kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2008年12月15日

音楽の拷問への利用に抗議を。音のない抗議を。

※以下、16日夜中に少し書き足しました。

zero dBグアンタナモ湾のキャンプ・デルタ(→関連記事のクリップ)などの米軍施設で、被拘束者に対する「拷問」のために音楽が用いられていることで、ミュージシャンの側が動いたことが先週報じられました。

グアンタナモやアブ・グレイブ(イラク)、バグラム(アフガニスタン)などで感覚遮断の「拷問」のために音楽が使われていることはこれまで何度も報道され、報告されてきているのですが、世界人権宣言 (the Universal Declaration of Human Rights) の採択からちょうど60年となる2008年12月10日という日付で、この問題に特化したキャンペーンがスタートした、とのことです。

報道記事(AP通信による):
Published on Wednesday, December 10, 2008
Musicians Don't Want Tunes Used for Torture
http://www.commondreams.org/headline/2008/12/10
A campaign being launched Wednesday has brought together groups including Massive Attack and musicians such as Tom Morello, who played with Rage Against the Machine and Audioslave and is now on a solo tour. It will feature minutes of silence during concerts and festivals, said Chloe Davies of the British law group Reprieve, which represents dozens of Guantanamo Bay detainees and is organizing the campaign.

水曜日に発足したキャンペーンで、Massive Attackなどのミュージシャンが団結、またトム・モレロ(RATM, Audioslave)のようにツアー中のミュージシャンは、ライヴ中に沈黙の時間を設ける。キャンペーンをまとめているのは、グアンタナモに拘束されている人々数十人の代理人となっている英国の法律家のグループ、Peprieveである。


というわけで、Reprieveに行くと:
http://www.reprieve.org.uk/

左上に "zero dB [against music torture]" というバナーがあって、「世界人権宣言からちょうど60年となる日に、ミュージシャンが、拷問での音楽の使用に反対して団結しました」といった説明があり、"zero dB" (ゼロ・デシベル)へのリンクがはられています。
http://www.zerodb.org/

"zero dB" は全面的にflashで、読み込みにけっこう時間がかかります(画面の一番上に読み込みの進捗が示されるバーがありますが、これがかなり遅い)。読み込み中、次のようなメッセージが表示されます。「いわゆる『対テロ戦争』において、音楽が心理的拷問の一部として利用されています。この残酷な方法を終わらせるためにお力をお貸しください。私たちの沈黙の抗議にあなたもご参加ください」。

UPDATE:
12月20日ごろからこの「読み込み」の間の表示が変更され、耳をつんざくようなノイズが少しの間流されるようになりました。ヘッドフォンご利用の方は特にご注意ください。かなり音が大きいし、高音で来ます。
読み込んだ後も少し変更されているのですが、サイト構成などは基本的には変わらないので以下はそのままで。(というより、キャンペーンなんだからtext only版も用意してほしいよね。info@reprieve.org.uk宛てに要望は送ったのだけど……送った時点で既にクリスマス休暇前だから期待はしてない。)


※キャプチャを張り合わせたもの。

ダイアルアップの人にはかなり厳しいかもしれないけど、少し待って全部を読み込むと、人々の「写真」が表示されます。「写真」だけではなく「沈黙の抗議」のビデオもかなり多くあります。Reprieveの関係者と思われる人たちや、グラフィック・デザイナーさんや、Channel Fourのニュースキャスターのジョン・スノウ、そして5年もグアンタナモに入れられていたBisher al Rawiさん(この人の体験したことはものすごくひどい。MIナントカが絡んでいるのだけど)の姿も。


この画面の左上に、Join our petitionというボタンがあるので、キャンペーンに賛同する人はそこから署名を。

署名画面の説明(キャプチャ画像に書き込みました):




ビデオや写真は添付しなくてもOK、署名だけでもできます。ビデオは投稿する場合は無音(ゼロ・デシベル)で。

署名を終えるとすぐに、次のようなメールが来ます。
From: silentprotest@zerodb.org
To: *****@******.ne.jp
Subject: video/photo/name received
Date: Mon, 15 Dec 2008 **:**:** -0000

Thank you for your contribution to our protest against music torture.

As soon as it's been added, we'll send you a link.

