kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2017年06月28日

「ヒルズバラの悲劇」、警察の現場責任者ら6人が起訴される。

256px-Hillsborough_anniversary.JPG"Justice for the 96"――「死んだ96人のために正義を」。そのスローガンを掲げて25年以上も闘ってきた人々が、最後の最後に落胆させられるということにはならなかった。きっと求めていたすべてではないだろう。けれども、よかったと思う。

2017年6月28日、英国の検察当局が、先に "unlawful killing" と結論されていた「ヒルズバラ(ヒルズボロ)の悲劇」について、事故発生時の警察の現場責任者や、事後、証言を歪めた警察(サウス・ヨークシャー警察)の弁護士など6人を起訴することを発表した(リンク先にその声明の映像あり)。

「ヒルズバラの悲劇」について、またその後リヴァプールの人々が何のためにどう闘わざるをえなくなったかについては、ざっくりとだが、以前書いたものがある。1989年4月15日、リヴァプールFC対ノッティンガム・フォレストのサッカーの試合を大勢のファンが観戦中のスタジアムで、キャパを超えたテラス席(今は廃止された立見席)で群集事故が発生し、96人もの犠牲者が出た。当時警察はこの事故について「フーリガンが暴れたことが原因」とし、The Sunをはじめとするタブロイド各紙も「フーリガン大暴れ」を事実として伝えた。しかしそれは、すべてがまったくのでっち上げだった。それが客観的に立証されるまで、20年以上の歳月と、途方もない努力・労力を要した。最終的に真相究明がなったのは、事件のことをリアルタイムで知っているマージーサイド出身のアンディー・バーナム議員(労働党・現在はグレーター・マンチェスター市長。ちなみに彼自身はLFCではなくエヴァトンの熱狂的サポ)を筆頭に国会の場で行なわれた取り組みの成果だった。

その後行なわれたインクェストで、「悲劇」で亡くなった96人について "unlawful killing" という結論が出されたのが、2016年4月。それから1年と2ヶ月あまり、人々はこれが何らかの "justice" に結びつくのかどうかという、最終的な決定を待っていた。それが明らかになったのが今日、2017年6月28日で、その決定内容は「6人の起訴」というものだった(個人の起訴であり、検察当局は警察を含めどの組織も組織としては起訴しないことを決定した)。

以下、リンク集的に、その記録。

なお、これをもって正式に法廷沙汰となったので、陪審団に影響を与えそうなことは一切、公に発言することができなくなる(法廷侮辱罪に問われうる)。家の中や友達との集まりで話すのはかまわないようなことでも、TwitterやFB、ブログなどネットに書けばアウトになりうる。そのため、もろもろ注意が必要とされるということも強調されている。詳細はLiverpool Echoの記事を参照。



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英、保守党とDUPとの合意成立 (Coalition of chaos)

2週間ほどかかって、ようやく……と言いたいところだが、たぶん、おおかたの人はそんな交渉が続いていたことなどもう忘れているだろう。「まだやってたんですか」っていう感じ……北アイルランド・ウォッチャーにとっては、「早かったな」感もあるのだが。

保守党とDUPの「閣外協力」(←日本語圏の用語。英語では "confidence and supply (または supply and confidence) deal" という。野党側の内閣不信任案に賛成しないことと、与党側の予算案に賛成することを意味する)が、26日、正式に合意された(合意全文はこちら)。同日夜(日本時間)のBBC Newsのサイトはこうなっていた。

BBC News: http://www.bbc.com/news
bbcnews26june2017-min.png


BBC News > UK: http://www.bbc.com/news/uk
bbcnews26june2017b-min.png


BBC News > UK > Northern Ireland: http://www.bbc.com/news/northern_ireland
bbcnews26june2017c-min.png


これで、英保守党は北アイルランドのDUPと「事実上の(非公式の)連立関係」と言える間柄(ただしDUPは閣僚は出さない。日本語では「閣外協力」という用語に相当する)になったわけだ。何が起きているかというと、まさに風刺画家や風刺作家が表現していた通りだろう。6月13日付のBBCの「まとめ」より。
http://www.bbc.com/news/uk-northern-ireland-40250023
A recurring theme for political cartoonists is a weakened Theresa May, beholden to a higher-than-mighty DUP, as commentators speculate on the price the prime minister, and the Irish peace process, might pay for the party's support.


