kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2008年12月03日

ムンバイ事件、警察の装備はひどかったらしい(また出てきた「当局は結託」説のためのひとつの覚書)

ムンバイの事件について、日々詳細が明らかになってきている状況だが、どうやら結論を急ぎすぎた話が出回っているらしい。(ニュース速報ではなく分析をするのなら、しばらくは記事のメモをとりつつ、分析の根拠となる「事実」を集めなければ。結論を急いじゃいかんよ。)

「結論を急ぎすぎた話」ってのは、例えばこういうのだ。
http://tanakanews.com/081202Mumbai.htm
当局とテロリストの結託を疑わせる証言もある。今回の事件では、ムンバイのターミナル駅も襲撃された。駅の前に会社がある新聞社ムンバイ・ミラー紙のカメラマンが、襲撃直後に駅に潜り込み、テロ実行犯の写真を撮った。その際、カメラマンは、駅の構内のあちこちに武装警官が隠れているのを見つけたが、警官たちは誰も犯人たちに向かって発砲しなかった。犯人は武装していたが警戒感が薄く、カメラマンは近くにいた警官たちに「今なら犯人を射殺できる。撃つべきだ」と言ったが、警官たちは撃たなかった。その間に犯人たちは、駅に居合わせた一般市民たちを次々に射殺した。(カメラマンに話を聞いた英インディペンデント紙の報道

――「ムンバイテロの背景」、2008年12月2日  田中 宇


インディペンデント(以下「インディ」)のこの記事は、私も出てすぐに読んでいる。正確にはインディのサイトじゃなくてベルファスト・テレグラフ(以下「ベルテレ」)で読んでいるのだが、両紙は同じ会社が出している新聞で、「国際面」の記事は同一だ。なお、日付はGMT(グリニッジ標準時、英国時間)。

Mumbai photographer: I wish I'd had a gun, not a camera. Armed police would not fire back
Saturday, 29 November 2008
http://www.belfasttelegraph.co.uk/news/world-news/mumbai-photographer-i-wish-id-had-a-gun-not-a-camera-armed-police-would-not-fire-back-14086308.html

この記事が出たあと、「当局とテロリストの結託」についての話がどっかで出たか? 私が知る限りでは、ない。大メディアの報道だけではない。コメント欄のような場所ですら、ない。(パキスタンがとかISIがとかビンラディン一派がとか英国人がとかいうのは見た。英国人がってのは結局ただのガセだったらしいけど。)

インディのサイトでは記事にはコメント欄がないが、ベルテレのほうには誰でも投稿できるコメント欄があって、現時点で147件のコメントがつけられている。この件数は「極めて多い」と言える(80件くらいならまあ見るけど、147件ってのはめったに見ない)。ざっと見た限りではこのコメント欄は……あまり細かく見る必要性は感じられないけど。

なんでこんなに多くのコメントがついているかというと、単に「インド警察情けなさすぎ!」という反応を書き込みたくなる人多数、そして「だから銃規制はナンセンスだとあれほど」という演説を行なう人多数、で、「インサイド・ジョブ説」はほとんどない。



少し詳しく書くと、ベルテレ記事のコメント欄での「銃規制反対」論の演説は、ベルファストについてちょっとでも知ってたらベルテレでしようとか考えないような内容で、演説してる奴の大方は北アイルランドの人じゃなく、明らかにアメリカ人なんだけどね(掲示板か何かにURLが貼られたのだろうなあ)。「みんなピストルを持てばいいのに」って、個人が護身用程度に持つ拳銃がそこらじゅうにあったとして、訓練されたAK47の使い手に何かできるのかと。そもそも「作戦」の一部というより単に「破壊と殺戮」が目的の攻撃において、自分の命は惜しくないという人たちが攻撃してきているとしたら、彼ら的に銃撃戦上等だろうにと。第一、ベルテレのサイトでそんな演説してどうするんだろう。

とまあそんな感じだ。一方で、「インサイドジョブだ」という演説があるかというと、これは見当たらない。

正確に言えば、そういう内容の投稿もいくつかは見た。1つは「こうもいろいろあると『すべてインサイドジョブだったんだよ』と言いたくなるなあ」といった感じの1行コメントで具体性がなく、レスもついていない。もう1つは「false flagオペレーションだったという証拠がまたひとつ」というだけの1行コメントで、これもスルーされている。あと「すごく奇妙だ」という4語コメントもあるが抽象的すぎてイミフメイだし、これもレスはついていない。「9-11インサイド・ジョブ説」でBBC周りが大騒動になったときの「一般人のコメント」と比較すると、その説が信じられているという気配は感じられない。

