kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2008年06月21日

今さらだけど、ロンドンの「地下鉄内禁酒条例」について

イギリスの【ロンドン】について教えて下さい。
●日本人からすると“変わっている・おもしろい”と思う『食文化』
●日本人からすると“変わっている・おもしろい”と思う『生活習慣・風習』
●日本人からすると“変わっている・おもしろい”と思う『法律(条例・交通なども含めて)』
●日本人からすると“変わっている・おもしろい”と思う『街中の何か』
●日本人からすると“変わっている・おもしろい”と思う『その他なんでも』

ロンドンの日本人と違うおもしろい生活っぷりが知りたいです。
向こうの文化などから考えると当たり前ということでも大丈夫です。
宜しくお願いします。
http://q.hatena.ne.jp/1213940983


この質問者さんの質問にはよく回答しているのだが、こんなど真ん中の質問でタイミングを逃すとは。orz

あまりに悔しいのでボリス・ジョンソン市長の新政策の最初のもの、「地下鉄内禁酒条例」について、今さらだけど書いておこう。

Johnson bans drink on transport
Page last updated at 14:04 GMT, Wednesday, 7 May 2008 15:04 UK
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/england/london/7387113.stm

Booze on the Tube ends with a bang
Page last updated at 00:20 GMT, Sunday, 1 June 2008 01:20 UK
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/england/london/7429661.stm

ロンドンで公共交通機関で、缶ビール(日本で言う「ロング缶」が「標準」サイズで、350mlの缶のビールは見ないのだが)をぐびりという人を見ることは、ときどきあった。そこまでは「おー、早朝のジョーバン・ラインみたいネ!」という話かもしれないが、夜で乗客がものすごく少ないときなど、ビールどころか例の「香り」が、ということすらあった。中学生がたまっているバスの2階もフリーダムすぎることがあったりした。(バスの中のことは、もちろん、それなりの地域でのことですが。)

閑話休題。

5月はじめの選挙で、多くの公約のひとつとして「犯罪・反社会的(=迷惑)行為対策」をかかげ、ロンドン市長に当選したボリス・ジョンソン(保守党)が最初に打ち出した「新政策」のひとつが、公共交通機関(暫定的に除:鉄道)での飲酒禁止(以下、「地下鉄内禁酒条例」)だった。これにより、5月31日を最後に、ロンドンの地下鉄などでの飲酒は、条例で禁止されることになった。

私の経験の範囲では、飲酒が原因の交通機関内の暴力沙汰や迷惑行為は東京のほうがロンドンよりずっと深刻だと思うけど(まあ、東京では電車内で飲んでる人はほとんどいないけど、居酒屋などでへべれけになるまで飲んで電車に乗る人は多い)、私の経験にはないところでいろいろと問題はあったのかもしれない。英国でbinge drinkingが「社会問題」として注目されるようになったのはここ数年のことだ。(なんか、ブレア政権でのASBO関連の動きでハイプされてるという意見もあったけれど、それが本当かどうかは定かではない。)

ボリス・ジョンソン新市長は、就任早々、次のように述べて、「地下鉄内禁酒条例」の方針を打ち出した。
The mayor said: "I firmly believe that if we drive out so-called minor crime then we will be able to get a firm grip on more serious crime.

"That's why from 1 June the drinking of alcohol will be banned from the Tube, tram, bus, and Docklands Light Railway."

「いわゆる微小犯罪を放逐すれば、より重大な犯罪にも厳しく対処することができるようになると考える。このような理由から、6月1日以降は地下鉄、トラム、バス、DLRでの飲酒を禁止する」

http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/england/london/7387113.stm


ジョンソンは保守党内では「右派」とは位置付けられてこなかった政治家だが、それでもこれだ。地下鉄内で缶ビール飲んでる人がいなくなったら、ナイフを持ち歩いている高校生もいなくなる……わけがないと私は思うのだが。

市長のこれに対する労組のツッコミが、バトルとして秀逸であった。
But the Rail Maritime and Transport (RMT) Union's leader Bob Crow said: "We are in favour of any measure that will make our members' lives safer and curb anti-social behaviour, but it appears that this really hasn't been thought through very well and could well make matters worse.