【対訳】 音楽拷問への抗議へのご協力をありがとうございました。一覧に追加し次第、リンクをお知らせします。

このあとまた、Reprieveからの「キャンペーンのお知らせ」のメールとかが来るかもしれませんが、それはそれでオプトアウトできると思います。

また、「沈黙の抗議」のところで画面左上の「+」をクリックすると、Who we areとかOur aimとかTestimoniesといったコンテンツが見られます。

Who we areの部分:

いわゆる「対テロ戦争」における残酷な心理拷問で、音楽が、許可なく利用されています。zero dBはこの野蛮な手法に終止符を打つことに取り組んでいます。しかしながら、現実的にそれを達成する望みを持つためには、zero dBではあなたのご助力を必要としています。

zero dBはReprieevとMusicians Unionの連合体です。

Reprieveは法律家のグループで人権が専門分野。その英国支部 (Reprieve UK) は、グアンタナモに収容されている英国人や英国レジデント128人をはじめとする世界中の拷問被害者の法的代理人として、身柄解放に取り組んできました。BBCやガーディアンなど大手メディアの報道記事でもたびたび言及されています。
http://www.reprieve.org.uk/
http://en.wikipedia.org/wiki/Reprieve_(organisation)#Reprieve_UK

Musicians Union (MU) は英国の音楽家の組合。大手メディアの報道では、特に著作権法(特に演奏者の権利に関係する部分)関連の裁判の報道などで名前を見ますが、19世紀末から続いている組合です。
http://www.musiciansunion.org.uk/
http://en.wikipedia.org/wiki/Musicians%27_Union_(UK)

Music tortureの部分(2分割します):


音楽拷問
心理的拷問:
耳をつんざくような音楽が何日も何ヶ月も連続で流される――これは現代的な拷問です。身体に痕跡は残りませんが、精神が受ける傷は一生続き、この拷問を受けた人たちは精神的に参ってしまうことがあります。

過去の実例:
そもそも音楽拷問は20世紀後半にCIAによって考案されたものですが、音楽拷問について過去に2度出ている大きな法的判断においては米国は当事国ではありません。大きな法的判断の最初の例は、1978年、英国がアイルランド人の被拘束者に対し大音量のノイズを使用した件で出たものです。欧州人権裁判所はこれを「非人間的で下劣なことだ」と非難し、英国は欧州人権条約に違反していると判断しました。第二の例としては1997年、国連の拷問反対委員会が、イスラエルが尋問中に音楽を用いたことを拷問として認定し、その禁止を呼びかけています。

誤解:
音楽の利用に反対する運動では厳しく非難されていますが、2つの誤解がまかり通っています。ひとつは、影響を受けるのはほんの少数の人であるという誤解、もうひとつは、音楽拷問は「軽い」拷問であるという誤解です。

第一の点については、米国政府は「テロに対する戦争」において法の支配の及ばないところに8万人以上を拘束していると認めています。うち、27,000人がいまだに世界各地にある米国の国外施設にいます。この多くが音楽拷問を受けています。

音楽拷問が「軽い」拷問であるという考えもまた間違っています。いまだにグアンタナモ湾に拘束されているビンヤム・モハメッドさんは、モロッコにある秘密の拘置施設で18ヶ月間拷問にさらされました。ペニスをメスで切られることが日常化していたにもかかわらず、彼は自分の正気が失われていく感覚のほうがより恐ろしかったと述べています。彼は、20日間にわたって1日24時間の音楽拷問にさらされました。




Locations
音楽拷問が行なわれた場所

音楽拷問は、名を知られている軍管理の拘置施設や、CIAが極秘裏に運営している施設で用いられています。

下記はその一部です:
Dark Prison, Afghanistan
Sana's Prison, Afghanistan
Bagram, Afghanistan
Guantanamo, Cuba
Temara, Morocco
Mosul Air Force Base, Iraq
Abu Ghraib, Iraq
Camp Nama, Iraq
Forward Operating Base, Tiger, Iraq
Camp Cropper, Iraq
Qaim, Iraq

