kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2008年11月12日

the IMC 20th reportを報じるBBCがなんか変

11日付けのエントリで、11月11日に出されたUDAのステートメントについて書いたが、その続き。時間的には1日さかのぼって10日のこと。

北アイルランドの武装組織の監視を続けているthe Independent Monitoring Commission (IMC) の第20次報告書が公表された。この報告書はIMCのサイトで誰でもダウンロードできる(本文部分だけで30ページくらいあるので読むのはけっこう大変だが)。Introductionに明示されているように、第20次報告書の対象期間は、主に2008年3月1日から8月31日である。

IMCの第20次報告書についてのBBC Newsの報道記事は下記。

Dissidents more active, says IMC
Page last updated at 12:03 GMT, Monday, 10 November 2008
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/northern_ireland/7719790.stm

記事の見出しのDissidentsとはdissident Republicansのことで、つまりProvisional IRA以外のリパブリカン武装組織、具体的にはReal IRA, Continuity IRA, INLAなど、1998年のベルファスト合意(グッドフライデー合意)の路線に反対し、いまだに「武装闘争主義」でやっているリパブリカン組織のことだ。(PIRAは「武装闘争の終わり」をとっくの昔に宣言している。2005年7月のことだ。その後9月には「武器の無能力化」という形での武装解除も確認されているし、翌2006年には「IRAの行為による被害者」への「遺憾に思う」とのP O'Neil声明も出された。2007年1月にはシン・フェインの党大会で「北アイルランド警察の支持」が圧倒的多数で決議された。)

BBCの記事は彼ら「非/反主流派リパブリカン」についての評価を中心に、IMC報告書をまとめている。反主流派リパブリカンの活動が活発化していることは、今回のIMC報告書が対象とするそのことは何ら驚きではない。

前回、9月に発表された第19次報告書では、Provisional IRAの組織としての現状がメインの関心事だった。つまり、「PIRAのアーミー・カウンシル (the Army Council: AC) は機能していない」ということをIMCが公式に確認したことが、第19次報告書で最も重要なポイントだった。IRAに対しては最も懐疑的な新聞、The Timesが、引用符つきとはいえ、IRA 'poses no threat to UK security' という見出しででかでかと報じているくらいに、第19次報告書は重要な報告書だった。(でもこのブログではメモ程度しか書いてませんが。それ以上書くにはものすごい時間と労力が必要なので。)
http://nofrills.seesaa.net/article/105970742.html

PIRAが事実上機能停止の状態にあること(ACが機能していないということは、PIRA全体が、少なくともかつてのような形では、機能していないということを意味する。軍と同様の司令系統を有していたPIRAのACは、中央司令部のようなものだ)が公的な形で認められた一方で、「非主流派リパブリカン」の活動はいろいろとあった。このブログでもちょこちょことメモしているし、はてブのほうで頻繁に記事をクリップしているが、この夏以降、北アイルランドで何件もの「爆弾除去」が報じられている。一部はhoaxだったが、ガチの爆発物もあって、どこだっけ、場所は失念したけど(確認すればわかるけどその手間は省く)、警察を標的にしたガチの爆弾が見つかって、爆発物処理班によって処理されている。BBCの記事もそれを前提とした記述になっている。

その上で、「現在の政治空白は(これら非主流派の)集団に利用される懸念がある」。つまり「過去においては『非主流派』はあるグループが活発化すると別のグループは活動を弱めていたが、この数ヶ月はReal IRAとContinuity IRAが同時に活動を活発化させている」との観察があり、その理由として、「ストーモントの政治空白」がありうるのではないかと報告書は述べている。

で、これはPSNIのサー・ヒュー・オードの見解と似ているのだけど、これについてはBBC記事の下の方でDUPの議員が述べているように、また、ガーディアン/オブザーヴァーのヘンリー・マクドナルドがブログに書いているように、かなり的外れな方向の見解ではないかと思う。一言で言えば、Who cares? なのだから。非主流派が警察を標的にしていることと、ストーモントでpolice and justiceの権利の英国政府からのストーモントへの移譲をめぐって膠着状態が何ヶ月も続いていることは、関係があるのかという。(Smash Stormontという70年代のスローガンがまた出てきているのだけどね……今のは「支配階級 the ruling class」という文脈でだと思う。むろん、思想的な深みはたいしてないだろうけど。ソーシャリストを名乗ってる奴がNikeの服着てたりするのがNIの非主流派だから。orz)

もちろん、ストーモントの異常事態(しばらく前のベルギーのような)は何とかすべきなのだけれども、それは「非主流派の動き」と結びつけて語るべきものではなかろう。問題は、「非主流派」がポリティカルな声を持っていない(ある程度の発言力のある政治ウィングが存在しない)ということだ。雑な言い方をすれば、PIRAの80年代の「投票箱とアーマライト」の「投票箱」を否定したのが「非主流派」、「アーマライト」を否定したのが今のシン・フェイン(とPIRA)なのだから。