テリーザ・メイの保守党が、勇ましく「強く安定した政権」を掲げて楽勝ムードで臨んだものの、議席減どころか過半数割れという「(笑)」……もとい「(・_・) タイヘンニいんたれすてぃんぐデスネ」という結果に終わった6月8日の総選挙。しばらくは抱腹絶倒、もとい、真顔で普通に座って、爽快ですらある高揚感を覚えていたが、そのムードが長続きしなかったことは既に書いた通りだ。

そして、その高揚感が「なーんだ、何も変わらないじゃないか」というものになった直後には、「これは変わらない以上に、最悪の結果だ」と言わざるを得なくなったことも、既に書いた通りだ。

すなわち、保守党が北アイルランドのDUP (the Democratic Unionist Party) と組もうとしている。あの、ホモフォビックで創造論で地球温暖化懐疑論で「恐竜」と呼ばれるDUPと。しかも、1998年の和平合意(ベルファスト合意、通称「グッドフライデー合意」で略称はGFA)では、英国政府は北アイルランドの政治に関しては「中立」(どの側にも立たない)ことになっているのに!

それについては、少しは整理しておこうとしたものもあるので下記も参照(こういうのを参照しもせずに、「わかりづらい」などの文句をネット上に書かないでください)。

保守党がDUPに「閣外協力」を求めている……今、英国で起きようとしていることが、いかに深刻であるか
https://matome.naver.jp/odai/2149719116817721901

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2017年06月17日

「赤いケンジントン」……ロンドン、グレンフェル・タワーの火災があらわすもの・見せるもの

犠牲者として最初に名前が公表されたのは、2014年に英国に到着したシリア難民の青年だった――この事実を、どう受け止めてよいのかわからない。

西ロンドンでの高層アパート火災は、長くかかってようやく鎮火したそうだが、犠牲者の数が何十人という単位 (dozens) で言及され、しかも全員は身元の確認ができないかもしれないとさえ言われている。

遺体の判別がつかなくなってしまっているだけではないだろう。英国内に身元特定の手がかり(歯科医のカルテなど)がない人もいるだろうし、友達や親戚の家に泊まりに来ていた人もいるだろう。それに、ふと思ったのだが、何らかの形でここにいた人の中には、短期滞在者や短期滞在のつもりで英国に入国して超過している人もいたかもしれない(私が拙著のために取材したとき、「住居費の安い部屋を探した結果、カウンシル・フラットの又貸し物件を、非合法と知らずに借りてしまうケース」などがあると知ったが、その当時とは制度が変わっているとはいえ、そういうことは今でもあると思う)。あるいは、ロンドンではよく聞いたのだが、その部屋の住民が数週間ほど家を空けざるを得ないときに、空き巣に入られないよう、親戚のつてをたどるなどして、地方から仕事探しに来ている人などに家賃無料でその部屋に住んでもらうということも行なわれているかもしれない。つまり、出火したあの晩、あの集合住宅で寝ていたのは「住民」に限らないかもしれない。そういったことの事実確認は、これから行なわれるのだろう。

デイリー・テレグラフの記事にあるフロアプランを見ると、各フロアに2ベッド・ルームのフラットが4戸と1ベッドのフラットが1戸ある。BBCによると全127戸で、24階建ての建物のうち20フロアが居住スペースだ。1ベッドの部屋は単身者か夫婦・カップルが住むための住宅で、2ベッドは子供のいる家族や、子供が独り立ちして高齢の親と同居するようになった家族などが多いだろう。行方不明者には80代の人もいれば、10代の人も、さらに年下の子供もいる。

出火原因や、なぜあれほどに燃え広がったのかについては、既に住民たち(火事の被害をこうむった人々)の証言などが報道機関によって取り上げられているが(中には不正確な情報もあると思われるので注意)、詳細は、テリーザ・メイ首相が行なうことを既に指示しているパブリック・インクワイアリで解明されることになるだろう。インクワイアリでは、BBCがまとめた「6点の疑問」のような具体的なポイントについての事実関係が明らかにされた上で、行政の責任が問われることになるのは間違いない(グレンフェル・タワーはカウンシル・フラットだ)。現在の緊縮財政を推し進めたのは2010年以降の保守党政権(2010年から15年はLDとの連立政権)で、ロンドンでは保守党のボリス・ジョンソン市長が行政トップだった。とはいえ、2016年以降は労働党のサディク・カーン市長が行政トップで、火災のあと住民たちの怒りに直面したのは、カーン市長だった。15日、火災現場のそばで大勢の警官に囲まれ、激怒した住民と対面しながら、その時点での最新状況を淡々と報告し、これから市当局として何をしていくかを語る彼の表情は……この人のこんなに打ちひしがれた表情を見たことがあっただろうか。6月4日のロンドン・ブリッジ地区でのテロ攻撃のあとに見せた毅然とした表情とは違っている。カーン自身が、「こういうような地域」のカウンシル・フラットの出身なのだ(カーンが市長に当選したときに、対抗の保守党候補のお坊ちゃまとの違いを一言で表すために「パキスタンからの移民であるバス運転手とお針子の息子」であることが頻繁に言及され、特に日本語圏ではそのことでイラっと来た人が多かったようだが、階級社会の英国では《意味》のあることだ)。