Artists
楽曲が使用されたアーティスト

拷問に用いられる音楽はさまざまです。下記は使用されたことが判明しているものです。

AC/DC - Hells Bells, Shoot to Thrill
Aerosmith
Barney the Purple Dinosaur - theme tune
Bee Gees - Stayin' Alive
Britney Spears
Bruce Springsteen - Born in the USA
Christina Aguilera - Dirrty
David Gray - Babylon
Deicide - Fuck Your God
Don McLean - American Pie
Dope - Die DF Die, Take Your Best Shot
Dr. Dre
Drowning Pools - Bodies
Eminem - Kim, Slim Shady, White America
Li'l Kim
Limp Bizkit
Matchbox Twenty - Gold
Meat Loaf
Metallica - Enter Sandman
Neil Diamond - America
Nine Inch Nails - March of the Pigs, Mr. Self-Destruct
Prince - Raspberry Beret
Queen - We are the Champions
Rage Against the Machine - Killing in the Name of
Red Hot Chili Peppers
Saliva - Click Click Boom
Sasame Street - theme tune
Tupac - All Eyes on Me

Victims
音楽拷問を受けた被収容者には下記の人たちがいます。

Abu Zubaydah
Ali Shalal Qaissi (Haj Ali)
Asif Iqbal
Binyam Mohamed
Donald Vance
Haitham al-Mallah
Issa Ali Abdulah Al Murbati
Khaled Sheikh Mohammed
Laid Saidi
Maher Arar
Mehdi Ghezali
Mozzam Begg
Mohammed Al Qahtani
Muhammad Faraj Ahmed Bashmilah
Ramzi bin al-Shibah
Ruhal Ahmed
Saddam Salah al-Rawi
Saddam Saleh Aboud
Salah Nasser Salim Ali
Shafiq Rasul
Tarek Dergoul
Walid Muhammad Shahir Muhammad al-Qadasi
Yasir al-Qutaji
Zakim Shah

※タイプミスがあるかも。見つけたらコメント欄でお知らせください。

Our Aimの部分:

zero dBの最終的目標は、音楽拷問によって苦痛が引き起こされるのを終わらせることです。音楽拷問が行なわれていることが広く非難され、各国政府と国連に対し、拷問禁止条約を遵守しそれを徹底することが要請されることによって、この目標は達成されると私たちは考えています。あなたのお名前と、できればビデオか写真を署名に追加していただくことで、私たちのやろうとしていることはずっと楽なものになります。


Testimoniesの部分:

部屋に明かりがともることはほとんどなく、真っ暗だった……彼らは私を(鎖で)吊るした。2日目に数時間眠ることを許されたが、また吊るされた。今度は2日間も。脚はむくみ、手首と手は感覚を失った。……20日間にわたって、大音量で音楽がかかっていた。(エミネムの)「スリム・シャンディ」や、Dr. Dre……音は恐ろしい幽霊の笑い声やハロウィーンの効果音に変わった。(そのときには私は)2週間にわたってレールに鎖でつながれていた。……ICAは夜も昼もなく、私にもその他の人たちにも尋問をした。……多くの人たちが正気を失った。壁や扉に頭を打ちつけている音や、大声で叫んでいる声が聞こえた。

――アフガニスタンの「闇の監獄」での経験を語るビンヤム・モハメッドさん(Reprieveのクライアント)




さて、上にもあるように、「音」が「拷問」に使われているなどというのは新しい話ではありません。1970年代、インターンメントが行なわれていたころ、北アイルランドのロング・ケッシュではホワイトノイズが用いられていました。2005年年頭に機密指定期間がすぎて開示された英国の公式文書にもしっかり記録されています。(このような文書を待つまでもなく、インターンメントでロング・ケッシュにぶち込まれた人たちの証言はいろいろとあったのだけど。)

Internment report led to fury
by Paul Reynolds
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/politics/4117611.stm
Amid arguments similar to those surrounding the detention of prisoners at Guantanamo Bay, the Compton report examined so-called sensory deprivation techniques used on IRA suspects held without trial - hooding, wall-standing, white noise, sleep deprivation.


この「ホワイトノイズ」を主題にした楽曲も何曲かあります。特に有名なのはGang of Fourの "Ether" とか:
White noise in a white room
White noise in a white room
White noise in a white room
White noise in a white room

Trapped in heaven life style (locked in Long Kesh)
New looking out for pleasure (H-block torture)
It's at the end of the rainbow (White noise in)
The happy ever after (a white room)

Dirt behind the daydream
Dirt behind the daydream
The happy ever after
Is at the end of the rainbow

―― Gang of Four, "Ether"
http://ie.youtube.com/watch?v=-dH6FltYv2Q


かなりメタファー的な例だけど、Stiff Little Fingersの "White Noise" とか:
If the victim ain't a soldier why should we care?
Irish bodies don't count. Life's cheaper over there.

