the Israeli troops appeared to be firing WP shells to create a thick smoke camouflage for units advancing into Gaza, an IDF spokesman denied the use of phosphorus and said that Israel was using only the weapons that were allowed under international law.

こういうテクスト(地の文)は、記事を書いた人が適当に要約してしまっているという可能性もないわけではないのですが、記事署名を見る限り少なくとも「適当に」ということはなさそうです。(署名は、Michael Evans, Defence Editor and Sheera Frenkel in Jerusalem です。つまりタイムズ紙の軍事・防衛部門のエディターが署名しています。さっきの記事と同じです。)

そして、ますます個人的にわけがわからないのはイスラエル軍の説明です。同じ記事から:
Confronted with the latest evidence, an IDF spokeswoman insisted that the M825A1 shell was not a WP type. "This is what we call a quiet shell - it is empty, it has no explosives and no white phosphorus. There is nothing inside it," she said.

"We shoot it to mark the target before we launch a real shell. We launch two or three of the quiet shells which are empty so that the real shells will be accurate. It's not for killing people," she said.

確かにそれはM825A1なのだけれど「中身は空で、爆薬もWPも入っていなくて、中には何も入っていない」(<上記の直訳)。そしてそれは「実弾を撃つ前に標的をマークするために発射する」。

何も入っていないのがマーキングに使えるものなのか……知らなかった。というか、アメリカで製造してイスラエルに輸出するときにそういうふうに作っているんでしょうか。これは素朴にわかりません。

さらに:
Asked what shell was being used to create the smokescreen effect seen so clearly on television images, she said: "We're using what other armies use and we're not using any weapons that are banned under international law."

テレビの画像ではっきり視認できる煙幕効果はどういう砲弾で出しているのかという質問には、イスラエル軍は「ほかの軍隊が使っているものを使っている」と回答しています。それは白燐弾ではないのでしょうか。またもや、素でわかりません。

というか、このスポークスウーマンは、タイムズの取材者が質問している「WP」は、煙幕用の「WP」ではない、と言いたいのでしょうか。読んでいて混乱してきます。

さらに畳み掛けるようにこれ:
Neil Gibson, technical adviser to Jane's Missiles and Rockets, insisted that the M825A1 was a WP round. "The M825A1 is an improved model. The WP does not fill the shell but is impregnated into 116 felt wedges which, once dispersed [by a high-explosive charge], start to burn within four to five seconds. They then burn for five to ten minutes. The smoke screen produced is extremely effective," he said.

JMRの専門家は、「M825A1は改造型WP弾で、フエルトを使っているタイプで、WPが砲弾に一杯に詰まっているわけではない」(でも「中が空」ではないんですよね)、「煙幕をはるのに極めて効果的」と説明しています。ではこのM825A1が「WPではない」というのなら、ひょっとしてイスラエルの定義では「WPとは砲弾に白燐が一杯に詰まっているもの、そうでないものはWPではない(し、中は空といっていい)」ということになっているのでしょうか。それともイスラエル用に特別のM825A1があるのでしょうか。正直、意味がわかりません。つまりイスラエル軍の説明は私には理解不能です。

■「ジュネーヴ条約で禁止」:
さて、上に見たように、メイル、タイムズの2紙とBBCが「WPは1980年ジュネーヴ条約で禁止されている」と書いています。JSFさんはこれを「完全に間違っています」と述べておられますが(そして私はそれを否定するつもりはありませんが)、BBCなどがそう書いている。それが何を根拠にしているのかについては、私は知りませんが。

ということで考えると、現実として(=私の考えが云々は別にして)、少なくとも、法には複数の解釈がありうるという前提で「WPは禁止されている」という解釈と「禁止されていない」という解釈の2通りがあって(Re: CCW; "However, that protocol also specifically excludes weapons whose incendiary effects are secondary, such as smoke grenades. This has often been read as excluding white phosphorus munitions from this protocol, as well." and "White phosphorus, when used for screening or as a marker, is not banned by Protocol III of the 1980 Convention on Certain Conventional Weapons. But if used as a weaponin civilian areas, it would be prohibited. The protocol specifically excludes weapons whose incendiary effect is secondary, such as smoke grenades. This has been often read as excluding white phosphorus munitions from this protocol, as well.")、現時点で英国のBBCやタイムズなどは前者の解釈、ということではないかと思います。ひょっとしたら英国政府がそういう解釈をしているのかもしれませんが、そのあたりの詳細は国会の議事録でも検索しないと確認できません。(現在の私の主要な関心はWPにはないので、今はその作業はできません。すみません。)

なお、8日付タイムズの記事(上で「イスラエルがWP使用を否定している」という部分で参照したもの)では、「ジュネーヴ条約で禁止されている」という記述はありません(記事の署名は、同じタイムズの数日前の記事で「禁止されている」と書いたのと同じ人ですが)。その代わりに下記のような記述があります。
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/world/middle_east/article5470047.ece
The shell is not defined as an incendiary weapon by the Third Protocol to the Convention on Conventional Weapons because its principal use is to produce smoke to protect troops. However, Marc Galasco, of Human Rights Watch, said: "Recognising the significant incidental incendiary effect that white phosphorus creates, there is great concern that Israel is failing to take all feasible steps to avoid civilian loss of life and property by using WP in densely populated urban areas. This concern is amplified given the technique evidenced in media photographs of air-bursting WP projectiles at relatively low levels, seemingly to maximise its incendiary effect."