カーン市長はこの状況で質疑応答も逃げずにやっているが(上記映像5分50秒あたりから)、同じ現場を訪れたテリーザ・メイ首相は、消防士たちとは対面して激励的なことはしたものの、それだけで帰ってしまった。そのことが批判されて、16日に改めて出直し、被害者(被災者)と対面したという(ちなみに、そのころには既に、エリザベス女王とウィリアム王子が被災者慰問を行なっていた)。メイが一般国民、とりわけ彼女に批判的であると想定される一般国民と直接対面することを避けようとしたことで驚く人はいないだろうが(今回の総選挙前、主要政党党首による公開討論会をやらずに済ませようとしたことは記憶に新しい)、これには呆れて物も言えなくなった人が多いのではないかと思う。

London fire: Theresa May meets victims after criticism
Friday 16 June 2017 14.31 BST
https://www.theguardian.com/uk-news/2017/jun/16/london-fire-prompts-safety-review-at-4000-uk-tower-blocks

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posted by nofrills at 20:00 | TrackBack(0) | todays news from uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月16日

イスイス団団長もまた、何度でも "死ぬ" だろう(「死亡の可能性」は「死亡確定」ではない)

http://www.yahoo.co.jp/今日は八王子のほうで雹が降ったとかで天気を確認しようとYahoo! Japanを見てみたら、トップページがこのようになっていた(キャプチャ via kwout)。何でも5月28日にラッカらへんで行なわれたロシア軍の空爆で、イスイス団の団長(アブ・バクル・アル=バグダディ)が死んだ可能性がある(可能性が高い)ので調査(最終確認)をしているとロシア国防省が述べたのだそうだ(時事通信)。

最初に見たときから少し時間が経過して、現時点では記事が長く、詳しくなっているが(現時点でのアーカイヴ)、言っていることは最初の短信と基本的に同じだ(細部が付け加えられているが)。

で、それなりに訓練されたウォッチャーである私が最初にこの報道を見たときの反応は、「また死んだんですか」というものだった。この人物について、これまで何度、「○○軍の空爆で死亡(したと思われる)」という "報道" があっただろうか。ハミス・カダフィが "死んだ" 回数にはかなわないと思うが、イスイス団長もけっこう何度も "死んで" いる。その回数は、「9つの命がある」という猫よりもたぶん多い。だから「死亡説」を目にするたびに、最初に「またですか」と反応するのがデフォだ。

しかし、かの人物の「死亡説」が、Yahoo! JAPANのトップページにどーんと出るようなことはこれまでなかったかもしれない。そんな場所にどーんと出ていれば、ヲチャ界隈以外でも大いに話題になるだろう。しかし……。

というわけで、ただ無視するのではなく、BBC Newsのサイトがどう扱っているかを確認し、手っ取り早くTwitterでその界隈のジャーナリストたちがどう見ているかを調べてみることにした。

以下、そのメモである。

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2017年06月15日

トラックバック機能提供終了のお知らせ(Seesaaブログ全体)

Seesaaブログの運営さんで、標題のような告知が出ている。

【Seesaaブログ】トラックバック機能提供終了のお知らせ

……

トラックバック機能について、送受信ともに2017年7月中をめどに終了とさせていただきます。……

なお送受信については上記の通り機能終了いたしますが、これにより既存のトラックバックが消去されるものではありません。ブログおよびマイブログ内にて引き続き表示されます。……

http://info.seesaa.net/article/450858434.html


かつて、「ブログ」がまだ普及過程にあったころ(そのころは略さずに「ウェブログ」と呼ばれていたっけ)、日本語圏ではそれ以前にかなり一般化していた「ウェブ日記」と、新顔の「ウェブログ」はどこが違うのかという説明がなされるときに必ず注目されていたのが、「トラックバック機能の有無」だった。大まかに、「ウェブログにはトラックバックという機能があって、それによって他のブログとゆるくつながることができます」といった説明。(「はてなダイアリ」はこの思想を相当先取りしていて、ダイアリの本文中のワードで他のダイアリとゆるくつながることができていたのだが、いかんせん、日本語の自然言語処理では、うちのように「外国」の用語が多いと、いわゆる「誤爆」が多くて……「リパブリカン」が「パブリカ」という車の名前としてヒットしてしまうのをいちいち外さなければならなかったりして、大変に面倒だった。)

トラックバックは、先方のコメント欄にわざわざ投稿するなどしなくても、「あなたの記事に言及しました」とか、「同じ話題で私も書きました」とか、「翻訳の続きやっときました」とかいうことがサクっと連絡できる便利なツールだ。「あなたの書いていることに異論があるのですが、あなたのところのコメント欄を長々と占領することになるのはアレなので、私は私でブログに書きました」といった議論のためにも使われうるし、「みなさんのご意見を募集します。各自ブログに意見を書いて、このエントリにトラバ(トラックバック)を飛ばしてください」といった形での議論も、トラバの機能があればこそ可能になる類のことだ。