"We are being told that it will be our members who will have to approach people drinking and ask them to stop - but the mayor hasn't asked us what we think.

"Perhaps the mayor will come out with his underpants on over his trousers like Superman one Saturday to show us how it should be done, and maybe tell a crowd of Liverpool supporters that they can't drink on the train."

つまり、「組合員の身の安全をより確実なものにし、反社会的(迷惑)行為を減らすための手段には賛成するが、これは熟考の結果の判断とはいえないのではないか。逆に事態を悪化させる懸念がある。飲酒をしている人に近づいていってやめてもらうよう声をかける役をするのは、私たちの組合員であると聞いているが、それは市長が私たちに相談もなく一方的に決めたことだ。市長は(サッカーの試合のある)土曜日にスーパーマンのごとく現れて、こうやるんだと教えてくれるというのだろう。あるいは、リヴァプールFCのサポの団体さんに、車内での飲酒は禁止されていますと言ってくれるのかな」というようなこと。

リヴァプール・サポのみなさんは、飲んで暴れたことがある(06年ワールドカップのときのパブリック・ビューイングにて)。ヘイゼルの悲劇とかでいっぱいいっぱいのはずなのに、というのが根底にあったりするのだろうけど、それにしても労組からまでこう言われるのは、ちょっと気の毒だ。

……問題はそこじゃないか。

ともあれ、ロンドン地下鉄やバスなどでの飲酒は、5月31日を最後に、法的に、禁止された。映画Children of Menに出てきたロンドンに、小指一本分くらい近づいたのかもしれない。

で、その「最後の日」にサークルラインで「最後の飲み会」が開催されたのだが、さて、このときに誰かが「市民的自由」を声高に叫んだかというと、そういうことが伝えられていた記憶は私にはない。個人のブログで誰かが書いたとか、メディアで書いているコラムニストが何かを書いたとかいうことはあったかもしれないが。

「こんなところで飲んでたら周囲の人たちに迷惑だ」と判断する個人の能力に期待することを諦めたロンドンは、「犯罪・迷惑行為の撲滅」を大義名分として、法律(条例)で「車内での飲み会」を禁止してしまった。法律で、ね。

これを聞いたとき私は「うはー、早速『保守党イズム』全開だ」とか、「BoJoが最初にやるのがこれか」とか、いろんな意味でしびれたわけだ。

次は何かね。バスカーもとっくに許可・認可制になってるし。

で、「最後の飲み会」のレポートが
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/england/london/7429661.stm
で、ここでは5月31日の午後8時にリヴァプール・ストリート駅を出たサークル・ラインの車内で、いかにいろいろな人たちが「最後の機会」を楽しんだかについて詳細にレポートされている。

いわく、ブラックタイで正装した人もあり、車内に飾り付けをする人もあり、スコットランドからわざわざ来た人もあり、会計士もいてガテン系労働者もいて学生もいて、ネット関連の仕事の人もいて。

こういう色とりどりの「最後の飲み会」参加者の中には、単におもしろいから来たという人もいれば、政治的な意見表明のために来た人もいる。

This was a free country, they said, it should be a right to drink on the Tube.

Ross Canzio, a student from Chiswick, west London, said: "I think it's stupid that he's banning it when people are being stabbed every day in London and Boris Johnson decides the big thing to do is ban drinking on the Tube.

Ben Kahn, a lecturer in economics from east Finchley, thought London was "supposed to be free".

"You want to close down our rights then we make a demonstration about it. We like freedom! Liberty!

"So they want to close it down, and we go out and make a statement - with a drink."

An accountant, who did not wished to be named, said: "There's a lot of problems with London and drinking on the Tube is not one of them. It's a minor point. It is typical Tory middle class policy.

"So we are here to say 'there's nothing wrong with having a beer'."

