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2008年11月23日

「IRAは終わりました」という事実を確認する作業の始まり。(たぶん)

※本稿における「IRA」とはProvisional IRAのことである。Real IRA, Continuity IRAは別の組織である。

9月のことだ、IRAはもう機能していない、ということがIMCの報告書という形で公的に文書で認められたのは。

※2008年09月03日 IMC報告書 (the 19th)、IRAの事実上の解体を認める。
 http://nofrills.seesaa.net/article/105970742.html

それから2ヵ月半以上、ついにIRA敵視の最右翼、DUPが「IRAの終わり」を認めた。IRAは、もう本当に終了した(と断言できるまであと半歩)。

DUP given assurances over end of IRA, says Robinson
Last Updated: Saturday, November 22, 2008, 15:55
http://www.irishtimes.com/newspaper/breaking/2008/1122/breaking28.htm

上記the Irish Times記事いわく、DUP党首であり現在の北アイルランド自治政府ファーストミニスター(首相)であるピーター・ロビンソンが、リパブリカンから(つまりシン・フェイン側から)、IRAはもう活動していないとの確定的な話を聞いた、と述べた。そしてロビンソンは、それについて疑問を呈していない。ただ、もっと広い範囲に向けてその話をしてもらいたいとは言っている。

今週、北アイルランド自治政府は150日以上の空転にようやく終止符が打たれた。空転の原因は、2007年5月に北アイルランド自治政府が再起動した後もなお、英国政府(ウエストミンスター)直轄のまま積み残されていた警察・司法権 (police and justice: p+j) をめぐるものだった。つまり根本的には、IRAが活動しているときに、IRAとはコインの裏表のような関係にあるシン・フェインが警察に関わることはあってはならない、ということだ。

具体的にはDUPがその点でごりごりやり続け、これに対しシン・フェインが一種のストライキのようなことをやっていた(根拠としてはセント・アンドリューズ合意)。自治議会は開催され、省庁別の各委員会がいろいろと決議をしていたものの、ファーストミニスター(DUP)と副ファーストミニスター(シン・フェイン)という自治政府トップが機能しなくなっていたので(ひとりは名称は「副 deputy」ではあるが、2人揃ってはじめて自治政府トップとして機能できる)、自治議会・自治政府には事実上何もできない状態が6月から続いていた。(デイリー・テレグラフのサイトでMick Fealtyが非常にわかりやすく説明してくれている。)

その状態にようやく終止符が打たれたのが今週木曜日。で、土曜日にピーター・ロビンソンが、「IRAはもう活動していない」との確定的な話を個人的に受け取ったと述べ、また、それが公になされれば自治政府のためにももっとよいと語った、という。
... the DUP leader insisted that confidence in the Executive would be further boosted if the assurances he received on the IRA were given in public.

"Right at the heart of building confidence within the community will be people's perception of those who are in the assembly," Mr Robinson said.

"It's important that those who are in the leadership of the republican movement make it very clear publicly, as they have done to us privately, that the IRA is out of business for good and is not going to return."

The DUP leader told BBC Radio: "People have to be convinced and it's not just somebody saying it, all the actions have to be there as well."


というわけで、ひょっとしたらまた近いうちにIRAのステートメントが出されるかもしれない。そしてそれが「最後のIRAのステートメント」になるかもしれない。IRAには既に「体面」などというものは残されていないのだから。(武装解除に至る過程ではそれが問題になったが。)

個人的には、それよりもUDAとUVFの武装解除が進んでいるのかいないのかという問題が、IRAの活動がなんちゃらというのと同様に可視化されることが必要なのではないかと思うのだが、そっちはなかなか動きそうにもない。UDAは口では武装活動はしないと言っているが、IRA敵視の姿勢は変わっていない。「IRAはもう存在しないのだ」と言ったところで、彼らの脳内では「リパブリカン=IRA」の辞書で変換されるから、Real IRAだのContinuity IRAだの、あるいはそのほかのリパブリカン(という名目で活動している)武装組織が自家製爆発物を設置するたびに「IRAは存在している」と言い続けるだろう。(それが「包囲の心理」というものかもしれないなあ。)

なお、the Irish Timesの記事の最後には、DUPを離党して自分の政党Traditional Unionist Voice(だっけ)を立ち上げたジム・アリスターが「DUPは、IRAのアーミー・カウンシルが活動中である間は、p+jを移譲しないという公約をたがえている」と非難しているとかいうのがあるけれども、IRAのACは既に活動していないのだから、まさに「ためにする批判」だろう。彼は単にグッドフライデー合意(つまりシン・フェインとのパワーシェアリング)に反対しているだけだ。

同じ件(ロビンソンの発言)についてのBBC記事:
IRA council 'has gone away' - DUP
Page last updated at 09:18 GMT, Saturday, 22 November 2008
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/northern_ireland/7743242.stm

ロビンソンの発言部分についてはアイリッシュ・タイムズの方が詳しいくらいだ。

ところで、この記事でもジム・アリスターの発言が大きく扱われている。なぜなのだろう。意味がわからない。よほど書くことがないのだろうか。

ジム・アリスターのTUVは現実には「ひとり政党」だ。アリスターがNI自治議会に持っている議席は、彼が当選したときにDUPに籍を置いていた関係で、TUVの議席としては数えられず、彼は無所属という肩書きでNI議会に籍を置いている。(彼は欧州議会にも議席を持っているので、欧州議会のほうではTUV所属という肩書きになっているようだけど。)そして、アリスターはNI自治議会の一員ではあるけれど、NI自治政府には入っていない。
http://en.wikipedia.org/wiki/Jim_Allister
http://en.wikipedia.org/wiki/Traditional_Unionist_Voice

だから、The Irish TimesとかBBCがこんなにアリスターを取り上げたがる理由がわからん。アリスターの発言を加えれば、少しは文章量を増やせるかもしれないけど、BBCなんか全般的にがんがん記事の文章量を削減してんだから、この記事だけかさ増やしってのも意味不明だし。

ちなみにベルテレはロビンソンの発言だけで短くまとめている。これでいいと思う。
Robinson wants public assurances over end of IRA
Saturday, 22 November 2008
http://www.belfasttelegraph.co.uk/breaking-news/ireland/robinson-wants-public-assurances-over-end-of-ira-14075568.html

あと数日、様子を見よう。数日もかからないかもしれないけれども。
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