Green wogs. Green wogs. Face don't fit.
Green wogs. Green wogs. We ain't no Brits!
Green wogs. Green wogs. Grab 'em boys.
Green wogs. Green wogs. Turn up the white noise.
Turn up the white noise! Turn up the white noise!

―― Stiff Little Fingers, "White Noise"
http://ie.youtube.com/watch?v=vE5ejCjGmFw
http://www.plyrics.com/lyrics/stifflittlefingers/whitenoise.html

※SLFのこれは、歌詞がすごすぎて印刷もはばかられるし放送はできないというものなんだけど、ひどくPUNK的な怒りゆえの歌詞です。抜粋したのは最後の部分。

個人的には、「音」には少し敏感なほうで、東京の私鉄の各駅停車しか停まらない駅で通過電車がものすごいスピードで通っていくときは耳を指でふさがないと頭がおかしくなりそうになる性質なのですが、それでいてルー・リードの例のあれとか聞きながら仕事してるし、ホワイトノイズもピンクノイズもブラウンノイズもかなり好物だから(ブラウンノイズが最高)、「ノイズ垂れ流し」だけでは私の拷問にはなりえません。でも、拘禁状態に置かれ、感覚遮断を強要され、睡眠を奪われ、水・食料を与えられず、トイレに行くことも許されないという状況で自分の意思とは無関係にノイズを絶え間なく聞かされたら、たぶんひとたまりもなく人格が崩壊すると思います。たとえそれが「ノイズ」ではなく「音楽」であっても。そしてその「音楽」が本当は好きなものであっても、そのような状況で強制的に聞かされるという屈辱には、たぶん耐えられない。というか、好きな曲のほうがつらいと思います。

というわけで、http://nin.com/ の12月11日のトレント・レズナーの投稿(→ nin.comが更新されていたら非公式アーカイヴで確認):
12.11.08: Regarding NIN music used at Guantanamo Bay for torture
グアンタナモ湾で、拷問のために、NINの音楽が使われていた件

It's difficult for me to imagine anything more profoundly insulting, demeaning and enraging than discovering music you've put your heart and soul into creating has been used for purposes of torture.
自分が心血を注いでつくりあげた音楽が、拷問という目的のために使用されているということを知らされる以上に、ひどく侮辱的で屈辱的で、怒りを掻き立てるようなものがあるとは自分には想像しがたい。

If there are any legal options that can be realistically taken they will be aggressively pursued, with any potential monetary gains donated to human rights charities.
現実的にとりうる法的手段があれば、積極的にそのようにしたい。そこで金銭的な利益が出たら、人権団体に寄付する方向で。

Thank GOD this country has appeared to side with reason and we can put the Bush administration's reign of power, greed, lawlessness and madness behind us.
神よ、感謝します。この国は理性の側に立ち、ブッシュ政権の力と欲望と無法と狂気の治世を過去のものとすることができました。

Trent Reznor

最後のThank GOD云々は「皮肉」として読まなければならないのだけど(レズナーは神様神様言ってる人ではない)、ともあれ。

アブ・グレイブ・スキャンダルのときには既にNINの名前は出ていました(アブ・グレイブの前、バグラム空軍基地のころから名前は出ていたかも。対敵の爆音音楽攻撃のコンテクストだったかもしれないけど)。zero dBについてのAP通信の記事にも出てくるのだけど、Donald Vanceという元軍人でセキュリティ・コントラクターだった人(武器の横流しに関連してFBIに送り込まれ、大変なことになった人)がバグダードのキャンプ・クロッパーで「音楽拷問」を経験していることを語っていて、そこでNINの名前が出てきます。

Journal of the Society for American Music (2008) Volume 2, Number 1 に掲載された論文から:

"You are in a place that is out of the world..." : Music in the Detention Camps of the "Global War on Terror"
Suzanne G. Cusick
http://journals.cambridge.org/production/action/cjoGetFulltext?fulltextid=1674936
※リンク先はPDFです。
Mainly, what Vance heard was music, "goddamn blaring music seems like twenty-four hours a day," that he heard along with everyone else in his building.