つまり、ここは自由の国であり、地下鉄で飲酒することは人々の権利のひとつである、という主張。チジックの学生さんは「毎日誰かがナイフで刺されているときに、地下鉄内飲酒禁止条例など、ばかげている。でもBoJoはそれがすごいことだと思ってるんだから」と言う。イーストフィンチリーの経済学の先生は、ロンドンは自由な場所であるはずだったのに、と言い、「一方が権利を制限し、他方がデモを行なう。自由万歳、っていうふうに」と語る。ある会計士は「ロンドンには実に多くの問題がある。地下鉄内での飲酒は問題がないとはいわないが瑣末なことだ。まったく、典型的な保守党のミドルクラス的な政策だ」と言い、「ビールを飲んでても何も変なことはない」と表明するために集まったのだ、と語る。

というように、当初はわいわいがやがや「あの市長ってアホじゃん」と集まっていた人々だが、しばらくして酒が回ってきたら(それだけじゃなくてアジ演説があったりしたせいもあったようだが)ちょっと荒れ傾向になってきたらしい。

「最後の飲み会」とは関係のない一般の乗客は段々イライラし始め(そりゃ、家に帰るための電車の中でものすごい人数が飲み会をしていたら、えーーとなるかもしれない)、最終的にはかなり荒れてきて、警察はあまり積極的に介入しようとはしなかったもののの、6つの駅が閉鎖され、17人が逮捕された。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/england/london/7429638.stm

で、結果的に、「ああいう大騒ぎがなくなるんなら地下鉄内禁止条例もいいんじゃない」的な許容意見もでてきている(上のURLのビデオの01:45くらいのところ)。

一晩限りの非常に増幅された事態なのにね。

ともあれ、今後はロンドンの地下鉄等交通機関内で缶ビールをプシュ、とやると係員に取り上げられますのでご注意を。

なお、鉄道ではまだ飲酒は禁止されていません。ただ、長距離の鉄道での売店は最終的に規制されることはないと思うけど(そんな動きがあればアルコール業界が黙ってはいない)、市内の鉄道網では遠からず禁止されるかもしれません。

※この記事は

2008年06月21日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 16:52 | Comment(2) | TrackBack(0) | todays news from uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ども、DD関係にちょっと疲れたのでこっちに来てみました。

これについては、ただ、ゴミ、としか言いようがないです。禁止しなければならないほどひどい事例を知らないし、禁止したところで実施できる見込みがほとんどない(昨日も見ましたが、ワンマンバスの2階でビールを飲んでいる人を誰がどうやって注意するのだろう)。すんなり禁止できたことからもわかるように、禁止しようとしまいと酒の売り上げに関係がないほど車内で飲んでいる人は少ないということでしょう。

車内で酒飲んでる人が迷惑だと思った経験はないではないですが、とても限られます。近場のことしかわかりませんが、チェルシーの試合がホームである日の夕方のディストリクトライン・ウインブルドン行き(フラムブロードウェイまで)とか、ウインブルドンスタジアムでドッグレースがある日のバス156番とか493番とか200番とか(ローカル過ぎ)。でも、この人たち、禁止しても飲むと思いますよ。もしも車内でだめなら乗る前にしこたま。だから、缶を持ってないだけで臭くてうるさいのは変わらない。

お酒関係で問題になっているのは、ティーンエイジャーが公園や駐車場で大酒を飲むことと、飲み屋に入れる年齢の若者がハッピーアワーに大量の酒を飲んだり深夜まで飲んでへべれけになってることでしょうか。お酒を高価にすることやスーパーで売らせないことでかなり効果があると思いますが、これはできないでしょう、やっぱり。

わたしとしては、車内でお酒を飲む習慣がないので禁止されても困りはしないですが、飲む飲まないの選択がないのはやです。

コンジェスチョンチャージ廃止はこのご時世ではさすがにできそうもないですが(範囲拡大はやめる)、ボリス、もういろいろやってますよ。

ケンがチャベスとの「左派の友情」で手に入れたオイルは(まあ、これ自体は変な話ではありましたが)、貧困家庭の公共交通料金半額補助に回っていました。ボリスは、ベネズエラのような貧しい国から援助をもらうことをロンドナーはいやがっているとしてこれを断り(アロガント!)、それにともない、半額援助も廃止になりました。ベネズエラよりは豊かだけれど、市内の貧困家庭に援助するには貧し過ぎるってことかと。