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posted by nofrills at 22:22 | TrackBack(0) | ブログ関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月14日

ロンドンでひどい火災に見舞われているのは「タワーマンション」じゃない。「高層アパート」だ。

ロンドン西部で大変な火事が起きた。燃えているのは24階建ての集合住宅だ。英国ではときどき大規模火災の報道があり、ロンドンでは2011年8月の「暴動」の際に倉庫が燃やされたり商店街が放火されたりしているが、こういう規模の住宅の建物でこういう規模の火災が発生したのは、ネットで普通に英国のニュースに接するようになって以来(つまり1998年ごろ以来)、初めてではないかと思う。

既にウィキペディアンたちが報道などを精査してまとめ始めているので、詳細はそちらを参照されたい。
https://en.wikipedia.org/wiki/Grenfell_Tower_fire

火災にあったのは、グレンフェル・タワー (Grenfell Tower) という集合住宅で、場所はノース・ケンジントン。ロンドンに詳しい人はご存知だろうが、「ノース・ケンジントン」は、一部例外の区画はあるかもしれないが、「ケンジントン」という高級エリアの名前から想像されるような地域ではない。有名なのはポートベロ・ロードの一帯で、ここはかなり前から「ポッシュな住宅街」なのだが(posh, 日本語にすれば「高級な」。「おハイソな」みたいな語感)、ノース・ケンジントンといえば昔は西ロンドンのスラム街で、ロンドンに到着した移民たちが押し込められるようにして暮らす街(のひとつ)だった。20世紀後半には、南部のブリクストンなどと並んで人種間の緊張が大きな地域として知られるようになり(「人種暴動」も起きている)、毎年夏の「ノッティングヒル・カーニヴァル」(カリビアンの人たちのお祭り)の発祥の地でもある。

場所はここ。有名なポートベロのストリート・マーケットの立つ細い通りの1本西がラドブローク・グローブで(Google Mapにはなぜか駅のアイコンがないが、ここには地下鉄と地上鉄道の駅がある)、現場はそのさらに西、地下鉄駅ではラティマー・ロードやホワイトシティの近くになる。



特にソースも参照せずに頭の中にあることだけで書くので、話半分で読んでいただきたいのだが、第2次世界大戦後、行政当局は再開発を進めるなかで、多くの「ハイ・ライズ high-rise」を建設した。「ハイ・ライズ」は「高層建築」の意味の一般的な語で、術語としてはエッフェル塔や東京タワーのようなものにも使われうるが、英国で単にhigh-riseといえば、昨今のテムズ川沿いの再開発で林立しつつある、ロシアや中国のお金持ちがこぞって買いたがるような、日本語でいう「タワーマンション」のようなきらきらしたものではなく、戦後、都市部のあちこちに次々と建設されたようなものに代表されるような、いわゆる "tower block" を指すことが多い。Tower blockとは、「tower型をした、block of flats」の意味だ。つまり「高層建築の集合住宅」である。

1950年代に建てられたそのような高層建築の中には、現在では歴史的な価値が認められ、日本の制度でいう「重要文化財」的なものに指定(Grade IIなど)されている建物もあるが、無骨なコンクリートの塊のような建物は英国では非常に評判が悪く、eye sore (目障り)などと呼ばれている。詳しくはチャールズ皇太子の建築に関する発言をあさってみるといろいろ出てくるだろう。

今回火災にあっているのも、そのような戦後のコンクリート建築時代のtower blockのひとつだ。

https://www.yahoo.co.jp/こんなことを書いていると書き終わらないので先に行くが、今日のこのグレンフェル・タワーの火災について、日本語圏では「タワーマンションで火災」と報じられている。右は14日19時ごろ(日本時間)に取得したYahoo! JAPANのトップページのキャプチャだが(via kwout)、一番上の記事は「英タワマン(=タワーマンション)火災 死者は多数に」と見出しを打っている。

だが、ロンドンについて何かしら知っている人、また何らかの感覚がある人は、ニュース映像などを見て、あの建物を「タワーマンション」とは呼ばないだろう。特に「タワマン」などと略されたら、違和感倍増である。「タワマン」の住民としてイメージされるのは、例えば成功したビジネスマンや個人投資家のような人だろうが、グレンフェル・タワーのようなカウンシル・フラットに住んでいるのは、ほぼ間違いなく、安月給であくせく働く会社員や技術職の職人(塗装工など)のような人たちだ。そういう人たちが、ああいう大規模な火災に見舞われている。

……と、イメージにあう日本語を探してみて思い当たったのが「高層アパート」という表現だ。実際にフィクションなどでtower blockがそう翻訳されている例は多くあると思うが、今、探している余裕はない。うちの本棚に詰まっている紙のどこかに「高層アパート」という言葉があることは間違いないのだが……。

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posted by nofrills at 21:30 | TrackBack(0) | todays news from uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月11日