ただ、何しろ媒体が北アイルランドの地域新聞なので、ムンバイ事件について「インサイドジョブ説」がどのくらい広がっているのかは、ここのコメント欄からだけでは結論できないのだが、そういう方向での投稿に対してコメント欄で反応がないということは、全体的に話題が別方向だからってのが大きいにせよ、「そういう説があります」とさえ客観的には言えない、と結論付けて構わないだろう。

んで、インディ/ベルテレの記事の中身だが、もちろん、記事自体が「インサイド・ジョブ説」をほのめかしているわけではない。記事を書いたインディの記者も、そのインタビューに応じたカメラマンも、そういったことを匂わせてさえいない。

田中さんがこの記事について「当局とテロリストの結託を疑わせる証言」と書くとき、「結託」を「疑っている」のはそう書いた本人だ。そう書いた本人が勝手に、積極的に、自発的に、そう疑っているのである。(ていうかこれが「結託を疑わせる」などというふうに読めることが不思議でならないんですけど。)

あと、「犯人は……警戒感が薄く」なんてことも書いてないよ、この記事。そう読み取ろうと思えば読み取れるのかもしれないけれど、私はこのテクストから「犯人の警戒感は薄かった」と読み取りはしない。そういう読み取りを自分に許すのは、分析には雑すぎると思う。

というわけで、インディ/ベルテレ記事にあるカメラマンの「証言」の部分、抜粋して「直訳」しておきます:
※インディ/ベルテレの記者はJerome Taylorさん、インタビューに応じた「カメラマン」は、地元『ムンバイ・ミラー the Mumbai Mirror』紙の写真部エディターであるSebastian D'Souzaさん。『ムンバイ・ミラー』のオフィスはChhatrapati Shivaji駅の向かいにあり、D'Souzaさんはオフィスで銃声を聞いて駅に駆けつけた。

"I ran into the first carriage of one of the trains on the platform to try and get a shot but couldn't get a good angle, so I moved to the second carriage and waited for the gunmen to walk by," he said. "They were shooting from waist height and fired at anything that moved. I briefly had time to take a couple of frames using a telephoto lens. I think they saw me taking photographs but they didn't seem to care."
「撮影しようとして、ホームに停車していた複数の列車のひとつの1号車に駆け込みました。しかしいいアングルにならなかったので、2号車に移動し、ガンマンが側を歩いていくのを待ちました」と彼は言う。「彼らは腰の高さで銃撃しており、動くものは何でも撃っていました。ほんの短い時間で望遠レンズを使って2,3枚撮影できました。私が写真を撮影しているのは彼らには見えていただろうと思いますが、彼らは気に留める様子はありませんでした」

The gunmen were terrifyingly professional, making sure at least one of them was able to fire their rifle while the other reloaded. By the time he managed to capture the killer on camera, Mr D'Souza had already seen two gunmen calmly stroll across the station concourse shooting both civilians and policemen, many of whom, he said, were armed but did not fire back. "I first saw the gunmen outside the station," Mr D'Souza said. "With their rucksacks and Western clothes they looked like backpackers, not terrorists, but they were very heavily armed and clearly knew how to use their rifles.
ガンマンたちはぞっとするほどプロフェッショナルで(つまり落ち着いていたし、隙がなかった、ということ)、1人が弾丸を装填している間には、少なくとも1人が銃撃できるようにしていた。D'Souzaさんが殺人者(ガンマン)を何とか撮影できたときには、彼は、2人のガンマンが一般市民複数と警官複数を撃ち、駅のコンコースを落ち着いて歩いて横断するのを目撃していた。彼の話では、警官の多くは武装していたが、撃ち返さなかったという。「最初は駅の外でガンマンを見ました。リュックサックを背負って西洋風の服装でしたから、テロリストではなくバックパッカーのように見えましたが、重武装していましたし、自分たちの持っているライフルの使い方を知っていることも明らかでした」

"Towards the station entrance, there are a number of bookshops and one of the bookstore owners was trying to close his shop," he recalled. "The gunmen opened fire and the shopkeeper fell down."
「駅の入り口の方角には書店が何軒かありますが、1軒の店主が店を閉めようとして(外に出てくると)、ガンマンが銃撃し、店主は崩れ落ちました」