つまり、「CCW第三議定書が定義している焼夷兵器ではない」。しかしながらHRWの人は「付随的焼夷効果が大きいので、人口の密集した都市部でWPを使うことによって民間人の犠牲を避けるための手順を踏むことを怠っているのではないかという懸念がある。報道で見る限り低空で炸裂しているが、それは焼夷効果を最大限に引き出すためではないかと見える」ということを述べている――というのがタイムズの記事です。

で、おそらく誰もがどう見てもあれはWPであると結論しているのに、イスラエルは「それはWPではない」と言っている段階ですから、今は「ガザでのWP」についての話はここから先には進まないのではないかと思います。(イスラエルが使用を認めるのは数ヶ月後かもしれません。)

よって、ガザでのWPの使用(の疑惑)に関しては、今はメディアの報道を拾うことしかできない(=「議論」はできない)と思います。

これとは別に、英国のメディアが「1980年ジュネーヴ条約で禁止されている」としている根拠を調べることはできますね。(ただ残念ながら私にはそれに注力できるだけの余裕はありません。これはどなたかにおまかせしたいです。)

■「4年前」のあと:
WPの件については、「フォローしていない」責任の一端は私にもあることは認めます。ただしそれゆえに「一過性」といわれるのは大変に心外。米国が当事者である場合に、米国が署名もしていない国際条約でうんちゃらという話を深追いしても意味ないからなあ、と思ったのが大きいです。英語圏のフォーラムなどでも結局そこで話がループしていた。(余談ですけど、どこかのフォーラムか何かでベオグラードの人が、「いずれにせよ持ってたら使うし、使ったことはなんとしてでも正当化するし、その結果の責任は取らないし、条約には署名もしないでしょう」と書いていたその文の冷たさたるや……本当に吐き捨てるように。)

一方で、ファルージャ包囲攻撃から1年後の2005年11月に、BBCのポール・レイノルズ(国際部門の超ベテランで、「まとめ」的解説記事を多く執筆)が「ファルージャの白燐弾」について丁寧にまとめていました。これを読むだけ読んでアウトプットしてなかったと思います。その点私がいけないんで、記事を探して、今でも重要な部分(つまり「激論」の経緯以外の部分)を訳出しておきます。ほんとに「今さら」感があるだろうし、抜粋するにもちょっと長いのですが、お読みください。(ただ、英語のまま記事全文を読んでいただいたほうがもっといいです。かなり長い記事ですが。)

White phosphorus: weapon on the edge
Analysis
By Paul Reynolds
World Affairs correspondent, BBC News website
Last Updated: Wednesday, 16 November 2005, 16:25 GMT
http://news.bbc.co.uk/2/hi/americas/4442988.stm

記事の上3分の2は、経緯の概略のまとめなので、2004年のあの議論を見ていた人は読む必要はないと思います。レイノルズのこの記事で読むべきは、下の3つのセクションです。それを以下に。

化学兵器禁止条約
WP【訳注:white phosphorusのこと】についての議論は、全面的にではないにせよ部分的には、それが本当に化学兵器なのかどうかについてをめぐるものだった。そのような兵器は化学兵器禁止条約で非合法化されており、米国は同条約の締約国である。

化学兵器禁止条約は、ハーグにある化学兵器禁止機関によって監督されている。そのスポークスマンであるPeter Kaiserは、WPは化学兵器禁止条約によって禁止されているのかとの質問に対し、こう回答した。

「いいえ、軍事用途のコンテクストで用いられるのであれば、化学兵器禁止条約では禁止されていません。つまり、白燐の毒性を用いる必要のない場合、またそれを意図していない場合ですね。白燐は通常は煙を出し、動きを見えないようにするために使われます」

「もし、それが白燐を使う目的ならば、条約に照らして、合法的利用であると考えられます」

「しかし一方で、白燐の毒性が、つまり腐食性という性質が、具体的に、兵器として用いられる意図がある場合は、それはもちろん禁止されています。なぜならば、化学兵器禁止条約がどのように構築されているか、またはそれが実際にどのように適用されるかというと、いかなる化学物質であれ、人間や動物に対して用いられ、その物質の毒性によって危害もしくは死を引き起こす場合は、それは化学兵器だと見なされる、ということだからです」

白燐をめぐる議論
つまり、WPはそれ自体では化学兵器ではなく、したがって非合法ではない。しかしながら、ある方法で用いられると化学兵器になる可能性がある。ただし「ある方法で」が簡単に定義できるということではない。定義されうるのかどうかは別問題だが。

このような次第で、米国はWPは化学兵器ではないと言うことができるし、さらには、損害を発生させているのはWPの毒性ではなく熱であるとさえ主張している。そして、焼夷性兵器は化学兵器禁止条約ではカバーされておらず、したがって、戦闘員に対しWPを使うことは禁止されていない、というふうに論が進む。

批判者たちは、損害を発生させるのは毒性なのだからという根拠で、米国はファルージャで化学兵器を用いたと主張する。例えば英国のガーディアン紙は、「米国はイラクで化学兵器を用い、そしてそれについて嘘をついた」と述べた。

この問題については、ブログでヒートアップした議論がある。Liberal Against Terror(というブログ)では、「それは化学兵器ではない」と言う。Daily Kos(というブログ)では「確定:毒性を使って損害を生じさせるために使われれば、WPは化学兵器である」と書く。

[11月22日アップデート] 読者の方からメールをいただいた。既に報道されているWPは化学兵器であるとしている1991年の米軍の資料についてのものだ。その資料は、湾岸戦争後に蜂起したクルド人に対しイラクによってWPが使われたのではないかということを報告したものだ。そこには「イラクはクルド人に対し燐化学兵器を使ったと考えられる」とある。