英総選挙、開票中にささやかれていた「10月の選挙」の意味

octoberelection.png今回の英国の総選挙、開票が終わる前から、「次の選挙は10月」という文言が、ジャーナリストのアカウントから飛んできていた(右の画像参照)。

明らかにジョークというか「故事成語」の類だが、その「10月の選挙」の意味が私にはわからなかった。開票が終わっていろいろ少し落ち着いたところで、Googleに "october election" と打ち込んでみた。直結する答えはでてこなかったが、検索結果を少し眺めていたらわかった。1974年だ。2010年の総選挙でどこも過半数を制さないhung parliamentという結果が出たときに、各メディアが解説記事などで参照していた1974年だ。

1973年1月、英国はEC(現在のEU)に加盟した。当時、国内情勢は不安定だった。労組のストライキは続き、北アイルランドは燃えていた。保守党のテッド・ヒース首相は1970年の選挙で全630議席のうち330議席を得ていたが、危機打開を目して、1974年2月に解散総選挙に踏み切った。投票日は2月28日。誰もが保守党の圧勝を予想していた。

しかし結果は、どこも過半数を取らないハング・パーラメント。その年に5議席増えて全635議席となっていた下院で最大議席数を獲得したのは、ヒースの保守党(297議席)ではなくハロルド・ウィルソンの労働党(301議席)だった。

わずか4議席の差だ。第2党の保守党だが、14議席を有する第3党の自由党(現在のLibDems)と連立すれば埋めることができる。ヒースはその道をさぐったが、自由党が連立条件を飲まなかった。3月4日にヒースは組閣を断念し、これにより、第1党となっていたウィルソンの労働党が議会の過半数を持たずに政権を担うこととなった(マイノリティ・ガヴァメント)。こうして3月6日には第46次国会が召集され、第2次ウィルソン政権(ウィルソンは1964年から70年に首相をつとめていたので、1974年の政権は第2次)が発足した。

マイノリティ・ガヴァメントでは政権運営は心もとない。ウィルソンは7ヶ月ほどで議会を解散し、総選挙に打って出た。それが「(1974年)10月の選挙」である。

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英国の総選挙: 保守党は勝たなかったが労働党が勝ったわけではない。そして結果は「想定外の最悪」だ。

「コービン労働党の躍進」という《物語》のほうがウケがよいだろうが、当ブログはそういうことは語らない。「コービン労働党の躍進」は嘘ではないが、現実を見る上ではトイレットペーパーくらいの役にしか立たない。これまで保守党以外の選択はないと考えられてきた選挙区がいくつも(最終的にはあのケンジントンまでもが)赤くなったという事実を含め、今回の選挙結果は、「保守党め、ざまあみろ、わっはっはー」と笑ってクソを拭いて流すには役立つが、クソしたあとに履くパンツにはならない。そんなことは結果が全部出揃う前どころか、投票が締め切られて出口調査が公表された瞬間にはもう明らかになっていたことだ。

労働党の活動家は、今回のこの結果から最大限を引き出そうと「勝利」の方向付けをするのが当たり前だが(次につなげていくためにもぜひそうしてもらいたいと個人的には思う。大手メディアと保守党と、自党内のブレアライトを向こうに回してがんばった彼らの粘り強さ・強靭さは敬服に値する)、ただのウォッチャーならば、どこも過半数を取らなかったhung parliamentという結果を、ありのまま正確に読まなければならない。煽動は無用だ。

今回の総選挙では、テリーザ・メイの保守党は「過半数を制するという意味では勝てなかった」のであり、「負けた」わけではない。保守党は、過半数には至らずとも各党の中で最大の議席数を獲得した。しかも、2番目の労働党との議席数の差はとても大きい。55議席もの差をつけた、余裕での第1党だ。メイ個人は、「あんだけフカしといてこの結果かよ」という点で信頼を全部ドブに流したわけだから、彼女個人は「負けた」のかもしれないが、それは彼女が引き続き保守党トップの座にい続けることをとどめはしない(2010年総選挙の結果、保守党との連立に入りビジネス大臣となり、信頼を失って2015年の選挙で落選して、今回返り咲いたLibDemのヴィンス・ケーブルは「針の寝床を作ったのは彼女なのだから、彼女がその上に横たわらねばならない」として、「メイは辞任すべきでない」と言っている。これはEUレファレンダム後に、まさか実現するとは思っていなかったBrexitにびびったLeave陣営のトップがみな逃げ出したことへの当てこすりだろう)。仮に彼女が「負け」を公然と認めて保守党党首を辞任したとして、次に来るのは誰だ。ボリス・ジョンソン(この人は「英国上流階級版ドナルド・トランプ」だ)か。サプライズでジェレミー・ハントやマイケル・ゴーヴか。いずれにしても最悪だ。