また、報告書には、「非主流派」がパレード・シーズン(7月)にロイヤリストとの緊張を高めようとした、との記述もある。これについて、詳細は報告書そのものを参照する必要があるが、今は飛ばす。

PIRAについては「完全に政治的な道」を維持していると報告書は認めている(前回と同じ)。

一方、ロイヤリスト側については、IMCは「一部のロイヤリストは前進しようとしているが、特に武装解除の分野においてやるべきことが残されており、その進展は遅い」としている。

(こういう報告書が出された次の日に、UDAがあの挑発的なステートメントを出したのだ。つまりあれは、「われわれの辞書に武装解除の文字はない」ってことでしょ。「なぜならリパブリカンの脅威があるから」って。「武器はとりあえずは使わないが手放さない」ってことでしょ。あーあ。)

BBCの記事は、ロイヤリストについてはこれだけしか書いていないのだ。非主流派リパブリカンについてはかなり多く書いているのに。

しかし。

BBCのニュースレポートは全然違う。下記に埋め込まれているものを見てもらいたい。

Dissidents more active, says IMC
Page last updated at 18:55 GMT, Monday, 10 November 2008
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/northern_ireland/7720821.stm

ページタイトル (Dissidents more active, says IMC) と、ページに表示されているサマリーは、完全なる手抜き。BBCとは思えないクオリティの低さだ。(BBC Newsの予算削減のせいだろう。中身を検討せず、項目名だけでつき合わせて引っ張ってきた感じ。)

サマリーに「IMC報告書でリパブリカンの非主流派の活発化が……云々」とあるので、RIRAかINLAの示威活動の映像が出てくるのだろうと読んでPlayボタンを押すと(最初の広告とかのあとに)こんな映像が出てくる。



覆面、拳銃、黒のセーター、黒いズボン(黒じゃなくて「黒っぽい」のかもしれないけど)、白いベルト……で、INLAの資料映像かと思いきや:



一番左の旗は、どう見てもINLAじゃねぇし。

ナレーションは、ここまでが:
Fourteen years after declaring ceasefires,


そして、次に映像が切り替わって:



……「そっち」じゃなくって「あっち」じゃん。つまり、INLAじゃなくて、Real IRAでもなくContinuity IRAでもなく、ロイヤリストだ。この壁画はUDA/UFFだ。

ナレーションは:
... the UDA and the UVF still have their guns, and they show no signs of giving them up.

停戦宣言から14年、UDAとUVFはいまだ武器を持っており、武器を引き渡す兆候もない。


次の映像(資料映像)は12th(7月12日のプロテスタントの祭り)だよね、拳銃を持ったパラミリタリーが5、6人、エステートの路上で銃を空に向けてぶっぱなすなどしていて、人々が家の敷地内から見ている。一帯がオレンジ色に染まっているのはボンファイアのせいだろう。





ニュースのナレーションは、「彼らロイヤリスト武装組織に対しては、6ヶ月前に北アイルランド担当大臣から殺すという脅迫 death threatが出された」と物騒な表現(でもこれがNIではふつう。だから「ユーモアのセンス」についていくのが大変で……)で、ショーン・ウッドウォードが「これらの組織の武装解除については時限をもうける。永遠に待ちはしない。列車は発車しようとしている。過去に取り残されたいのか、ともに未来に進みたいのか……云々」のスピーチをしている映像(いつのものか、私は今はわからないのだけど、向かって右にマーティン・マクギネス。6ヶ月前だと、ストーモント再起動1周年の記念行事かも)。

ここで映像がロンドンに切り替わって、国会議事堂。内容は「政府は2月に任期切れとなるIMCの活動期間の延長を可能にする法案を提出、前回延長法案が出されたときには下院で激しい反対にあい……云々」。

IMCの運営費用は国庫から出ているわけで(創設以来の11年で£9m以上)、いつまで経っても事態が進展しないのに、カネばかりかかる北アイルランドの「武装解除」という問題は、英国のMPにとってもイミフメイ (what's the point? というもの)になっており、ショーン・ウッドウォードも「実際に進展があるということが示されない限りは、さらなる1年延長は難しい」という慎重姿勢。

そして、ここからがニュースの本題で、「ではIMCは事態は進展していると考える根拠を有しているのか」といったこと。

Joe Brosnan (from Republic of Ireland) が記者会見で「進展していないとはいえない。話し合いは行なわれているはずだが、憶測で何かを言いたくはない」といったコメントをしている。