I actually can't remember a single day in which I wasn't subjected to music. . . . Large speakers [were] placed within the entryways to passages to either side of the structure. This is done so both sides of the building are hearing the same songs. ... From my cell to the nearest speakers was approximately 20 yards. ... I do remember some songs, like Nine Inch Nails' "Mr. Self-Destruct" and "March of the Pigs." I can't remember how many times I heard Queen's "We Are the Champions." ... Songs would "jump," I would hear a hard rock song then I would have to hear a Country song then a hard rock song, then maybe a Hip-Hop song. ... The music was very loud.


Indeed, it was so loud that the guards stationed at each end of the corridor could not hear each other without yelling or walking toward each other to talk. Vance found the music annoying at first, but soon came to think of it as "a war of wills, a personal attack against me." Nonetheless, sometimes he couldn't help responding to familiar music, singing along when "they played an artist I enjoyed. But, that just . . . began destroying me. Listening to songs that I would play at home . . . within that place, drove me into tears." Compared to his struggle with the constantly blaring music, Vance found the sounds of human voices directed at him in his daily interrogations in the carpeted rooms almost welcome.


ざっと日本語にすると次のようになります。
ヴァンスが聞かされたのは音楽が主だった。「死ぬほどの大音量の音楽が、1日24時間かかっているような状態」だったのを同じ建物にいた全員と一緒に経験している。

音楽を聞かされない日は1日もなかったように思う。……大きなスピーカーが入り口から廊下にかけて、片側にずらっと置かれていた。建物の両方の側に同じ音楽が聞こえるように配置されていた。……私の房から一番近いスピーカーまで20ヤード(約18メートル)くらいだった。……NINの "Mr. SelfDestruct" や "March of the Pigs" がかかっていたのは覚えている。Queenの "We Are the Champions" など何度聞かされたかわからないほどだ。……かかる曲はまったくバラバラで、ハードロックがかかったと思えば次はカントリーで、それからまたハードロックで次はヒップホップ、という具合……それがものすごい音量だ。


実際、あまりの音量に廊下の両端に配置されていた警備のスタッフは、大声でがなりあうか、歩いて近づかないことには話ができなかった。ヴァンスは最初は音楽がうっとうしいと思っただけだったが、すぐに「意志の戦争だ、私に対する個人攻撃だ」と思うようになった。それでもよく知っている曲にはついつい反応してしまい、一緒に歌っていたという。「自分が好きなアーティストの曲があった。でもそれは……自分を崩壊させるようになった。自分の家で聴くような音楽を、あそこで聴くなんて、涙がこぼれてしかたがなかった」。絶え間なく大音量で流される音楽と比較して、毎日の尋問でカーペットのしかれた部屋で実際に自分に人間が話しかけるときの声は、ほとんど嬉しいものに響いたという。


音楽が好きな人ならヴァンスの言っているような「ジャンルがむちゃくちゃ」のプレイリストがどれほどうざいものであるか、よくわかると思います。それも自分が積極的に選んだアーカイヴからではなく、ほんとうに出鱈目に選曲されていると(しかもラジオのように合間合間にトークが入るわけでもないと)、本当につらい。finetuneにある私の NI related のリストがまさにこれですけどね、テノールが歌ってたかと思えばテクノになり、ストレートなロックになったかと思えばトラッドになり、という具合です。自分で作っておいてアレだけど、自分でも曲を飛ばしながら再生していることが多かったり。(プレイリストのコンセプトが「NI関連」だから変更するつもりはないけど。)

そしてやはり、彼も「自分の部屋で好きな時に聴くような音楽を、拘禁状態で強制的に聞かされる苦痛」について述べています。こういうのがまさに、英語で "demeaning" という語で表されることではないかと思います。

「音楽なんてたいしたことないじゃん」ということをちょっとでも思ったら、少し想像してみてください。「拘禁状態で強制的に聞かされる」ということについて。そしてそれが、"good cop, bad cop" 的な手法の一部として用いられているということについて。



で、今回NINのレズナー兄貴は「楽曲の無断使用」ということで法的になんちゃらということを考えているようだけど、これは非常に皮肉なことであり、同時にいろいろと悩ましいことでもあるに違いないと思います。