But what angered Mr D'Souza almost as much were the masses of armed police hiding in the area who simply refused to shoot back. "There were armed policemen hiding all around the station but none of them did anything," he said. "At one point, I ran up to them and told them to use their weapons. I said, 'Shoot them, they're sitting ducks!' but they just didn't shoot back."
しかし、(店主の銃撃と同じくらい)D'Souzaさんを怒らせたのは、そのエリアに潜んでいながら反撃しようとしなかった大勢の武装警察であった。「駅のいたるところに武装警察が潜んでいましたが、誰一人として何もしなかった。たまりかねて、私は警察のところに駆け寄って、武器を使えと言いました。『撃てよ、撃てるだろう (they're sitting dicks: 飛んでない鳥=狙いやすい標的、という英語の慣用表現)』と言ったんですが、警察は撃ち返さなかった」

As the gunmen fired at policemen taking cover across the street, Mr D'Souza realised a train was pulling into the station unaware of the horror within. "I couldn't believe it. We rushed to the platform and told everyone to head towards the back of the station. Those who were older and couldn't run, we told them to stay put."
道路を渡ったところで援護に入っている警官隊に対しガンマンが発砲したとき、D'Souzaさんは、何が起きているかを知らずに別の列車が駅構内に入ってこようとしているのに気付いた。「まったく信じられないことでした。私たちはホームに走っていって、みんな駅の裏手に回りなさいと告げました。高齢で走れない人たちには、この場から動かないようにと言いました」

The militants returned inside the station and headed towards a rear exit towards Chowpatty Beach. Mr D'Souza added: "I told some policemen the gunmen had moved towards the rear of the station but they refused to follow them. What is the point if having policemen with guns if they refuse to use them? I only wish I had a gun rather than a camera."
ガンマンたちは駅構内に戻り、Chowpatty Beach方面の裏口に向かった。「何人かの警官に、ガンマンは駅の裏のほうに向かっていると言ったのですが、追跡しようとはしませんでした。銃を持った警官がいるのに、警官が銃を使わないなんて、意味がないでしょう。自分がカメラではなく銃を持っていたらよかったのに、と思います」


で、この記事を一読して私が「当局とガンマンの結託」を疑ったかというと、上に書いたようにNOで、例えば最後の「銃撃犯が駅の裏口に向かっているのに警官は追わなかった」というのは警官隊の配置の関係じゃなかろうかと思ったし、ガンマンが撃っているのに反撃しなかったというのは、エリア内に一般の人が多すぎたといった要因もあったに違いないけれど、第一には警察の装備が貧弱すぎたのではないかと思った。ひどい場合だと「銃は持っているけど弾丸がない」とかいうこともあるらしいし、とかね。(もちろん、特に根拠はなかったのだけど、少なくとも「結託」よりは現実的なはず。)【追記→】あとさ、銃撃犯が警官を撃っていたとD'Souzaさんが述べていることを田中さんはスルーしてるんだけど、何故?(>「その間に犯人たちは、駅に居合わせた一般市民たちを次々に射殺」)【←追記ここまで】

その件に関して、12月3日にタイムズが詳細を報じた。

Outgunned Mumbai police hampered by First World War weapons
December 3, 2008
Jeremy Page in Delhi
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/world/asia/article5276283.ece

タイムズはふだんあまり読んでいないので、Jeremy Pageさんという記者さんの専門が何なのか私は知らないのだが(インド全般担当の特派員なのか、軍事系なのか、など)、記事見出しの「第一次大戦期の武器」というのは多少の煽りであるにせよ、記事は非常に具体的で、CCTVの映像(昨日公開されたらしい)もついている。

【追記@6日】ちょっと調べてみたところ、タイムズのこの記事を書いた記者さんは、security方面の専門ではないようです。インド駐在の記者として南アジアの大きな事件・事故などについてタイムズなどで書いておられますが、これらは「報道」の記事で、「分析」や「調査報道」の記事はなさそうです。下記参照。
http://www.journalisted.com/jeremy-page?allarticles=yes 【←追記ここまで】

いわく、現地の警察当局筋がタイムズに語ったところによると、防弾チョッキとヘルメットは「棒や石に対する防御の用途」(ライオット・ギアか)で、銃弾に対するものではなかった。

また、襲撃者はAK47(カラシニコフ)やピストル、手榴弾、爆発物を使っていたが、警察が使っていたのはそれに対抗できるような武器ではなかった。例えば、公開されたCCTVの映像で、柱の影に身を潜めている2人の警官の1人が持っていたのは ".303 rifle" で、これは英軍が第一次大戦で使っていた "the Lee-Enfield weapons" のようなものだ、とか。(<この説明が煽りなのか事実なのかは私にはわかりません。)

ええと、私には武器の名前から何かを察することはできないし、説明を読んでもよくわからないのだけど、the Lee-Enfield weaponsは:
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%89
(第一次大戦期に使われていたものというと何世代も前のものになるようですが……「世代」という言い方が正しいかどうかはさておき。)