で、さっきの「6ヶ月前のウッドウォードのスピーチ」で出てきたメタファーの通りに、BBCのレポーターが駅のホームに立って列車が出発するところでしゃべるというわけのわからない演出で(本当にわけがわからない。聞き取りづらくなるだけだからやめてほしい)、「政府側は『いつ』を示すことが求められています」といったようなコメント。(イラクからの撤兵のあれやこれやとかを思い出さざるを得ないのだけれども。)このレポートの締めくくりも、「Police and justiceの問題はどうなるのでしょうか」といった感じだ。(列車の比喩で……かなりくだらないことをやっているので見てみるとおもしろいかも。私は呆れてしまう一方だったけど。)

で、2.51のニュース映像の1.52まで来たところでようやく、BBC Newsのページの表題にあるDissident Republicansの話。アーマライトか何かを発射する迷彩の男@Real IRAのプロパガンダ・ビデオ(探せばYouTubeにもあるはずです)。



ナレーションは「Police and justiceのdevolutionの問題での進展がないことで生じた政治空白を、彼ら非主流派が利用」とかいう大本営発表の再生産。つまり「とにかくpolice and justice問題を解決させねば」という方向付けがあることを示すだけ。その話をするのにRIRAだのCIRAだのを持ち出すのは、相当筋が悪いと思うんだけど。「早くしないと連中が暴れ出す」っていうけど、既にRIRAは非常にシリアスな結果になったかもしれない警官襲撃を行なっている。今の労働党政権にはNIについてのブレーンらしきブレーンはいないのかなあ。トニー・ブレアにはジョナサン・パウエルがいたが、ああいう役割の人がいないのかも。

続いて、IMCの記者会見で、今度はLord Alderice。「非主流派の活動は(件数的には)増えているが、だからといって成功が増えているとはいえない。戦略的一貫性があるというより、アドホックでやっている。作戦としての上手さもない」という内容のコメントで、つまりど素人の烏合の衆だということですよね。それもnothing newで、というか「IRAの分派」には常にそういう特徴があった(そういうレッテルが貼られてきた、ともいう)。Provisional IRAについて、英軍はオペレーション・バナー終結時のまとめで "professional, dedicated, highly skilled and resilient armed orgainisation" と述べていたけれど、分派はそうじゃないらしい。詳しいことはわからんけど。

それでもReal IRAは2000年ごろにはイングランドでかなり活動していたし(ロンドン地下鉄に爆弾を仕掛けたり、BBCに車爆弾をプレゼントしたり、イーリングのパブを爆破したり、MI6本部にRPG攻撃を仕掛けたり)――これら、1998年8月のオマーの後のことだ。オマーであれだけの規模のことをやった武装集団が、その後にイングランドでも、規模ははるかに小さいとはいえ、攻撃を「成功」させている。で、それら一連の「攻撃の成功」の後に「リーダー」と言われる人物と中心メンバーとされる人物らが逮捕されてからは「組織は壊滅状態にある」と言われていたのだが、それがこの1年かそこらくらいで「活発化」している。IMCの人たちが語れることにはいろいろと制限があるだろうけれど、その「意味」を見るべきではないかという気がする。ていうか、少なくとも「ストーモントの政治空白」は関係ないと思う。政治空白が生じる前からRIRAやCIRAは暴れ始めていたんだし。



かつてProvisional IRAが「戦線」をイングランドに拡大させたとき、彼らは「NIだけでやっていても英国は動かない。イングランドを戦場とし、彼らの財産に被害を与えなければ、彼らは動かない」という理由づけをしていた。

今はPIRAは活動していないけれども、RIRAやCIRAだって同じことを考えるだろう。

そして、おそらくそういうことは英当局ももちろん見ていて、英国人である彼ら「北アイルランドのテロリスト」(英国人だから入国を阻止するとかいうことはできない)には、何らかの形で監視がついているだろう。

でも、そんなことをやっていても「アイルランド問題」は「解決」などしない。

基本的に、リパブリカンが求めているのは「アイルランドの問題」の「解決」だ。トニー・ブレアがGFAなどで区切りをつけたのは、「北アイルランドという(イングランドにとっての)問題」だ(彼自身はそこで見誤って、「ロイドジョージ以来のアイルランド問題を解決した私」に陶酔していたかもしれんが)。

英国の政治家たちは、そういうところの評価が少し雑なのではないかという気がどんどん強くなってきている……。

ともあれ、こういう局面では、労働党はド左翼のパシフィストを北アイルランド担当にしたほうがいいと思うんだけど(「帝国主義がうんちゃら」とか「植民地支配のなんちゃら」といった彼らの言葉が話せる人で、なおかつパシフィスト、ということ)、ド左翼のパシフィストはイラク戦争後の労働党にはいません、たぶん。(←皮肉。長老を担ぎ出すとか、そろそろ新自由主義の夢からさめているかもしれないケン・リヴィングストンをいろいろな意味で呼び戻すとかいうことがあるかもしれない。)(←冗談)

※この記事は

2008年11月12日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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