労働党党首のジェレミー・コービン個人は「あいつでは選挙に勝てない」という党内からのdisを跳ね返してみせたが(本当に強靭な政治家だ。労働党は自身の党首に対して実にめちゃくちゃなことをしてきたからね。それをロシアで身動き取れずにいるエドワード・スノーデンがめっちゃ的確に指摘しているのを見たときにはお茶ふいたが……彼に見えていることが、労働党内の反コービン派には見えていなかったのだ)、「コービンの労働党」が「選挙に勝った」わけではない。そのことは、土曜日に連ツイしたものを、本エントリの下のほうに貼り付けておこう。

Brexitとその後のEU残留派の抵抗、激増するヘイト・クライム、次々と英国から出て行くEU圏の知識人たち、Brexitに賛同しない人を「裏切り者」扱いして吊るせ吊るせとばかりに野蛮な叫び声をあげるタブロイド、そしてそれとは関係なく行なわれるがムードを暗く重苦しくすることにだけは貢献しまくる「イスラム過激派」のテロ……そういったものの中にセットされた今回の選挙は、感情の選挙になるだろうと思ってはいたが、実際には私が思っていたのとは少し違ったふうに「感情の選挙」になった。若者たちが選挙に行って(印象論ではなく数値の検討がなされている。FTのグラフも参照)、若者たちはコービンが大好きだ。彼らの親の世代が享受してきた機会を奪った「年寄り」を、彼らは凌ごうとした。メイ陣営とエスタブリッシュメントがやっているように誰かをめちゃくちゃにけなすのではなく、ヴィジョンを持って「希望」を語るコービンを支持することによって。そしてそのようなコービンを支持したのは「若者」だけではなかった。マスコミが無視していたうねりは、実際には起きていたのだ。しかしそれは、「よい攻撃の形を作ってゴール前に攻め込むことはできているが、決定力に欠けている」と評されるサッカーチームのようなものだった。「この次につなげていこう!(でも今は勝てない)」

投票所の締め切りとほぼ同時に公表された出口調査の結果が「ハング・パーラメント」を予想し、多くの人々が「おおっ」とどよめいた。「保守党の多数による安定をさらに固めるため」に行なわれた解散総選挙が、「保守党の多数による安定」をもたらさない! こういうのを英語では "interesting" という。

数時間していくつかの選挙区の結果が公表されると「出口調査は不正確なことが多い」、「保守党へのスウィングを過小評価している」といった観察・分析がTwitterでいくつも見られるようになったが、おそらくは事前にあまりにも「コービンはダメだ、コービンはダメだ」という情宣がやられすぎていた反動もあり、また最初に結果が出たのがイングランド北東部の工業地帯で、それらの地域では最近ではすっかり慣れっこになってしまった「労働党離れ」が食い止められている様子が伝えられていて、コービン支持者・労働党支持者・「コービンの労働党」の支持者のムード(私がTwitterで見ている世界は彼らの世界である)は明るかった。

でも、それでも、明るく見える出口調査の結果は、「労働党の勝利」には程遠いのだよ。保守党が314で過半数割れしていることはさておき、労働党はそれより50議席も少ない266という数値だ。(出口調査ではなく実際の獲得議席数は、最終的に、保守党が317議席、労働党が262議席だった。)

DB16juSUwAIGWZ3.jpg開票作業が進められるなか、Twitterの画面にはいつも以上に「感情」が横溢していた。あの選挙区で労働党が競り勝った。この選挙区でも予想を覆した。そっちでは保守党の現職が苦戦しているようだな。おお、現職の閣僚(それも内務大臣)が票の数え直しを要求した末、首の皮一枚での辛勝か。そして、開票開始から2時間ほどで、あのケンジントンが「労働党勝利」の予想だって? Twitter上で、並み居るジャーナリストたちがざわつく。保守党に近いジャーナリストやコラムニストは「Brexitを支持できない銀行家たち」の票だと指摘する。なるほどね、それにしても、根っから真っ青なケンジントンが赤くなるなどということを、誰が想定しただろう! ケンジントンが赤い! おい、カンタベリーが労働党だぞ! シェフィールドではキャメロンと組んで過激なネオリベ政策を実行したLDのニック・クレッグが落選して、労働党候補が当選した!……いつまでも浸っていたいような、甘美な感情が言論空間に充満している。経済が専門のジャーナリストのポール・メイソン(元BBC Newsnightのビジネス・エディターで、2013年にチャンネル4に移り、現在はフリーランス)が「英国から人類へ――たった今、私たちはネオリベラリズム(新自由主義)を殺した」とツイートした。私も飲み込まれた。賭け屋は「ジェレミー・コービン首相」を真面目に扱いだしている。結果によっては、連立の組み方によっては、ありえなくはない。むしろ、ありうる……