私にメールをくれた読者の方は、これは米国がWPを化学兵器だと見なしている証拠だ、と述べている。

また。Cat's Dreamというブログのガブリエル・ザンパリーニさんからも連絡をいただいた。この米軍資料について最初に書いたのは彼のようだ。彼は同じく、米国国防総省がWPを「化学兵器」と読んでいると指摘している。私はここで、これらのご意見を議論の一部としてご紹介しておきたい。【訳注:レイノルズによる追記ここまで】

WPの戦術的利用
もうひとつの議論は、兵器としてのWPの利用についてのものだ。

当初、ペンタゴンは(WPの使用を)否定していたが、それによって、このような戦術についての一種の躊躇、あるいは当惑といってもよいようなものが示された。過去において、戦場で想定されるある種のケースについて(例えば市街戦)WPの使用を制限するという決断が下されていたに違いない。それは民間人に対しては使用されていない。

しかしながら、米国は焼夷性兵器を対象とし、その使用を制限しようとする条約には署名していない。

その条約は、「特定通常兵器使用禁止制限条約」という奥歯に物の挟まったような名称をしている。(その条約の)1980年に合意された第三議定書で、「焼夷性兵器の使用についての禁止もしくは制限」が扱われている。

これはWPやその他の焼夷兵器(火炎放射器のような)を民間人もしくは民間の物に対して使うことを禁止し、空爆で、民間人が集中している場所にある軍事標的に対して使うことを禁止している。また、ほかの方法(例えば迫撃砲とか戦車からの直接の砲撃)による、民間人のエリアにある軍事標的に対するWPの使用も制限している。
このような標的は、民間人の集中地域から離され(区別され?)なければならず、「実行可能な限りすべての予防措置」を講じ、民間人の犠牲を避けなければならない。

米国は条約に対し上述のような立場を取っているが、ファルージャにいた反乱勢力に対して WPを使ったことは、少なくとも、問題を議論するきっかけになった。しかし、Field Artilleryの記事【訳注:ここでは訳出していない部分で言及されている】を書いた兵士たちは、自分たちのユニットは「(市の)南の攻撃では民間人はほとんどいなかった」と述べていることにも注目すべきだ。

※上記引用部分の内容について何かご意見などがおありの場合、BBC記事のリンクをクリックして、一番下までスクロールしてください。筆者のポール・レイノルズのメールアドレスがありますので英語でメールしてください。ただし2005年の記事であることはご留意ください。

文字色を赤系に変えて表示してある部分が注目されると思います。それと、レイノルズが少し書いてるように、あれは「化学やけど」か「熱やけど」かで議論があったというのは、ファルージャでのWP使用についてのRAIのドキュメンタリーへの「批判」についてのウィキペディアの記述を見て思い出しましたが、医学関係の説明で、White phosphorus skin exposure results in painful chemical burn injuries. という明確な説明もありました。(たぶんこのページではないのですが、どこかの大学の先生がまとめた救急マニュアルみたいなもので「化学やけどなので手当ては云々」という説明を2004年か05年に見てはいます。)

■2006年レバノン:
で、WPは2006年7月のレバノンでも使われているという話はあったのですが(対人で。以下、記事は検索して見つかったもの順に3つ):
2006年10月、ハアレツ(イスラエル)
http://www.haaretz.com/hasen/spages/777549.html
2006年11月、インディペンデント(英国)
http://www.independent.co.uk/news/world/middle-east/phosphorus-shells-used-in-lebanon-invasion-un-says-423414.html
2006年たぶん7月、デモクラシー・ナウ!(米国)
http://uk.youtube.com/watch?v=ld6cOJqyPqY
※D Now!は探せばトランスクリプトもあるはずですがサボります。HRWが最初に報告した直後のもの(この直後はイスラエルはWPは使用していないと言っていたはずです)。ダール・ジャマイルがベイルートの病院で被害者を撮影したフィルムがありますが、2:40くらいで夜空に炸裂する瞬間のWPと思われるものの映像があります。2006年レバノンで「映像がある→イスラエル軍は当初使用の事実を否定する→しばらくして事実だと認める」という経緯をたどったことは留意しておくべき点のひとつだろうと思います。

思い返せば、2006年レバノンのときはWPよりクラスター爆弾のほうが話題として「ホット」だったので(クラスター爆弾禁止条約の関連)、WPについては2004年11月ファルージャのときほどセンセーショナルには取り上げられなかったというのもあるし、「またか」感、「やっぱりね」感はあったと記憶しています。私自身、レバノンでのWP使用については「またか」と思いつつ、記事だけ読んでブクマして、で終わってました(たぶん)。弾種が何であろうと、一般の民間人・民間施設を標的として行なわれる攻撃はそれ自体が戦争犯罪/人道に対する罪であり(その点で私はハマスなどの「武装組織」のやっていることを正当とは考えていません。かつてのProvisional IRAについても同様です)、2006年レバノンはファルージャ以上に民間人と民間の施設の犠牲が重大な問題だったのでイスラエルのやってることって戦時国際法的にどうなのよというのが大きかったと思いますが、WP使用については、日本語でもまるで話題にならなかったわけではないです。

■「化学兵器」としてのWP(ないし、「化学兵器」としての効果を持つ場合もあるWP):
とりあえず、「化学兵器禁止条約」(正確にはOPCW)的には、上のポール・レイノルズの記事によると、ハーグのOPCWの人が述べている通り、仮定法でではありますが「使用法によっては化学兵器になる」との認識です。それが解釈論に過ぎない、という意見も当然あるでしょう。しかし、何かが法の想定外の使われ方をしたときに、法改正の前に解釈で対応するということは普通にある、ということについてそれはいいとかよくないとかいう話を個人の間で始めても、片手間でできる話ではありませんし、結局のところ「考え方が違うんですね」にしか行き着かないと思うので、その話はコミットできないのなら始めないほうがよいだろうと思います。(そして私はその話にコミットできません。そのことの是非はここでは議論しないようにお願いします……すみませんが単に物理的に対応できないので。)