また、毎年7月に開催されていた反レイシズム(というかBNP)の野外コンサートは、今年が最後かもとのこと。ボリスが、ロンドンはこのコンサートをサポートしないとしたため、今年はポスターからロンドンの支持を表す言葉が消えます。これはやっぱり、ボリスが市長になったことよりアッセンブリーにBNPが加わった影響でしょうか。
Posted by 在英のチコ at 2008年06月22日 11:54
> ボリス、もういろいろやってますよ。

一応は把握しています(はてブにメモってあります。タグをつけてないかもしれないけど)。Love Music Hate RacismなどANL関係のコンサートなどについてはこれまでに何度かこのブログでも言及していると思いますが、来年の話は今はしません。何が憶測で何がそうでないか、非常に判断がつきづらいです。

> アッセンブリーにBNPが加わった影響でしょうか。

まじめにおっしゃっていますか、それともギャグですか? 政策決定に対するアセンブリーの力はそれほどまでには大きくないし、BNPは25人中の1人です。市長の政策がそれに影響されるとは考えられないのですが。

ギャグならそれはそれでよいのですが、まじめにおっしゃっているのなら、今度からは、アセンブリーの議員の仕事の内容とanti-racismのイベントへの市の後援の打ち切りとの関連についての確証を得てから書き込みをお願いしたいと思います。私はスルーしても、書き込みを読んだ人が真に受けたりした場合、何かあっても、私には責任は取れませんので(コメント欄で他人が書いたものであっても、管理責任は私にあります)。

http://en.wikipedia.org/wiki/London_Assembly
The London Assembly is an elected body, part of the Greater London Authority, that scrutinises the activities of the Mayor of London and has the power, with a two-thirds majority, to amend the Mayor's annual budget.

また、「車内での飲酒」を禁止しても街で飲む人には無力である、というのは、わざわざ書くまでもないので、おもしろく書けないのなら書かないほうがましという理由で本文には書いていないのですが、その通りです。週末のフットボール・スタジアムの近隣での「飲酒の問題」は、労組のおっさんがBoJoに絡むために「リヴァプール・サポ」を持ち出しているのを本文に書いていますが、これもまたtoo obviousなので特に明記していません(おもしろく書く自信もない)。また、東京でもほかの日本の都市でも「飲酒のうえの暴力」は問題になっていますので(電車のホームから人が突き落とされる事件とか)、一般論はいちいち書きませんでした。

それにしても、1行目で「DD関係に疲れたので」とは、ずいぶんな言い方をなさいますね。それを言いたいのは私なんですが。念のために明示しておきますが、DDについてこのブログで扱うことになったのは、私が何かを書いたから、というわけじゃないですよ。この点は、閲覧している方が混乱しないように明確化させてください(個人的に何か、ということではないです)。トピックとして関連性のないエントリ(DUPについてのエントリ、トピックはホモフォビア)のコメント欄にDDについて書き込んだのはチコさんで、さらに、私はDD辞任の件には最初から興味がないと申し上げていました。以下、検証用の証拠(あちこち見なくても済むように):

http://nofrills.seesaa.net/article/100625988.html
[Comment posted by nofrills at 2008年06月13日 00:23]
>チコさん
個人的には保守党のポリティカル・スタントより、DUP, UUPと保守党の関係が気になります。

非常に腹立たしく感じるので、しばらく(私が落ち着くまで)このエントリのコメント欄を閉じます。

なお、今日の昼間にコメント&トラバポリシーをより明確に書き直しましたので、ご参照ください。
http://nofrills.seesaa.net/article/40419881.html
Posted by nofrills at 2008年06月23日 19:59

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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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