しかしその高揚は、長続きしなかった。一瞬の夢だった。開票が始まってから6時間半ほど、日本時間の9日12時半には、「保守党が318議席、労働党が267議席、SNPが32議席、LDが11議席」という新たな予想・分析が出た。これでは労働党はどう連立しても保守党単独の議席数に届かない。第1党の保守党が、そのままマイノリティ・ガヴァメントということになるだろう。あるいは……

あるいは……いや、それはない。そうなったら最悪だし、それにそれは保守党の根幹的理念に反する。保守党が組むとしたらあの政党ではなく、あの政党のライバルだ。

だがそのライバル政党は、今回議席を獲得していないじゃないか。誰に遠慮する必要があるだろう。それにあの政党は10議席も獲得している――そう、このころには北アイルランドは全議席が確定していた

「あの政党」とはDUP (the Democratic Unionist Party)、「ライバル政党」はUUP (the Ulster Unionist Party) である。

いつもUKの(というより "GB" の)国政選挙では "Other" 扱いの北アイルランドの諸政党が、今回いきなり、中央で大きな注目を集めることになった。

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2017年06月09日

世界よ、これが英国の選挙だ(爆笑)

英国の総選挙が「おもしろい」結果になった。「Brexitのため、EU残留派を排除して足元を固めたい」という理由から、「2020年まで選挙はしない」としてきたのを撤回して議会を解散し、2017年6月に総選挙を行なうとテリーザ・メイ首相が宣言したのが4月の下旬で、そのときは誰もが「解散総選挙は予想してなかった」と驚いていたわけだが、その結果がさらにまた(少なくとも4月にメイが選挙に打って出たときは)予想外の「ハング・パーラメント(どこも過半数を制することがないという結果)」だ。あんまり有権者をナメくさってるとこういうことになるんだよ、と、爆笑というよりは、ニヤニヤ笑いが止まらないのだが、結果がどうとかいうまじめな話はあとで書く。何しろ、1つ前のエントリで「投票所が締め切られてから3時間、開票が進んでいる」と書きはしたが、そのまま開票が順調に進められても結果が全部出揃うことなく朝を迎えるほどの接戦となっていて、徹夜で票の数え直しを繰り返して朝を迎え、集計人が疲労困憊してしまったのでいったん休憩となり、結果確定が保留となっている選挙区があるような状況だ(しかもそれは、「青」の牙城、ロンドンの超ハイソ地帯のケンジントンだ! ケンジントンが赤くなるなどと、誰が予想しえただろう!)。

というわけで、ずっとメイを支持してきたThe Sunが、「MayではなくDismayだな、こりゃ」と一面ででかでかと書きたてるようなことになっているのだが、そのメイ本人は、当然ながら、比較的早い段階で当選を決めている。彼女の選挙区は、ロンドンから少し西に行ったところにあるバークシャーのメイドンヘッドという選挙区だ。このあたりはイングランドでも保守党が安定して議席を獲得できる安全区。区割り変更で今の選挙区が創設されたのが1997年(20年前、トニー・ブレアの労働党がバカ勝ちした選挙のとき)だが、そのときからずっとテリーザ・メイをウエストミンスターに送り出してきた。

で、ウィキペディアを見ればわかるのだが、前回(2015年)までのこの選挙区の選挙は、至って普通の「保守党の安全区」のそれだった。何もしないうちから当選が確実な保守党の候補に対し、労働党とLDが、特に積極的に勝ちに行くふうでもない候補者を擁立し、この3党が大方の票を集め、そのほかに、候補者1人につき数百票が入るような小政党やシングル・イシューの党の候補者が出る、といった感じだ。2015年、メイが内務大臣として迎えた選挙でも、極左の小政党の候補が55票を持っていったのが目立つくらいで、別に面白みもない選挙だった。

DB15_e3XgAAaKtb.jpg「面白み」と書いたが、英国には、全国ニュースで批判的に取り上げられるような大物政治家の選挙区には、仮装して出てくる系の冗談みたいな立候補者が出てくることがある。それから、何もなくても冗談みたいな「オフィシャル・モンスター・レイヴィング・ルーニー党 (the Official Monster Raving Loony Party)」、つまり「バカ党」の候補者も来る。例えば、イラク戦争後の2005年に当時のトニー・ブレア首相の選挙区がどういう様相だったかを見るのがわかりやすいだろう。主要3党と、イラク戦争で息子が戦死したレジー・キーズさん(反戦を訴えて立候補したが、当選することが目的というより、ブレアと同じプラットフォームに立って反戦を訴えることが目的だった)のほかは、当時はまだ泡沫政党扱いだったUKIPと、UKIP分派のVeritas、そして英極右といえば外せない存在のナショナル・フロント(このときはBNPはここはいなかったのか。細かいことはもう覚えてないが当時はBNPはかなり勢いがよかったのだが)、あとは「ブレアは辞任せねばならない党」とか「高齢者党」、「年金受給者党」に「バカ党」、無所属……といった顔ぶれだ。ブレアが首相でなかったらこの選挙区で立候補などしていなかったであろう候補者がたいへんに多い。