■特定通常兵器禁止制限条約:
ところで「化学兵器禁止条約 (CWC)」ではなく、「特定通常兵器使用禁止制限条約 (CCW)」について検索してみたら、日本語ではウィキペディアでも項目がないんですね……これ、まずいっすよね、百科事典として。発効して25年も経過している条約なのに。ウィキペディアンの方々、よろしくお願いします。
http://en.wikipedia.org/wiki/Convention_on_Certain_Conventional_Weapons

日本国外務省サイトから同条約について:
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/arms/ccw/ccw.html
1.経緯
 非人道的な効果を有する特定の通常兵器の使用の禁止又は制限については、ジュネーブ追加議定書(1977年採択、1978年発効、我が国は 2004年加入)が採択される過程において議論されたものの結論を得ず、その後、1979年及び1980年の2回にわたり開催された国連会議(注)の結果、1980年に特定通常兵器使用禁止制限条約(Convention on Certain Conventional Weapons:CCW)がジュネーブにて採択された。1983年に発効。

(注)1977年の第32回国連総会で採択された決議(「過度に傷害を与え又は無差別の効果を有することがあると認められる通常兵器の使用禁止又は制限に関し合意を達成する目的で国連会議を招集する」)により開催された会議。


「特定通常兵器使用禁止制限条約 (CCW)」の条文は国連のサイトで。

締約国はICRCのサイトに一覧があります。イスラエルは入っています。

ただし議定書の署名のほうで一覧のページを見ると、署名した議定書の数は、イスラエルはあの中国にも及ばない。米国はそのイスラエルよりも少ない。一方ロシアは……意外なことに全部署名しています。へぇ。第三議定書がどうかは……タブ閉じちゃったんですみませんがリンクをクリックして各自ご確認ください。

■2009年1月、ガザ:
で、ようやく2008年12月ガザ攻撃の話ですが、展開がハンパなく早いということは誰もが認識されていると思います。しかも避難場所としている学校への攻撃、救急車への攻撃など、そこまでやるかということが次々と出てきている。現地からは「DUもWPもクラスターボムも使われている」といった話がTwitterやブログなどで何度も聞こえてきています。それを追うだけでも手一杯という状況です。しかもガザの場合はそれまでに続いていた封鎖も重要です。人々の注目するところ、関心が集まるところは、「どんな兵器が使われているのか」ということのほかに非常にたくさんあると思います。いずれにせよ一方の武力によって本当に夥しい血が流されていて、それを止めることのできる当事者が止まらないし、「国際社会」の動きも鈍い。

WPの使用について、最初の主流メディアの報道であるタイムズの記事では:
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/world/middle_east/article5447590.ece

「イスラエルは煙幕で使っているが、このように物議をかもす兵器を使ったことでまた非難が予想される」ということも書いているので一応注意はしていても、注意する以上のことはできそうにありません。というのは、後日の報道で、イスラエル軍は実際には「煙幕ででも使っていない」と主張していることは上に述べたとおりです。M825A1(でしたっけ?)は「空っぽ empty」だと。(これは流れとしては2006年レバノンでも同じでした。)で、「今は何もわからないだろう」と判断し、結果的に「(日本語の)ネット上では話題になっていない」という状況になっている。そういうことじゃないかと思います。2006年レバノンでもそうだったし。あれだけ明白にWPなのに「使ってません」と言い張られたら、その時点では先へは進めません。(これが「法の統治」かよ、という憤りは当然あります。)

そして、実際にガザの状況はたいへんにひどい。WPを使用している・していないにかかわらず、第一に、毎日民間人の死傷者数が増加し続けている。第二に(というか個人的にはこっちが「第一」ですが)、国際法が見るも無残に破られている。救急車を攻撃するとか、正気の沙汰ではありません。(ということを書くのはファルージャ、レバノンに続いて3度目か……。)このような時に自分は「WPの使用」に特に注目しはしないし、幅広い注目が集まるとも思いません。あのような形であの規模の虐殺と犯罪(違法行為)が起きて、しかも情報量が非常に多いというときに、それがWPであるかどうかを気にかけ(また、それが合法か非合法かを考え)それをネットで誰もが閲覧できる場で書いたりするのは、兵器や戦争、戦術についての関心が高い人に限られているのではないかと思います。そういう人に「バカがまだ言っている」という態度が取られているのを見て、私は心底悲しいです。

なお、WPが使われていることを最初に報じたタイムズ記事のコメント欄も(これは2004年ファルージャのころにはなかったシステムですが)、「WPの使用」に注目したものはほとんどありません。誰でも確認できることですから確認してください。「WPの使用」がメインの記事なのに、ガザ情勢全般についての「トピずれ」のコメントがほとんどです。民間人がたくさんいる市街地でのWPのああいう使用はもう当たり前になっちゃってるのかなあ、という気はしましたが、それ以上考えようという余裕は正直ありません。

とにもかくにも、何弾が使われているということはこの事態に際しては私には特段の関心はありません。今起きているのは、国際法の否定です。国連が武力で攻撃されているような状況です。WPの市街地での使用は、それ自体が小さな問題だとは思いませんが、全体の問題があまりにも大きすぎると私は認識しています。

■余談ですが「燃焼発生した煙」について:
煙については、タイムズでもメイルでもBBCでも(つまり「WPは1980年ジュネーヴ条約で禁止」と書いているメディアでも)注目されていないのですが、そういえば、1月2日、ガーディアンに次のような記事が出ていました。ガザとはまったく関係なく、イングランドでの工場の火災についての単純な報道記事です。