で、タイムズの記事にエンベッドされているCCTVの映像は、最初に警官が人々を退避させる様子があり、そのあと映像がぶちっとつながれて、「柱の影の警官2人」の場面――映像が粗い上に銃撃犯を強調する赤い丸印が邪魔でよくわかんないんですが――、1人はライフル持ってるけどもう1人は? 最初の、人々を退避させるところで1人の警官はライフルを背負ってるけど、ほかの警官(数人いる)は? という感じ。

11月29日のインディ/ベルテレのインタビューでは、現場にいたカメラマンが「警官は武装していた」と言っているけれど、それがライフルなのか拳銃なのかなどについては説明がない。

タイムズの記事は、襲撃の最初の7時間で16人の警官が死亡しているが、装備がまともだったなら彼らは死ななかっただろうという、デリー警察の前joint commissionerのコメントがある。

また、インドの警察の装備がひどいのはムンバイだけの問題ではなく、the Institute for Conflict ManagementのAjay Sahniさんは「明日同じことが起きてもまったく同じ対処になる」とコメント、そもそもインドでは人口10万人当たり126人の警官しかいない(西洋諸国では225人から550人)と説明、要するに人も少なければ装備も薄い。

また、ムンバイを含むマハラシュトラ州の州警察に20年つとめ、2005年に退職した人は、2001年と2004年にテストした防弾チョッキ (body armour) が不合格となった(AK47とかAK56の弾丸には耐えられなかった)と説明、でも汚職とかがあるのでそういった防弾チョッキが結局は現場に支給されている実態がある、と述べている。

【追記@6日】「AK56」というのは、AK47を中国でコピー生産している「56式小銃(中国製AK47)」(56式自動歩槍)であろうとのこと。なお、原文の段階から「2001年と2004年にテストした」の「テスト」の内容が具体性を欠いているのですが、上記ではこの元警察の人が「弾丸を通してしまった」ことが問題だというふうに述べているので、「テスト」とは「弾丸貫通テスト」のことで、テストしたbody armourは「防弾チョッキ」(として現場で用いられるもの)のことと判断しました。【←追記ここまで】

実際、先週の事件で被弾して死亡した対テロ部隊のトップは、防弾チョッキと古いブリキのヘルメット(a battered tin helmet)を着用していたが、現場に到着してすぐに胸に3発被弾して死亡。この同じ時に、同じ車に乗っていた2人の高官も、防弾チョッキを着用していたが被弾して死亡。これについて、上記の2005年に退職した元警官は「まともな装備があれば負傷で済んでいたはずだ」と述べている。

偉い人でさえこの有様では、ほかの警官はどうなのだろうと読み進めると、他の警官は暴動向けの厚さ5ミリのプラスチックの防護服しか支給されていない (Other officers were only issued 5mm-thick plastic body protectors designed for riot control) と。

インド政府に防弾チョッキを供給しているMKUの社長によると、警察・准軍組織の持っている防弾チョッキはインド全体で10万着。また、ムンバイ事件のときに警官が使っていたヘルメットは第二次大戦のころのもので戦闘用ではない (The helmets used last week were World War Two-era, not designed for combat)。

そして、弾薬が不足しているなどの理由で、武器の訓練も充分ではないという指摘も警察内部からある。

タイムズの取材に応じた人たちは口をそろえて、これは金の問題ではない。問題は、インド内務省の調達システムが汚職で無茶苦茶になっていることだ、と指摘している。専門家じゃなくて利権で動く政治家や官僚がいろいろ決めているらしい。

……というわけで、これはタイムズが先陣を切って報じたことだけど、少し待てばテレグラフあたりでも取り上げるかもしれないし、何か続報があれば書き足します。(この記事で、または新規で。)



追記@6日:
タイムズ記事のコメント欄から、記事内に書かれていることについての指摘をいくつか:
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/world/asia/article5276283.ece
A Lee-Enfield (the Indian rifles were in 7.62 NATO, not .303) has match-grade accuracy to 800 yards.
(米カリフォルニアのJamesさんの投稿)

つまり、「インドのライフルは .303 ではなく、7.62 NATOである」との指摘。

... the weapons weren't necessarily poor. The guns that were listed in this article are perfectly potent, what was lacking was training.
(英ロンドンのTCさんの投稿)

つまり、「武器は必ずしも貧弱とはいえない。記事に書かれている銃は能力的には完璧だ。問題は訓練ができていないことだ」との指摘。

Rifle was probably a 7.62 Nato Ishapore 2A1 the final version of the SMLE pattern.
(米サンタントニオのN.Riveraさんの投稿)