2017年6月の総選挙で、テリーザ・メイにもそういうことが起きた。彼女の選挙区は、前回までのまるで凡庸な様相とは打って変わり、着ぐるみだのかぶりものだのが登場する選挙区になった。選挙管理委員会が定められた形式にのっとって結果を公表し、壇上に並んだ立候補者全員の前で、当選者が「この地区の代表者となることを受諾します」とスピーチを行なっているのを映し出すテレビの選挙速報の画面が、Twitterにいくつも流れてきた。「これだから英国の政治はすばらしい」「民主主義っていいね」といった言葉をともなって。

……と書いているここの右側に示している写真は、それら「面白」候補のものだ。白いスーツに白いテンガロンハットのおっちゃんは「バカ党」の名物オヤジでもある同党党首、「ハウリング・ロード・ホープ」ことアラン・ホープ(同党創設者のスクリーミング・ロード・サッチの没後、同党党首となったのだが、元々バンド仲間だった)。そして右側の黒いかぶりものの人は「バケットヘッド卿」。宇宙のかなたからやってきたスペース・ロードで、これまでにマーガレット・サッチャー(1987年)、ジョン・メイジャー(1992年)の選挙区で立候補したことがあるそうだ。

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posted by nofrills at 20:30 | TrackBack(0) | todays news from uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

英総選挙、開票が進んでいます。

現地8日の午後10時(日本時間で9日の午前6時)に投票が締め切られ、即座に公表された出口調査によると:
Conservative 314
Labour 266
SNP 34
Lib Dem 14
Plaid 3
Green 1
UKIP 0
Other 18
https://twitter.com/BBCBreaking/status/872921211029909506

むろん、出口調査が正確とは限らないし、実際、しばらくの間は保守党寄りの立場の人々の間からあがる「出口調査はあてにならない。前回の総選挙でも……」といった声がTwitterでは非常に目立っていたし、実際に開票が終わった選挙区が出始めるとその数値を根拠として「保守党への票が過小評価されている」との分析がかなり多く見られたのだが、英国は全部小選挙区制だから、「全体として得票が増えても、議席数は減る」ということが普通にありうる(2015年総選挙での労働党がそうだった)。

ともあれ、解散総選挙が告知されたときには「保守党の圧勝」が予想されていたが、5月23日のマンチェスター、6月4日のロンドンと、現首相のテリーザ・メイが内相だったときに見落としていた過激派によるテロが続き、またメイがまともに討論の場に出てこようとせず、「強く、安定した政府」なるスローガンの連呼と、労働党のジェレミー・コービンに対するスミア・キャンペーンに明け暮れる中、投票日直前になって「接戦」という予想が出るようになっていた。それどころか「政権交代もありうる」という事前分析もあったほどだ。

昨年保守党の党首となったメイが「2020年(の事実上の任期切れ)まで選挙はしない」としていた方針を覆し、解散・総選挙という荒業に出た(それも「不意打ちで告知する」ようなことをして)のは、ひとえに「政権基盤の強化」が目的だった。Brexitという難行にあたるため、EU残留派の声が大きいという議会を一新しようとしたのだ。保守党の親EU派議員の重鎮ケネス・クラークは今回の総選挙には立候補せず引退することとなった。

しかし、メイ本人があまりにぐだぐだだった。「強い政府」と叫びながら、国家財政の緊縮を理由に警察官の人員削減。彼女の脳内ではそれでうまくいっていたのかもしれないが、リアル世界ではマンチェスターでは自爆攻撃、ロンドンでは二度にわたって自動車暴走による攻撃が発生し、英国人も外国人も含め数十人が尊い命を奪われた。

そういう中で行われた投票だ。

現状、大変にinterestingなことになっている。投票締め切りから3時間が経過して、いくつか結果が発表されつつあるのでここまでブログに書いたが、詳細はTwitterにて。ケンジントン&チェルシーとかパトニーとか、見所はたくさんある。
https://twitter.com/nofrills



アップデート:
実際の獲得議席数は下記の通り(やはり出口調査では保守党が過小評価されていたともいえるが、おそらく誤差の範囲内だ)。
via https://en.wikipedia.org/wiki/United_Kingdom_general_election,_2017#Results
Conservative 317 (出口調査では314)
Labour 262 (同、266)
SNP 35 (同、34)
Lib Dem 12 (同、14)
Plaid 4 (同、3)
Green 1 (同、1)
UKIP 0
Other 18

Otherってのは北アイルランド枠で、内訳は、DUPが10、Sinn Feinが7、Independent(シルヴィア・ハーモン)が1。そしてこの中から、もう "other" 扱いされなくなる党が出てきたのが今回の選挙結果だが、それは別項にて。
posted by nofrills at 09:24 | TrackBack(2) | todays news from uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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