Phosphorus cloud sparks West Midlands alert
David Batty
guardian.co.uk, Friday 2 January 2009 15.45 GMT
http://www.guardian.co.uk/uk/2009/jan/02/phosphorous-cloud-west-midlands

いわく、ウエスト・ミッドランド(<地域名)の工場で化学火災が発生し、一帯に大きな燐のクラウド(a large phosphorus cloud)が出て、消防と警察が近隣住民に「窓を開けるな、外に出るな、水は反応が危険だからシャワーはだめ」といった警告をし、車には「当該エリアで停車するな、窓を開けるな、換気はスイッチをオフにして当該エリアを通過するように」との指示を出したそうです。この火災で発生したクラウドは長さ120メートルほどで、Langleyという町の工場から南方のM5道路(高速道路)の方角に伸びている、という具体的な情報も書き添えられています。

ガーディアンは英国の全国紙ですから、重要な施設や観光名所、大都会での大きな火災や写真がすごい火災は別として(例えば数年前にガスタンクか何かの火災で空が真っ黒になった時は各メディアがトップページに写真を掲載していました。去年のカムデンのマーケットの火災もそうだったかも)、「どこそこで火事」のような地域ネタはあまり大きくは取り上げられません。でも今回のガーディアン記事は(キャプチャを取っていないので証拠は出せないのですが)ガーディアンのサイトのトップページに見出しが出ていたし(それも「国内ニュース」のトップではなく、ガーディアンそのもののトップ)、記事も通信社配信ではなくガーディアンの記者が書いています(担当分野は保健)。つまり、ガーディアン掲載という基準で見ると大きな扱いです。(少なくとも、2008年に北アイルランドで非主流派リパブリカンが仕掛けたらしい爆発物を爆弾処理班が処理した、といったニュースよりは扱いが大きいです。ワタシ的にはNIの爆発物の方が大きなニュースですが。)

私はこの7〜8年くらい毎日BBCなりガーディアンなりのサイトを見ているのですが、兵器という文脈以外でフォスフォラスの名称が出てくるのを見たのは今回が初めてです。

同じ火災を、見出しをセンセーショナルに仕立てることで知られるデイリー・メイルは、次の記事で報じています。

Residents are warned not to wash as toxic gas hits town in Birmingham
By David Wilkes
Last updated at 3:10 AM on 03rd January 2009
http://www.mailonsunday.co.uk/news/article-1104322/Residents-warned-wash-toxic-gas-hits-town-Birmingham.html

「毒ガスがバーミンガムを襲い、住民には入浴を控えるよう警告が」という見出し。記事の中身は見出しに負けています。さすがメイル。(この新聞の見出しを真に受ける人は愚か者だというステレオタイプがあります。そしてだれもが「はっはっは、メイルか」と言いつつ、実は一瞬間に受けてぞっとしたりしている、という新聞です。)

火災で発生する野外のクラウドはそれほどの濃度はないのではないかと思うのですが、それでも記事を読んで、こんな火災が近所で発生したらかなり怖いと感じられます。警察や消防からの住民への注意喚起は「最大限」で話をしている可能性が高いとはいえ。ともあれこの火事、特に続報はなく、つまり大きな被害もなく終わったようで何よりでした。

追記@10日夜11時半ごろ:
2009-01-10 08:40:12に、ハンドル「名無し88mm神信者」さんから、下記の内容をコメント欄にご投稿いただきました。運営方針上、今回はコメント欄に表示ではなく本文に追記という形で対応させていただきます(理由など詳細はコメント欄をご参照ください)。なお、転記にあたり、改行箇所に手を入れさせていただきました。情報の補足をありがとうございました>「名無し88o神信者」さん。
 防災関係の資料を見ると黄燐は不完全燃焼をおこしてそれ自身の蒸気を発生して
呼吸器に損傷を与え※1、
これを吸入すると死に至ることもある※2
※1危険物ハンドブック ギュンター ホンメル 編 (シュプリンガー・フェアラーク東京、1991)
※22危険物データブック第2版 東京消防庁警防研究会監修 (丸善、1993)
とのことなので、
>一番酷かったのは、燃焼発生する煙が猛毒のガスであると嘘を吐いていた
というのは極めて粗雑な意見のようです。ついでに黄リンと赤リンの燃焼生成物の危険性も断然前者の方が上だそうです。

以下は蛇足です
黄燐弾について的確にまとめられたページ
http://www004.upp.so-net.ne.jp/weapon/whitephosphorus.htm
黄燐弾をふくむ発煙弾に関するページ
http://www.fas.org/man/dod-101/sys/land/smoke.htm
迫撃砲弾を"bomb"と呼んでいる例
http://www.pof.gov.pk/products/60mmmortarhe.htm




非常に長くなりましたが以上です。このエントリは、英国のメディアはこう伝えている、ということを日本語で書いているものであり、英国のメディアの書いていることについて評価また議論することは目的としません。英国のメディアが書いていることについてのご意見は、私にではなく英国のメディアに伝えてください。私個人は、本文にも書いたように、この状況下で「WP」についての特に高い関心を抱いているわけではありません。エントリ本文に出し尽くした以上の関心は今はありません。それより武力行使がいつまで継続されるのかと、国連機関の現地での活動がどうなるのかが心配でなりません。特にガザのような地域で国連の活動ができなくなる事態というのは、想像しうる範囲で最悪です。どんな影響が出るのか想像がつきません。

なお、このエントリのコメント欄(承認制)は、当方が本文でその発言を掲載させていただいているJSFさんのご投稿のみお受けしたいと思います。理由は、第一に本文が長すぎてバグるのがこわいので(勝手ですみませんが、バグるのはこちらでは対応できないので)。また、「議論」のためのコメントはいただいても非表示にさせていただきます。私はほかのことで手一杯で、対応ができません。この件について議論をしたい方は、私が書いた部分については記事を持って行っていただいて構いませんので、どこか別のスペースでやるという方向でお願いします。



付:他人様のところでのコメント&トラバ:

nnsさんのコメント:
Title: 大変面白い記事ですね
ほぉ〜白燐弾とは恐ろしい兵器なようですね^^
ところでGoogleってご存知ですか?