「ライフルはおそらく、SMLE型の最終版である7.62 Nato Ishapore 2A1だろう」との指摘。(型番などは調べてからここに書いてるわけではなくので、間違ってたらコメント欄にお願いします。私では調べたところでわけわかんないだけだし。)

このほか、米国で実際に銃を所持している人などから、同様の指摘が複数なされているので、各自タイムズ記事のコメント欄をご確認ください。

で、「警察の装備が貧弱」というのは私は複数の記事で見たのですが(例えば11月28日ガーディアン、"The police are poorly equipped with primitive body armour and carbines" など)、ムンバイの警察の装備がどうなのかはちょっと検索した程度では何もわからず……です。
http://en.wikipedia.org/wiki/Mumbai_Police

※例えば北アイルランド警察については、ウィキペディアでも、下記のような記載があるのですが、これは特殊かもしれません。
http://en.wikipedia.org/wiki/Police_Service_of_Northern_Ireland#Equipment

で、このタイムズの記事の意味ですが、インディぺンデントの「現場にいたカメラマンのインタビュー」は「当局との結託」を示唆するものでも何でもないけれど、確かに、「なぜ警察はガンマンに対して何もしなかったのか」という疑問は生じさせます。そこで、タイムズの記者がその点について集中的に、現地で取材した、ということかなと思います。「装備が貧弱」云々は事件が進行中の間にも書かれていたけれど、もっと具体的に、という。

タイムスタンプが「○日前」という曖昧なものだからはっきりわかりませんが、4日か5日には、AFPで下記のような記事が出ています。
Upgrades needed for ill-equipped Mumbai police, say experts
http://www.google.com/hostednews/afp/article/ALeqM5hkRoNAadVK0Xi7YAPlpNQg4hSANQ
... the Mumbai militants carried sophisticated equipment including global positioning systems (GPS) and satellite telephones, experts said.

By contrast, police at some of the locations attacked were armed only with bamboo sticks and lacked even mobile phones.

Most police did not have bullet-proof vests and some carried decades-old .303 Lee-Enfield rifles, said Praveen Swami, an author who specialises in policing and security issues.

"None of this is rocket-science technology -- who doesn't have a mobile phone these days?" he said.

"The problem is that the Mumbai police are grossly under-equipped and under-trained, as are most Indian police forces."


それと、現場に駆けつけた当局側で相互の調整ができていなかったとのことで、Jane's Defence Weeklyに記事が出ているそうです。JDWは登録していないと記事が読めないので(私も登録はしていません)、キャプチャだけ……。

http://jdw.janes.com/public/jdw/index.shtml
jdw28nov.png



このエントリに関して、例えば「インド警察が使っている ".303 rifle" は第一次大戦時に英軍が使っていたものより新しい」など、参照している記事についてのご指摘がおありの場合、当方のコメント欄ではなく、タイムズの記事のコメント欄にご投稿ください。誰でも投稿できます。(英語でどうぞ。日本語は通りません。)

私の誤訳の指摘、私の知識不足を補うためのコメントのご投稿は歓迎します。

「それでもこれはインサイド・ジョブだよ」というご意見がおありの場合は、コメントではなくトラックバックでお知らせください。コメント欄で議論はいたしません。

※この記事は

2008年12月03日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 21:49 | Comment(2) | TrackBack(0) | 雑多に | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ムンバイのテロ事件は
インドで最高峰の対テロ特殊部隊として知られているNSG主導で制圧しました。
NSGの活躍を追ったドキュメンタリー番組はたくさん 作られてますよ

ムンバイ警察の兵器
ライフル
SMLE Mk III
Ishapore 2A1,
SUB Machine GUN CARBINE 9 mm 1A1,
7.62 MM 1A1,
Assault Rifle 7.62 mm,
38 MM Multi Shot Riot Gun,
INSAS 5.56 mm, AK-47,
FN-FAL
250 MP5 German automatic assault rifles have just been ordered
M4,
M107 anti-material rifle SWAT equipment.

拳銃
Glock pistol,
PISTOL AUTO 9mm 1A,
Smith & Wesson M&P.

貧弱とは思いません
Posted by か at 2012年06月23日 14:46
か 様

コメント投稿に気づくのが遅れ、反映に時間がかかりましたことをお詫び申し上げます。

なお、「貧弱である」というのは私の意見ではなく、参照先の英国の報道の内容(「警察が使っていたのはそれに対抗できるような武器ではなかった」など)です。そちらに言っていただかない限りは情報としては修正されませんのでよろしくお願いいたします。

Posted by nofrills at 2012年10月14日 05:18

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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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▼当ブログで参照・言及するなどした書籍・映画などから▼