というのは、12月3日に今回のツアーの映像作品化(映画化)が、自分の「致命的なミス」でぽしゃったと報告した(つまりいろいろとプランがガタガタになった)ときに、その第一の要因として「楽曲の権利を持っているレコード会社が首を縦に振らなかった」ことが挙げられてて(んで、がたがたしているうちにツアー終盤になってしまって撮影の時間なし、すごい撮影チームが帯同していたのに、と。これ見たときにはレコード会社はどんだけバカなのかと脱力したけど)、つまりかつて所属していたレコードレーベルと現在のトレント・レズナーの関係は良好とはまったく言えない。で、グアンタナモであれどこであれ「音楽拷問」に使われている曲の権利はレコード会社が持っている。というのはNINがフリーエージェントになったのは2007年10月だから、それまでに発表された楽曲は、TVTであれUniversalであれ、権利はレーベルが持ってます。それらについて「無断使用」で法的になんちゃらということになると、本人だけではなく、レコード会社とか、ひょっとしたらあのRIAAも巻き込まないと、という話になるでしょう。ゆえにいっそう、どこにどのような形で向けたらいいのかわからないモヤモヤしたものがどうしても消えないような感じがします。まあ、そんなことでファンがモヤモヤしててもしょうがないんだけど。

nin.comのフォーラムでは、「音楽聞かされるだけならどうってことないじゃん」とか「NINなら喜んで聞くけど」というナイーヴなコメントもあり、Broken movieなど兄貴がNINとして制作してきたあれこれを指して「皮肉だ」という声もあるし、またnin.comの中でも外でも「拷問」をめぐっていつもの「お前らはテロリストを擁護するのか」的な投稿がうんざりするほどあり、nin.comの外ではレズナー兄貴をバカにするだけの発言があり……という調子で読めば読むほど気が滅入るというか、兄貴の言っている「法的になんちゃら」については何も聞こえてこないから(リスナーって基本的にそういうことはどうでもいいんだよね。その上に成り立ってるのが音楽産業)、具体的にどのような方策が考えられるのかなども私にはわかりません。わかりませんけど、例によって「兄貴、ついていきます」なので。

なお、NINの活動としては、この先またいろいろと待たされても不思議ではないかもしれない。古参はもう慣れてるけど。("The shows we have announced in 2009 and any more that may be announced will be a completely different approach with some different personnel and will likely be the last for the foreseeable future." つまり、「2009年分で既に発表されているライヴにひょっとしたら追加はあるかもしれないが、それがとりあえず最後の予定で、その先は何も決まっていないし、2009年のライヴは2008年のとはまったく違うアプローチをとるしメンバーも変わる」。アレッサンドロも今回でラインナップを脱退だし。)



アレッサンドロのソロ、とてもいいです。Drone 9最高。天才。「音楽にはメロディとかなくてもいいんじゃね」という人は聞いてみてください。
http://www.myspace.com/blindoldfreak
http://blindoldfreak.com/

1曲貼り付けておきます。

※この記事は

2008年12月15日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 23:19 | Comment(1) | TrackBack(1) | i dont think im a pacifist/words at war | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
blindoldfreakのアルバム(盤はライヴ会場限定)のmp3が、emusic.comに入っています。
http://www.emusic.com/artist/blindoldfreak-MP3-Download/12170480.html

iTunes Storeにも入っていますが、emusic.comのほうが安いです (Basicプランで1曲40セント)。

emusic.comは米国拠点の月額定額制の音楽DLサイトで、誰でも知ってるメジャーなもの(Led Zepとかストーンズとか)の扱いはなく、インディペンデント方面に力を入れています。Basicプランの場合、30日間でDLできるのが30曲で、11ドル99セント。サービス登録時に、「おためし」として14日間無料で何十曲かDLできます。自分が聞きたいものがないなあといった場合は、「おためし」期間に解約すれば登録したクレジットカードに請求は来ないはずです(この一連の手続が英語のサイトでできる自信がない人は、iTunesを使ったほうが気が楽かも)。

お試しで無料DLできる曲が増えるかもしれませんので、本格的に使ってみたい方は、メールフォーム(サイドバー参照)から私に連絡してください。emusic.comからの招待メールが送信されるようにしますので。(ただしサイトの使い方などについては一切質問はお受けいたしかねますのでご了承ください。)
Posted by nofrills at 2009年03月20日 00:17

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Best of HITSPAPER February , 2009
Excerpt: Best of HITSPAPER February , 2009 2009年2月にHITSPAPE...
Weblog: HITSPAPER™
Tracked: 2009-03-11 16:05





【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

……全文を読む
▼当ブログで参照・言及するなどした書籍・映画などから▼