週刊オブイェクトさん(JSFさん)のトラックバック:
http://obiekt.seesaa.net/article/112341990.html
Title: 白燐弾でイタリア紙ウニタが早速デマ報道
4年前のファルージャ白燐弾狂想曲の発信源はイタリア国営放送RAIでしたが、今回のイスラエル軍によるガザでの白燐弾使用に反応しているのは、元イタリア共産党機関紙(経営不振で今は民間の資本が入り民営化)のウニタ紙(l'Unita')でした。


私のコメント(ばらばらに投稿したのを1つにまとめます。なおこれは、このコメントを投稿した記事を閲覧される方に向けても書いているものであり、上記のお二方にのみ向けたものではありません):
ひとつのことを語るときに複数の立場が可能である、というのは普遍的な真実です。白燐弾(WP)をめぐる議論は、主に、それが「違法」であるかどうか、という問題として語られていますが、WPに関してはそれが「違法ではない」ということが常にそれは「適法である」ということを意味しない、という点で非常に複雑です。だからこそ「化学兵器ではないか」という論点が提示され、その上で「激論」になったのです。

小ばかにしたようにGoogle検索しろと言ったり、何らかの立場の言説を「デマ」と断定したりする前に、「違法」ないし「適法」の根拠たる化学兵器禁止条約や特定通常兵器制限条約でWPがどのように位置付けられているか、またアメリカやイスラエルはこれらの条約(含議定書)についてどのように対応しているか(つまりどれについて署名・批准し、どれについてそうではないか)、一通り読んで「激論」の背景をお考えになってみてはいかがでしょうか。それが成されぬところに議論は成立しません。

http://en.wikipedia.org/wiki/Chemical_Weapons_Convention
http://en.wikipedia.org/wiki/Convention_on_Certain_Conventional_Weapons

それから、下記はWPについての英国のタイムズの最新の報道です。WPの危険性(危険な使い方)について懸念を抱いているのは「共産党」や「左翼」だけではありません。

January 8, 2009
Gaza victims' burns increase concern over phosphorus
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/world/middle_east/article5470047.ece

少し時間が取れたら私のウェブログでエントリにしますので、JSFさんにはそのときにトラックバックします。


上記の私のコメントに対するJSFさんのレス(転載に問題があれば言ってください>JSFさん):
Name: JSF
Title:
>nofrillsさん
>一通り読んで「激論」の背景をお考えになってみてはいかがでしょうか。
>それが成されぬところに議論は成立しません。

私はその手の議論を4年前に潜り抜けています。欧米での議論も目にして来ました。白燐弾騒動については何を今さら、という思いなのですよ。恐らく貴方が知っている事は私も大体知っていると思います。

>何らかの立場の言説を「デマ」と断定したりする前に

デマはデマです。法は新たに改正しない限り、現行法が適用されます。別に私は白燐弾を規制するなと言っているのではありません。議論の末に法を改正し規制されるなら受け入れるという事は、最近のエントリーからも読み取れる筈ですよ。

>WPの危険性(危険な使い方)について懸念を抱いているのは「共産党」や「左翼」だけではありません。

知っています。4年も前から。私が許せないのは、この兵器をまるで大量破壊兵器かなにかのように誇張して喧伝する愚か者の全てに対してです。一番酷かったのは、燃焼発生する煙が猛毒のガスであると嘘を吐いていた例でしょうね。


それに対する私のレス:
Name: nofrills
Title:
JSFさん、ご無沙汰しています。

> 私はその手の議論を4年前に潜り抜けています。

はい、JSFさんがそうだということは知っています。そのうえで上記のように書いたのは、最初のnnsさんのコメントに対するものというか、P-navi infoさんのこの記事を閲覧しておられる方々に対するものという色が濃いです。読み返してみると、少々書き方が乱暴でしたね。すみません。JSFさん個人へのレスではありませんでした。

あまりP-navi infoさんの場所をお借りするのも申し訳ないので、続きは当方のブログで。
http://nofrills.seesaa.net/article/112357881.html

※この記事は

2009年01月09日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 08:10 | Comment(9) | TrackBack(0) | i dont think im a pacifist/words at war | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
エントリーお待ちしておりました。では早速・・・

>あえてこの言葉を使わせていただきますが――「デマ」です

その主張は少し誤解があります。先ずウニタも書いていることは事実だからです。こちらとしてはイタリア国内で、前回騒いでいたRAIが反応せずウニタが反応している様子から、「今回はウニタ」と書いたつもりだったのですが、イタリア国内での話と説明が不足していたのは確かですので、その点はこちらの不手際です。

なおタイムズが報道していた事は知っていました。今回、日本メディアで唯一、白リン弾について報道している共同通信にも載っていたからです。

http://www.47news.jp/CN/200901/CN2009010501000759.html

そしてこれを1/5の段階で把握しています。もちろん、タイムズの元記事もチェックしています。
Posted by JSF at 2009年01月09日 23:48
>「1980年ジュネーヴ条約で、WPは民間の区域で戦争の兵器としては禁止されている」とあります。

使用は可能です。白リン弾は議定書の定義に於ける焼夷兵器に該当しない除外対象だからです。

●焼夷兵器とは、焼夷効果を第一義的な目的として設計された兵器をいう(第一条その1「定義」より)
●焼夷効果が付随的である弾薬類(発煙弾や照明弾)は焼夷兵器に含めない(第一条その1-b-iより)
 [参考:焼夷兵器の使用の禁止又は制限に関する議定書(議定書III)]

またこの議定書が禁止しているのは「人口周密地域で焼夷兵器を空中から投射する事の禁止(第二条その2)」です。地上火砲から砲撃した場合、地対地攻撃と見なされ、空中からの投射と見なされません。空爆は完全にアウト、焼夷手榴弾はセーフ、問題はグレネードランチャー、迫撃砲、榴弾砲といった中間の兵器群はグレーゾーンです。

ただ私は第二条以前に第一条の段階でM825A1は除外される対象と認識しています。条文をそのまま解釈したらそうとしか読めないのです。

>元英陸軍将校で今は軍事評論家の人のコメントの要旨は、「故意に人々に向けてWPが発射されれば、だれかがハーグ(の国際刑事裁判所)に送られることになるだろう」。そして、上空で炸裂して降下するWPのブロブは、人の皮膚につくと燃焼するということを述べています。
----

ぶっちゃけて言うと、故意に民間人を狙って砲撃した場合はどのような兵器でもハーグ行きです。あまり意味があるコメントとは思えないのですよ。


>つまり、「CCW第三議定書が定義している焼夷兵器ではない」。しかしながらHRWの人は「付随的焼夷効果が大きいので、人口の密集した都市部でWPを使うことによって民間人の犠牲を避けるための手順を踏むことを怠っているのではないかという懸念がある。報道で見る限り低空で炸裂しているが、それは焼夷効果を最大限に引き出すためではないかと見える」ということを述べている――というのがタイムズの記事です。
-----

まずCCW議定書では焼夷兵器の定義を「焼夷効果を第一義的に設計された兵器」としており、M825A1がスモーク弾として設計され焼夷効果が付随的である時点で焼夷兵器とは見なされません。M825A1は、CCWに規制されません。またM825A1は空中炸裂を重視した設計です。これは広範囲に煙幕を展開する為の仕様であり、アメリカ軍の煙幕砲術には三種類の発煙弾を使い分ける事が提示されています。HC発煙弾、WP発煙弾(地表炸裂)、WP発煙弾(空中炸裂)

Smoke Projectiles
http://www.fas.org/man/dod-101/sys/land/smoke.htm

ですので、低空で炸裂させることが焼夷効果を狙ったものとするのは、煙幕砲術の基本を知らない意見だと言えます。
Posted by JSF at 2009年01月10日 00:18
>これはWPやその他の焼夷兵器(火炎放射器のような)を民間人もしくは民間の物に対して使うことを禁止し、空爆で、民間人が集中している場所にある軍事標的に対して使うことを禁止している。また、ほかの方法(例えば迫撃砲とか戦車からの直接の砲撃)による、民間人のエリアにある軍事標的に対するWPの使用も制限している。
----

レイノルズの説明で問題があるのはここです。

焼夷兵器の使用の禁止又は制限に関する議定書(議定書III)
http://www.ioc.u-tokyo.ac.jp/~worldjpn/documents/texts/mt/19801010.T4J.html

煙幕弾として設計された兵器は焼夷兵器とは分類しないという、この議定書の前提を無視している点です。またこの議定書は徹甲焼夷弾(PGU-28半徹甲焼夷榴弾)も焼夷兵器に分類せず、BLU-97/Bクラスター子弾(内部にジルコニウム焼夷材あり)も焼夷兵器に分類しません。

なぜ、例外規定を無視しようとするのでしょう。
Posted by JSF at 2009年01月10日 00:35
JSFさん、風邪でふせっているので反応が遅くすみません。

レイノルズの記事の内容へのご意見をコメントにご投稿いただいていますが、エントリ本文にあるとおり、それはBBC記事の一番下に掲示されているレイノルズのメールアドレスに英語でメールしてください。(ただし2005年の記事であることはご留意ください。)

また、エントリ本文に書いてありますとおり、このエントリは、英国のメディアはこう伝えている、ということを日本語で書いているものであり、英国のメディアの書いていることについて評価また議論することは目的としません。英国のメディアが書いていることについてのご意見は、私にではなく英国のメディアに伝えてください。(以上、本文からの再掲。)

上記は、本文に、例えば
> タイムズの記事に「ほにゃほにゃ」と書いてあります。
と私が書いたことについて、(これは、形式的には「私」がここに書いていますが、私はタイムズの記事の内容を伝えているだけで、それは「私の意見」ではありません)
> 「ほにゃほにゃ」ではありません。
と指摘したい場合を含みます。

また、9日23:48のコメントから:
> 先ずウニタも書いていることは事実だからです。

ウニタは「英国でかくかくしかじかという報道がある」と書いている(紹介している)に過ぎないように見えるのですが、それを「ウニタも書いている」とおっしゃっているのでしょうか。それともウニタにはP-navi infoさんに日本語訳が紹介されていたのとは別の記事があり、それのことをおっしゃっているのでしょうか。

むろん、そのトピックをウニタが選んだことは事実ですし、ウニタがそれに関心を持っていることが前提ですが(それゆえ私は本文に地の文で「ウニタにWPへの関心がないとは言いませんが」と、《譲歩》の節を入れてあります)。

ウニタのテクストにウニタ独自の見解などが書かれていれば「ウニタが書いた」とすることに妥当性が生じますが、このケースでは明らかにそうではありません(イタリア語の原文を、前置詞などがわからないながら一応参照しましたが、「英メディアではこう伝えられている」という内容しかないと思います)。

引用元に向けるべき指摘や批判を、引用者に向けるのは見当違いです。(ただし引用の妥当性や引用時の文意のねじ曲げを問う場合は引用者に向けるべきですが、今回はそれには該当しません。引用は妥当ですし、文意のねじ曲げもありません。ただしメイルの記事は私は探せていないので、それについては確認できません。)

共同通信の5日の記事を5日の段階で把握し、タイムズの元記事もチェックされているのならなおさら、「ジュネーヴ条約で禁止」と引用でない形で書いているのはタイムズである、ということは把握しておられますよね。しかしながら、オブイェクトさんからP-navi infoさんにトラバを打たれた記事に、「タイムズの記事」のことは書かれていません。

「1980年ジュネーブ条約で禁止」が「デマ」だというのなら、ウニタよりむしろ、タイムズ報道が批判されてしかるべきだと私は思いますが。
Posted by nofrills at 2009年01月10日 23:15
業務連絡です。

JSFさんのほかに、防災関係の資料での黄燐(白燐)の煙についての追加的説明をコメント欄に投稿してくださった方がおられます。(ハンドル「名無し88mm神信者」さん。)

このコメントの内容は、本文に追記の形で加えさせていただきます。というのは、「コメント欄はJSFさんのご投稿のみお受けしたい」と明記していることがひとつ、投稿内容がふだんなら普通にお受けしているような内容であることがひとつ、さらに、本文で内容的補足のコメントについては何も書いていないためです。

運営がごたごたしていてすみませんが、あしからずご了承ください。

あと、コメント欄は週明けくらいに閉めさせていただきます。

それから、P-navi infoさんでのコメントのときに「書きあがったらトラバします」と書いておいてトラバが送れていなかったので、つい先ほどオブイェクトさんにトラバを送信しました。遅くなってしまってすみません。
Posted by nofrills at 2009年01月10日 23:25
>それは「私の意見」ではありません)

では「貴方の意見」に関してレスをします。

>CWC, CCWに照らしてWPは違法な兵器ではないのなら
>(私もCWCとCCWではそういうことになると認識していたんですが)

貴方も認識している通り、白燐弾は戦時国際法で規制されてはいません。違法では無いのです。
Posted by JSF at 2009年01月11日 09:32
>JSFさんのほかに、防災関係の資料での黄燐(白燐)の
>煙についての追加的説明をコメント欄に投稿してくだ
>さった方がおられます。(ハンドル「名無し88mm神信者」さん。)

>このコメントの内容は、本文に追記の形で加えさせていただきます。

それはダブルスタンダードです。その内容に対するこちらの反論を掲載して頂きたいのですが。そうでなければ不公平です。
Posted by JSF at 2009年01月11日 09:34
何度説明すればよろしいのでしょうか。エントリ本文に次のように書いてありますよね。

「議論」のためのコメントはいただいても非表示にさせていただきます。私はほかのことで手一杯で、対応ができません。この件について議論をしたい方は、私が書いた部分については記事を持って行っていただいて構いませんので、どこか別のスペースでやるという方向でお願いします。

「名無し88o神信者」さんのご投稿も、当方にコメントでいただいたということは転載も当方のエントリの本文と同じに扱っていただいてOKということだと思います。(勝手にすみません>「名無し88o神信者」さん。)

ここは私のブログですから私の方針でやります。「名無し88o神信者」さんのコメントに関しては、「JSFさんの投稿のみ受け付ける」というのと、「情報の補足については私が何も書いていなかった」という点とをはかりにかけて判断しました。

このブログでは以前にも、英国の政治をめぐって「コメント投稿者が議論を望んだが私にはそのことについての関心もない」という事象が発生しました(英保守党の重鎮の議員辞職と、英労働党の左派について)。そのときも「私にはスピーカーズコーナーを設置する余力はない」とご説明してお引き上げいただいています。

正直、WPが違法であるかどうかは今回考えている暇もありません。もっと大きな、あからさまな違法行為が為されているときに、そんな余裕はありません。ものすごい量の記事をどう処理するかだけで手一杯です。下記をごらんください。100以上の記事がありますが、うち、何らかの形で日本語で紹介したいものが最低でも10〜15件(ひょっとしたら20件)、積み残しになている状況です。しかも風邪を引いているので英文は細切れにしか頭に入ってこず、非常に苦しいのです。頭がぼーっとしているので、さっきも操作ミスで重要な下書きファイル消しちゃったし。ってそれはこっちのほんとに勝手な事情ですが。
http://b.hatena.ne.jp/nofrills/Dec2008_Gaza/

私があなたに申しあげたいのは、基本的に、「タイムズ(とメイルとBBC)がそう書いている」ということだけです。

ここのコメント欄は予定を少し早めて今日中に閉じます。本文の文字量が膨大なので、そろそろキャパシティを超えるような気がしていますので。
Posted by nofrills at 2009年01月11日 10:54
あー、すみません、JSFさんのコメント@2009年01月10日 00:18はコメント管理画面で「保留」に指定すべきものを「承認」にしてしまっていたので表示されていますが、今から非表示にする意味も意義もないのでこのままにしておきます。01/10 00:35と、01/11 09:32のコメントは内容が「議論」なので「保留」にしてあります。

あと、seesaaのFAQを見たのですがブログの1エントリのページが何文字までが許容範囲なのかがわからないので、表示に不具合が出ないうちに閉めさせていただきます(前に本文が長い上にコメントが多くついたときに「表示されない」という連絡をいただいたことがあり、こちらではどうすれば対処できるのかがわからないので、そういう不具合が出ないうちに、早めに措置を講じることにします)。
Posted by nofrills at 2009年01月11日 11:02

この記事へのトラックバック





【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

……全文を読む
▼当ブログで参照・言及するなどした書籍・映画などから▼